遺伝子組み換え食品という言葉を聞いたことがありますか?
そうですね、遺伝子を組み換えた作物で作られた食べ物のことを言います。実は、この作物・食品について、全国各地から「そんなものいらない! 私たちはモルモットではない!」等の反対意見が続出しています。大本本部・人類愛善会・愛善みずほ会も「遺伝子組み換え食品の表示を求める意見書」(平成九年四月十四日)を厚生大臣に提出、また、全国の地方機関を通じて、地方自治体での意見書提出請願運動(住民の意見を国に伝える一つの方法)を展開中です。
さて、なぜこのようなものを作ることになったのか?
いったいどうやって組み換え作物はできるのか?
なぜ、わたしたちは「遺伝子組み換え食品」を食べているのか!
今月から数回、この問題についての理解を深めていきたいと思います。
…ピンとこない人、毎日食べている可能性が高いです…!
そして、実は、あなただけの問題ではない、あなたの子孫にまでつながる「人類全体の大問題」であるということを勉強していきたいと思います。
遺伝子って何だ?
動物、植物などすべて生のあるものは細胞から構成されています。その細胞の一個一個に遺伝子は存在しています。例えば、人の細胞は六十兆個あると言われています(豆腐六十丁ではありません、念のため)。体の大きい小さいに関係なく、みんな六十兆個持っている、いや、六十兆個の集まりなんですね。
それぞれの細胞のなかには「核」という中心があり、さらにその核のなかに「ゲノム 」という染色体の集まりがあります。…理科の得意じゃない人、眠くなりそうですね。
ここで、人の「ゲノムの部屋」には二十三種類の染色体という名の「本棚」があると考えてみて下さい。それぞれの染色体という二十三種類の「本棚」に、タンパク質の作り方や、いつ、どのくらいタンパク質を作ったらいいのかが書き込まれた本がた〜くさん並んでいます(ちなみに二十三種類の本棚(ゲノム)は二セット、四十六個あります)。
ただし、なかには何のことについて書いてあるのか、さっぱりわからない本も多く、実にゲノムの部屋にある本全体の九十〜九十五%が内容の分からない本なのです。
さて、この並んだ一冊一冊の本を遺伝子というのです。
ミクロの宇宙
この本棚を作っている基本物質がDNA(デオキシリボ核酸)であり、実際には本棚のような箱形ではなく、長い一本の糸のようになっています。一つの細胞にあるDNAを全部つなぐと二メートルにもなるそうです。そして、ヒト一人のDNAをすべてつなぐと、単純計算でその長さは、なんと、千二百億キロにもなります。ちなみに、われわれの住む太陽系の直径が約百億キロと言われていますから、その十倍以上の距離です。
人の体内を「ミクロの宇宙」と言う学者もいますが、まさにその通りですね。
遺伝子は設計図
さて、先ほど本棚と本に見立ててお話をしました。整理しますと、遺伝子はDNAの一部であり、DNAは染色体を構成する物質であることがわかりましたね。
ところで、この染色体が入っている「細胞」というものは、毎日どんどん死んでいくのです。だから、たえず新しい細胞を作くっていかなくてはならないのです。誰が、どうやって作るのでしょう?
実は新しい細胞を生み出すのではなく、細胞自身が分裂して、新しい細胞ができるのです。全ての生物の共通の特徴でもあるのですが、細胞が分裂するときに、遺伝子もコピーされていくのです。つまり、遺伝子自身が自分のコピーを作ることによって、細胞が分裂していくと考えてもいいでしょう。ヒトの場合は、コピーをしても遺伝子個々の量がかわらない細胞(体細胞)と、コピーした後では、その量が半分になる細胞(生殖細胞)の二種類があります。
体細胞が自身のコピーをすると言うことは、古い細胞が新しい細胞を作っていくことです。鼻の部分は鼻に、お尻はお尻にと、とても厳密です。生殖細胞の自己複製は、その性質を新しい世代に伝達する「配偶子」を作ると言うことです。
さあ、脳みそが「ウニ」になっている人、大丈夫です。ここで、私を例に解説します。私は身長百八十三センチ、体重七十六キロです。そして、私の父も身長百八十一センチ、体重八十キロでスポーツマンでした。今でこそ背が高い人を多く見かけますが、私が子供のときは父は「大男」でした。私の母は学生時代はテニスの選手だったそうです。私はというと、小学生のときから背が高く、大学生に間違われることもしばしばで、スポーツは何でもこなす元気な少年でした。身長も年齢と共に伸びていきました。若いときは少なかった体重も年々増えて、いまでは「お父さんそっくり!」とよく言われます。歩く姿も、話の仕方までもよく似てきたと言われます。
・「身長も年齢と共に伸びていきました」「体重も年々増えて」が体細胞の自己複製、
・「背が高く体重もある」「スポーツは何でもこなす」が生殖細胞による自己複製と言うのです。
このように親の特徴が子に伝わることを「遺伝」と言うのです。そしてそれを伝える設計図を遺伝情報といい、遺伝情報を伝える一つの単位を遺伝子というのです。先ほどの本棚の本には、遺伝情報がびっしり書き込まれているわけです。
遺伝子は本、染色体は本棚、染色体の集まりのゲノムが本の部屋、専門書の集まりである本の部屋がたくさんあるのは図書館、その図書館の名前が「ヒト」であったり「ハエ」であったり「トマト」と言うのです。
「遺伝子組み換え技術」とは、別の図書館からその図書館に必要のない本を持ってきて入れ換えることなんだ、と考えるとわかりやすいと思います。
今回のお話は、少々専門的な内容となりましたが、今後お話を進めていく上で、参考になることだと思います。何度も何度も読み返してみて下さい。
次回は、遺伝子組み換えの方法について勉強しましょう。
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