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平成13年8月1日 総合科学技術会議 京都府亀岡市荒塚町内丸1番地 このたび大本教団は、「ヒトES細胞の樹立及び使用に関する指針」に対して、下記内容の〈反対声明〉を送付致します。御査収下さい。なお同文を、総合科学技術会議・生命倫理専門調査会、科学技術・学術審議会、ならびに京都大学再生医科学研究所「ヒト幹細胞に関する倫理委員会」にも送付致します。 |
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「ヒトES細胞研究解禁」に対する反対声明 〔反対声明〕 人間のES細胞(胚性幹細胞)の基礎研究に関する指針(「ヒトES細胞の樹立及び使用に関する指針」)について、総合科学技術会議・生命倫理専門調査会で最終案がまとまり、総合科学技術会議(議長・小泉純一郎首相)の承認をへて、わが国におけるヒトES細胞研究が事実上解禁されることが報じられた(「読売新聞」平成13年7月5日付夕刊)。大本教団はこれまでヒトES細胞研究に対して繰り返し反対の意を表明してきたが、このたび この研究を容認する指針が発表されるに際し、あらためて強く反対を表するものである。 [反対理由] ヒトES細胞研究は受精卵(ヒト胚)の生命を断つという〈生命破壊〉の前提に立った非人道的研究である。今日、幼い命が奪われるなど 人の命を命とも思わないような殺人事件が多発しているが、研究者によるこれらの受精卵破壊も“弱者の命を意図的に断つ”ものであり、その研究の日常化は、今日社会に蔓延する〈生命軽視の風潮〉をいっそう進めることになる。 [要望事項] 1 総合科学技術会議で受精卵(ヒト胚)研究全般について検討するとしているが、「人は“受精の瞬間”から 絶対に侵されてはならない存在」との回答が最も多かった国民意識調査結果をふまえたうえで、“受精卵を破壊し操作する”研究の是非について宗教・人文科学も含み、幅広く慎重に議論を積み重ねられること。 2 人間生命の“資源化”によって「生命の尊厳」が侵されることのないよう、ヒトES細胞の“生命倫理的地位”を究明されること。 3 〈生命破壊〉を伴わない再生医学研究に科学者の英知を結集させること。 4 京都大学再生医科学研究所によるヒトES細胞“国産化”計画を承認されないこと。 |
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[趣旨説明] ヒトES細胞は、慢性的な臓器不足に悩む移植医療にとってその供給源として大きな光明かのように伝えられているが、これによる再生医療は〈生命の中断〉、すなわち受精卵の破壊を前提にしている。また、この研究にあてられる受精卵は、不妊治療のため体外受精を行った夫婦から“不要”になった余剰卵(余剰胚)を譲りうけるとしている。余剰卵は本来あってはならないものであるが、たとえ存在したとしても、このような受精卵は“不要”になったことを理由に、モノとして他の目的に用いられてよいものではない。これらはいずれも固有の〈生命〉を宿すものであり、単に廃棄するのでなく丁重に土に帰し葬られるべきである。 [要望事項の説明] 1 総合科学技術会議で受精卵(ヒト胚)研究全般について検討するとしているが、「人は“受精の瞬間”から 絶対に侵されてはならない存在」との回答が最も多かった国民意識調査結果をふまえたうえで、“受精卵を破壊し操作する”研究の是非について宗教・人文科学も含み、幅広く慎重に議論を積み重ねられること。 受精卵(ヒト胚)の研究については人の生命の根幹に関わることであり、国民精神に及ぼす影響は大きい。旧科学技術庁が一般国民を対象に行った意識調査(平成12年3月)によると「人の受精から誕生までの中で、いつの時点から人として絶対に侵してはならない存在とするか」との問いに対して「受精の瞬間から」との回答が最も多く、また「受精卵(ヒト胚)を利用した研究の是非」については全体の過半数が反対または態度を留保している。このような調査結果があるにもかかわらず、今回の指針作成にあたってこの結果は参照されず、科学者のいう「有用性」のみが優先された。〈人間の尊厳〉とは何か、受精卵破壊がそれに抵触しないのか、国民の意識に反していないのかなどについて、国として本格的に検討し、ヒトES細胞研究が人類社会にとって真に「有用性」のある研究なのか、自然科学の観点からのみでなく、文化的、社会科学的観点からも究明されるよう要望する。 2 人間生命の“資源化”によって「生命の尊厳」が侵されることのないよう、ヒトES細胞の“生命倫理的地位”を究明されること。 ヒトES細胞は民間製薬会社の医薬品開発のための毒性試験、基礎医学研究などに使われるとされるが、これらは“生命の商品化”、また一種の“人体実験”といえるものである。科学者の多くは、受精卵を“廃棄”することと、研究目的のために“破壊し利用”することを同列に見ているが、宗教的立場からいえば両者は明らかに違う行為である。廃棄処分は生命の肉体的消滅を意味するが、受精卵中の細胞を培養して得られるヒトES細胞の研究利用は、人間を“部品の集合体”とみ、生命が消滅しないまま再利用されるものである。受精卵の“生命”が形を変えES細胞として、その“生命”がさまざまな実験対象に利用されるのである。これはヒトの霊性をもつ“生命体”にとって残虐この上もない行為といえ、ここに大きな倫理的過ちが認められる。科学的利用価値をいう前に、受精卵及びヒトES細胞のもつ“生命倫理的地位”を究明することが急務である。 3 〈生命破壊〉を伴わない再生医学研究に科学者の英知を結集させること。 ヒトES細胞研究は、不妊治療で余った受精卵(余剰胚)を破壊して作成するという〈生命破壊〉を前提とした研究であり、倫理的問題があまりにも大きい。再生医学研究の治療への応用は、ES細胞のみが唯一の光明かのごとき伝えられ方をしているが、体性幹細胞(組織幹細胞)の研究や、その他最近報じられた体細胞から発見されたES細胞同様の“万能性”を有する幹細胞の研究など、人間生命の破壊を伴わず 倫理的問題の低い 再生医学研究に、日本の科学者の英知を結集するよう指導されることを強く要望するものである。 4 京都大学再生医科学研究所によるヒトES細胞“国産化”計画を承認されないこと。 ヒトES細胞については倫理的問題性が大きく、これまで国立の研究機関でこれを作成した機関は世界にない。1998年11月、米国で作成されたヒトES細胞も国の公的資金によるものではない。しかし新聞報道(「読売新聞」2001年6月14日付)によれば、わが国で本年6月13日、ヒトES細胞の日本“国産化”をめざした研究計画が京都大学再生医科学研究所の「ヒト幹細胞に関する倫理委員会」に申請され、その審議が始まったことが報じられた。この報道が真実であるとすれば、研究指針が国の専門機関で審議未了の段階で申請されたこと自体拙速であるが、と同時に、世界初の“公費による作成”を計画、申請した研究グループは 同研究のもつ深刻な社会的問題の本質を軽視しているといわざるをえない。 以 上 |