おほもと Oomoto

大本の近年の主張〜声明、見解、要望書

  1. グローバル
  2. > 日本語ホームページ
  3. > 見解・声明

平成13年7月23日

文部科学大臣
 遠山 敦子 様

京都府亀岡市荒塚町内丸1番地
宗教法人 大  本
代表役員 奧田宗弘

「特定胚」指針案の全面撤回を求める要望書

[撤回要求]

文部科学省はクローン技術規制法(「ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律」、平成13年6月6日施行)に伴う「特定胚」指針案(「特定胚の取扱いに関する指針(案)」)に対する〈意見募集〉を行ったが、この指針案の内容は「人間の尊厳」を侵す研究を認めるものであり、大本教団として断じて容認できるものではない。文部科学省は、「人の尊厳の保持」を目的とするクローン技術規制法の精神を真摯に受けとめ、指針案を全面的に撤回されるよう、強く要求する。
以下に、本教団としての〔反対理由〕と〔要望事項〕を提出する

[反対理由]

 人間と人間、人間と動物の受精卵、細胞をかけあわせて新たな生命体を作る研究は、人間生命を軽視した「人間の尊厳」を侵す研究であり、人類社会の将来を脅かすものである。また、いかなるヒト胚(「特定胚」を含む)にも生命は宿り、それを被験の対象として破壊・操作する研究は非人道的であって、〈生命軽視の風潮〉と〈心の荒廃〉をいっそう深めることになる。

[要望事項]

1 日本が率先して「生命の尊厳」を世界に訴え、クローン人間誕生につながる「クローン胚研究」の全面禁止を明文化すること。

2 クローン技術を用いず〈生命破壊〉を伴わない再生医学研究に、科学者の英知を結集させること。

[趣旨説明]

今回の指針案は結果として三つの「特定胚」(「ヒト胚核移植胚」「ヒト性融合胚」「動物性集合胚」)の作成・研究を認めているが、これらは人間と人間、人間と動物の受精卵、細胞をかけあわせて新たな生命体を作る研究である。これらの研究内容はこれまでその是非について国民に問うたこともない 新しい重大な倫理的問題である。欧米諸国でもほとんどの国で公認されていないこれら「特定胚」研究を、わが国が十分な国民的議論を経ず、行政指針の中で、世界に先駆けて容認するようなことがあっては、わが国の低いモラル意識を表明することになるとともに、国際競争に遅れをとるまいとする経済優先の姿勢は、世界から失笑と軽蔑を招くことになろう。
 宗教的立場でいえば、ヒト胚は動植物がもつ生物学的それと異なり、時間を経るにつれ明確に人格性をもつ存在へと成長する。ヒト胚は本来、人格性の“因”をもつものであって、これを人格性をもたない動植物の生物学的生命と同列扱いにして混合し 新生命を作ろうとする研究は、人間生命の軽視であり、「人間の尊厳」を著しくそこなう 許しがたい行為である。
 特定胚「動物性集合胚」は、本来動物として生まれる個体に、一部人間の細胞が混合した生物を作る研究であるが、この胚を母体に戻せば、動物と人間が混合した“キメラ生物”が誕生する。これは人間生命を軽視したもので、クローン人間以上に人類社会の将来を脅かすものである。指針案では、新たに作成した〈生命体〉の取扱いは「作成後14日以内」に限定し「当分の間、人又は動物に移植してはならない」とし、これらの特定胚を母体に戻すことを当面禁じているものの、科学者の中には学問的探究心や好奇心などから、どのような批判があっても技術的に可能なことを実現しようとする者がいることは否定できない。こうした特定胚の作成を認めると、それが密室性の高い実験室内で行わるだけに、将来にわたり“未知なる生物誕生”の危険が常につきまとい、人類の不安は払拭されない。
 また、ヒト胚のみでなくクローン胚等の「特定胚」にもすでに固有の生命が宿っており、その生命は微弱であっても成人のそれと本質において変わりなく、尊厳さにおいても同様である。したがって、こうした生命を破壊し生体実験する研究は非人道的研究であり、科学技術による暴力的破壊行為である。今日、幼い命が奪われるなど 人の命を命とも思わないような殺人事件が多発しているが、研究者によるこれらヒト胚等の破壊も“弱者の命を意図的に断つ”ものであり、“生命のモノ化(資源化)”を進め、その研究の日常化は、今日社会に蔓延する〈生命軽視の風潮〉と〈心の荒廃〉をいっそう深めることになる。
以上の理由から、このたびの「特定胚」指針案は全面的に撤回することを要求する。

