おほもと Oomoto

大本 教義に見る 脳死・臓器移植

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死の意義

大本の教えでは、人間は神から賦与された“霊魂”と“肉体”が結合した生命体で、母胎で受精してのち、霊と体は密接不離的に結合され出生するとみる。出生後も一体的な成長過程をへて容易に分離できないように形成され、成年に達しようやく霊肉ともに完成する(大本では、男性は三十歳位、女性は二十歳位で完成するという)。 

先にのべたように、人間の死は堅く結ばれた霊魂と肉体が分離するときであるが、この両者は各臓器器官のみでなく全細胞を通じ全身で一体化しているため、その分離は容易でない。それだけに死は人間にとって唯一最大の顕幽の境であり、霊魂にとっても肉体にとってもきわめて重大な意義をもっている。

現代人の多くは信じ難いであろうが、人間の霊魂が肉体を離脱して霊界にいたったとき、その直後の姿は脱却した肉体と同じ形態をしている。このことは今日では世界の心霊研究にたずさわる人々の常識となっている。

霊魂が肉体から離脱するといえば、多くの人が書店にある「幽体離脱現象」などと題する書籍を想起するかもしれない。しかし、それは人の死を意味する離脱でなく、霊魂の一部が一時肉体を脱し、部屋の天井あたりから自分の肉体を俯瞰しながら浮遊し、再び元の肉体に帰る現象などをいう。人の死はこれと異なり、霊魂が肉体から完全に分離し、再び肉体に帰ることなく霊界に行き、そこで永遠に生き通すのである(霊魂は現界に再生したり転生したりすることもある)。

ここで人間が現実界に存在することの意義、すなわちなぜ人はこの世に生まれてきたのかについて触れておきたい。このことは論旨に外れるようであるが、脳死臓器移植がもたらす霊魂上の影響を考えるにあたり、必要と思われるからである。

人間は原則的にいうならば、天界の天人夫婦の霊子(天人の子で弱小な霊的生命)が、現界人夫婦の婦人の胎内で受精卵に宿り、その胎児が成長し現世に出生したものである。聖師は『霊界物語』に次のようにのべている。「天国において天人夫婦が情交を行ひ霊子を地上に蒔き落とす時は、その因縁の深き地上の男女はたちまち霊に感じ情交を為し、胎児を宿すことになる。その胎児は即ち天人の蒔いた霊の子の宿ったものである」(第十九巻「霊の礎・五」)

出生した人間は、現世における生活を通じ、その善悪の葛藤のなかで霊魂(霊子が成長したもの)を練り鍛え、死後その霊魂は天人となって天界に復帰するのである。『霊界物語』には、「人間は他の動物と異なり、死後はじめて霊界に入り復活して天国の生涯を営むものなれば、人間の現肉体の生命は只その準備に外ならないことを知らねばならぬ」(第五十六巻総説)とある。

つまり現実界は、人間が天人になるための“修行場”であり“天人養成所”であるが、それとともにすべての人は、現実界を天国化する神の御業に仕える目的をもって生まれてきたのである。したがって人間は生涯を通じて、神のため世のため人のために働き、現界での修行を無事果たし、死後地獄界に落ちたり中有界に迷うことなく、天界へ復帰しなくてはならないのである。聖師は次のようにいう。「人は天地経綸の奉仕者にしていはゆる天地の花、神の生宮たる以上は、単に他の動物のごとく卑劣なるものではない。神に代つて天地のために活動すべきものである」(『霊界物語』第五十六巻総説)。

こうした人生の目的を達成させるために、宗教は人の在世また死後を通じて、霊魂が天界に進むいかなる妨害も排除し、人を地上天国建設の大使命に向かわせるのがその務めである。人の死は、こうした人生の成果を神に問う重要な分岐点であるため、宗教は人の死後もその霊魂が無事に天国へ昇り安住するよう祈り、またその善導に専念するのである。

つづいて人間はなぜ死を迎えねばならないのか、つまり死の意義についても触れておきたい。残念ながらこの問いに対し過去の聖賢は明快な回答を示していない。

これに対し出口聖師は、人間に死の関門があるのは人にとって大きな悲しみではあるが、永遠を見通される仁愛の神からすれば、死は人間の霊魂が進歩する手段として与えられたものと説いている。つまり、死は人の霊魂の“進化の手段”であって、もし肉体に死がなければ人の霊魂は永遠に同じ境遇に固着して変化がない。人の霊魂は、境遇を変えさまざまな変化に遭遇して飛躍し進歩するのであり、霊魂の無限向上を願う神は、人間に死を与え幾度となく肉体を新たにし、生き変わり死に変わりさせながらその向上をうながされるのである。

なお当然のことながら、霊魂離脱後の肉体は、自然界の法則にしたがい次第に冷却し腐敗する。つまり、“死”とは肉体の死であって霊魂の死ではない。


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