大 本 本 部
政府は、平成7年12月14日「破壊活動防止法」(以下破防法とする)をオウム真理教に対して適用するとの方針を決めた。しかし同法の適用は昭和27年の制定以来はじめてのことであり、この適用を先例として今後の運用に道を開き、信教や思想に対する政治の不当な干渉をもたらすのではないかと危惧せざるをえない。
大本は、戦前政府による弾圧を二度もうけた。とくに昭和10年12月の第二次大本事件は、治安維持法違反の疑いによるものであったが、6年8カ月におよぶ審理のすえ、その容疑は無罪となった。しかし、事件の過程で三千人の信徒が検挙、拘束取り調べをうけ、幹部61人が起訴され、裁判の結審を待つことなく全国数百件にのぼる教団施設は強制破壊され、教典などの多くの出版物は焼却された。拷問により二人が獄死し、十数名が心身を障害して獄外死した。信徒は国賊の汚名をきせられ、悲痛な社会的断罪をうけた。
これらの容疑も昭和17年には治安維持法違反が無罪となり、残った不敬罪も昭和20年10月、GHQ指令をうけた大赦令で消滅し、この事件のすべては解決した。
この悲惨な事件は、治安維持法の適用によるもので、当時の大本諸活動を政治活動と曲解した近代日本宗教史上類例のない弾圧となった。
オウム真理教の行った数々の犯罪は真実を究明したうえ、刑法で厳重に裁かれるべきである。宗教法人法による解散も妥当であろう。しかし、そのうえに破防法の適用は不可欠であろうか。法人の解散に加え破防法が適用されるならば、すでにオウムの非を認めている信者や脱会者の社会復帰をさまたげることにはならないだろうか。ゆきすぎた制裁は、かえって彼等を偏執させることにもなる。
大本は、過去の体験にかんがみ、破防法が治安維持法と異質とはいいがたい性格の治安立法であり、その適用は信教や思想、結社の自由をそこない、宗教団体や思想団体のみならず、一般市民をも精神的に拘束し人権を侵犯する可能性が強いことをおそれる。よって政府はこの適用を見送るべきである。そして、今回の事件の真相を徹底的に究明し、再びかかる犯罪の起こらぬよう社会を善導すべきである。そのための宗教者相互の真摯な対応と協力が大切であると考える。
破防法の適用は、慎重の上にも慎重を期すべきである。