[要望事項の説明]

1 日本が率先して「生命の尊厳」を世界に訴え、クローン人間誕生につながる「クローン胚研究」の全面禁止を明文化すること。

今回の指針案では「人クローン胚」研究禁止という当然の判断をしているが、しかしそれも「当分の間」の措置としており、将来の研究の余地を残している。
米国ブッシュ政権は本年6月「クローン胚作成はクローン人間につながりかねない」として、医療用の研究も含めて全面禁止する意向を明らかにし、「研究が禁止されると、欧州や日本に遅れをとる」という科学者団体やバイオテクノロジー企業などの意向を背景にした民主党がこれに反対し、議論が並行しているという。欧州では、欧州連合の倫理委員会もクローン胚作成を認めておらず、ドイツでは法律で禁じ、フランスでも作成を禁じる法案が提出されている。クローン牛に見られる高い死亡率や先天性の異常発現など、クローン技術に伴う危険性が指摘され、問題が山積するなか、本年1月末、米国とイタリアの不妊治療医らがクローン人間誕生計画を発表し、クローン人間作りが現実味を帯びている。わが国はクローン技術規制法を制定し、いち早くクローン人間誕生を法律で禁じた国として、世界に率先して「生命の尊厳」を訴えるためにも「クローン胚全面禁止」を明確にし、将来にわたってその研究の道が開かれないよう、明文化するよう強く要望するものである。

2 クローン技術を用いず〈生命破壊〉を伴わない再生医学研究に、科学者の英知を結集させること。

クローン技術は、人類のアイデンティティーを脅かす危険な技術であり、人間への応用は断じて行われてはならない。このクローン技術をヒトES細胞研究と組み合わせれば、将来拒絶反応のない臓器ができる可能性があるなどとして、この技術が再生医療への応用に不可欠かのごとき伝えられ方をしているが、免疫拒絶を起こさない細胞や組織を得る方法はこればかりではない。体性幹細胞(組織幹細胞)の研究や、その他最近報じられた体細胞から発見されたES細胞同様の“万能性”を有する幹細胞の研究など、クローン技術を用いず、またES細胞のように〈生命破壊〉(受精卵破壊)を伴わない再生医学研究に、日本の科学者の英知を結集するよう指導されることを強く要望するものである。

以 上

付 記

なお、今回の指針案が認めている特定胚「ヒト胚核移植胚」は、同一の遺伝子構造を持つヒト胚の複製(クローン)であるが、これは「人クローン胚」と本質的に同等であって、この胚を母体に戻せば“クローン人間誕生”と変わらない結果をもたらす。また同じく特定胚「ヒト性融合胚」は、動物の卵子と人の体細胞を“クローン技術”で融合しクローン胚を作成するものであり、これは人の卵子を用いる「人クローン胚」作成前の基礎研究が主なる目的であることは明白である。したがっていずれの研究も、クローン技術規制法の目的(「人の尊厳の保持等」)に反する研究といえ、認められるものではない。

大本の近年の主張〜声明・見解

《最新》
脳死・臓器移植
ヒト胚・ES細胞研究
遺伝子組み換え作物
その他
日本語ホームページへ戻る
Ĉiuj rajtoj rezervitaj de OOMOTO.
©2010 OOMOTO. All rights reserved.