
「霊界」― 科学の視点から
大本では、霊界について前述のように教えられていますが、全く違った科学の視点からの研究も進められています。心理学者、精神科・神経科の医師、脳生理学者、哲学者、文化人類学者、宗教学者などが研究団体を組織して、「臨死」について研究を深めています。
ここに『臨死体験』という一冊の本があります。

著者は立花隆という、ジャーナリストであり評論家であり、東大で教授も勤めている方です。日本のジャーナリズムを代表する一人と表現してもよいと思います。取材、研究は多岐にわたっています。
この本ができた経緯ですが、これは本来、本を作るための取材から始まったわけではありません。『NHKスペシャル』(1991年3月放送)という番組の中で紹介するために、立花氏が一年間かけて日本はもとより、世界各国を回って材料を集めました。
そして「臨死」という番組を作り、16.4%という視聴率をとりました。これは同番組の平均からいうと、非常に高い数字です。さらに教育テレビでも3回に分けて放送しており、延べ2,000万人の人が見た計算になる話題の番組になりました。
しかし、立花氏自身としては、終わったあと非常にストレスが残ったようです。なぜなら、全体の取材量を100%とすると、その番組に使えたものはわずか1%にも満たなかったからです。したがって、それを上巻、下巻、続編とまとめたものがこの本です。
私はこの本を読みましたが、正直びっくりしました。なぜなら、この本の内容と、出口王仁三郎聖師の『霊界物語』の内容が、ぴったりと符合するのです。
今日は、この本の中から一件だけを紹介させていただきます。
フィンランドの女性医師、ラウリ・リーナ・ルーカネン・キルデという方が体験されたことです。この方は医師なのですが、自身が急性腹膜炎という病気になり手術を受けることになりました。そして、手術室に入ってすぐに臨死状態になり、手術室の上の隅から全体を見渡しているという状態になったのです。
そして、手術が始まり、執刀医が体にメスを入れようとした瞬間、その方は「まずい」と思いました。そこには小さな動脈があって、もしもメスを入れたら大変なことになってしまう。一生懸命「そこはだめだ」と言うのですが、まったく伝わらない。結局、執刀医はそこにメスを入れてしまい、血がバーッと吹き出しました。
その瞬間、上の隅のほうで見ていた自分は、トンネルのようなところを通って真っすぐ上に昇って行き、着いたところがとても神々しく、心地の良い世界でした。そこで、これからこういうことが起こる、といった予言的なことも聞かされるのですが、最終的には、「まだこの世で果たすべき使命がある」ということを伝えられ、すでに手術が終わった後の肉体に戻っていくわけです。

その後、この方は、自分が体験したことは医学的、科学的にどういうことなのか真剣に考え始めます。そうする中で、人工的に臨死の状態になれる方法を突き止められました。それは、一種の催眠術なのですが、それをすると大変危険なので、ある時を境にやめておられます。
どのように臨死状態になるかというと、力を抜いて、手足の末梢の血管から血液が消えていくことをイメージするのです。おもしろいのは、この方は医師なので、臨死状態にある自分を診察するのです。精霊である自分が自分の肉体の脈拍を測ってみると、どんどん下がっていく。顔もだんだんと血の気が引いてくる。そして、これ以上進むと肉体がだめになって本当に死んでしまうということが分かるので〝もう危ない〟と思った瞬間、「お母さん助けて!」と叫ぶのです。こういう時は残念ながら「お父さん」ではないんですね(笑)。すると、一瞬にして1000キロ離れた母親のもとに精霊が行った。
そこでは、母親が花模様のドレスを作っていて、そのそばでキルデ医師の姉の子が遊んでいます。「あれ、お姉さんは?」と思った瞬間、今度はお姉さんのもとへ精霊が行く。そこでは、ご主人ではない男性とバーでお酒を飲んでいるお姉さんの姿を見ました。
翌日、実家に電話をして「昨夜8時ごろ、お母さんは何をしていた?」と尋ねると、そのとき電話に出た父親は「それは言えない」と言うのです。なぜなら、そのドレスはキルデ医師の誕生日プレゼントとして縫っていたからです。
しかし、どうしても知りたくて、「こういう花柄模様のドレスを縫っていたんじゃない?」と言うとその通りで、自分が見たことと現実が一致したのです。それから、お姉さんのところにも電話をし、昨夜8時ごろ何をしていたかと尋ねると、お姉さんは機嫌が悪い。「男の人とバーでお酒を飲んでいたでしょう」というと、「いらないお世話よ」と言って電話を切られてしまった。ということは、それもやはり事実であったということが裏付けられたのですね。
キルデ医師はもう一つの体験をします。ある時、瞑想(めいそう)をしていたら自分の意思に関係なく手が上がり、ある記号を書き始めました。

それは「∞」。無限大です。その手はおろそうと思ってもおりない。ふと「これは何かの意思があるのかもしれない」と思いました。そして、「あなたの伝えたいことがあれば伝えてあげるから」と言うと動きが止まり、次に書いたのが「SOLBEIG」、ソルベイグ、これは2ヵ月前に亡くなった自分のいとこの名前。医大で教授をしていたいとこでした。
そして 「私は生きている」 ということを伝えてきたのです。再度「伝えてあげるから」と言うと、その後、延べ24時間で、『死は存在しない』という一冊の本を書いたのです。
おもしろいのは、キルデ医師が書こうとしてスタンドの明かりをつけると、 “そんなものは必要ない。どうせお前が書くんじゃないから消せ” と、真っ暗な中でも次から次へと文章が書き上がっていく。
キルデ医師は、文章を書くことが苦手で字も下手だったそうですが、自分が書き上げたものを見てみると、字も美しく文章も見事なものでした。この本はヨーロッパ各国で翻訳されてベストセラーになり、母国フィンランドでも多くの人に読まれました。この本に対する読者の反応も、おおむね好意的であったと伝えられています。
(明日につづきます・2月3日公開)
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