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HOME > 教え > 暁の大地・もくじ > 第2回・宇宙のはじまり



 松太郎(まつたろう)は、手にした湯呑みをテーブルに置き、ゆっくりと話し始めた。

「大地(だいち)、この宇宙はいつごろできたか知っているか?」

「いろんな学説があるようだけど、今から150億年前のビッグバンから始まったということじゃなかったかな?」

「そうだなあ、一般的にはそう言われているな。でも大本では、今から約56億7000万年前に始まったと教えられている」

「教えられているって、誰に?」

「出口王仁三郎という人だ。大本では〝聖師さま〟と呼ばれている」

 大地は襖(ふすま)が開けられたとなりの畳の部屋、ご神前の間に掲げられた写真に目をやった。

「あの人だね」

「そう、あの聖師さまが、『霊界物語』というご神書の中で書かれているんだ」

 大地はもう一度ご神前の間に目を向けた。

「本棚の中にズラッと並んだ本だね。あの中にそんなことも書いてあるのかぁ」

 うなずきながら、松太郎の顔に視線を戻した。

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「聖師さまは、宇宙創造の始まりについて、『大虚(だいこ)空中に一点の ゝ (ほち)忽然(こつぜん)と顕(あらわ)れ給(たま)う』と言われている。大虚空中というのは、まったく何もない状態のことで、ゝ(ほち)というのは、点のようなことだろうが、そうとしか表現できない存在で、今の私たちには想像できないもののようだね」

「確かに、何もない状態というのは想像できないけどね」

「そのゝ(ほち)が、次第に変化して円形のようになって、su.jpg(ス)のコトタマが生まれ出たんだ」

su.jpg(ス)のコトタマ?」

「一般では言霊と書いて、コトダマと言われることが多いが、大本ではコトタマと言っているなあ」

「そうなんだ。それでsu.jpg(ス)の言霊って音なの?」

「音とも何とも例えられなくて、これも想像できないものなんだろうなあ。何でもこの世でいちばん近いのは、生まれたばかりの赤ん坊の寝息だそうだ。大地も結婚して子供を授かったら、寝ている赤ん坊の口元に耳を近づけて試してみるがいい。とても気持ちのいいものだよ」

「ふう〜ん」

「このsu.jpg(ス)の言霊こそが、神さまの〝元祖の元祖〟ということだよ」

「ということは、国祖ということだね」

「そうなんだけど、そうじゃないんだなあ〜、これが」

「え〜、どういうこと」

「国祖という呼び名になるのは、もっとずっと後になってからで、この地球が出来てからになるんだよ」

「あぁ〜、昔の武士のように、年齢とともに名前が変わるようなものだね」

「そうそう、そういうことだ」




 松太郎は、話をもとに戻した。

su.jpg(ス)の言霊は、まだ霊でもなく、宇宙のすべてのものの〝大根元〟であり、ちょっとむずかしく言うと、太極元(たいきょくげん)ということだ」

「太極元? 確か太極(たいきょく)というのは、中国の易学(えきがく)から出ていて、朱子学の宇宙論の中で重視された概念だよね。万物の元始、宇宙の本体、万物生成の根元、という考え方だね」

「さすが大地、よう知っとるね」

 大地は、一応大学生ですからと言わんばかりに、得意そうな顔をしながら、

「で、そのsu.jpg(ス)の言霊はどうなったの?」と聞き返した。

 松太郎は、su.jpg(ス)の言霊にも呼び名(ご神名)があることを大地に伝えた。

 天之峯火夫神(あめのみねひをのかみ)である。

 天之峯火夫神は、その後10億年経過する間に、現在の宇宙とはちがう、霊的な世界(天の世(あめのよ))でのご活動を続けられることになる。

 松太郎は、『霊界物語(天祥地瑞)』で示されている〝天の世〟の状況を話そうかと思ったが、一度に説明すると大地が混乱するかもしれないと思い、あえて話さず、話を10億年すすめた。

「天之峯火夫神とよばれたsu.jpg(ス)の言霊が、湯気とも煙とも何ともたとえようのない異様で微妙なものとなって大虚空中に漂っていたんだ。そしてこれが十億年たって広がり、形も音も色もない霊物となったんだ」

「え〜、10億年でそれだけ? 気の長い話だね。その霊物というのは、結局得体の知れない物ということじゃない」

「まあ、そうとしか表現できないんだなあ」

「なかなか理解しづらいね」

 大地は、学校で習うこととはまったく別物だと思った。

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「大地やいいかい、人間はとかく自分を標準として物事を推し量りたがる生き物だ。だから神さまというと、すぐに人格化して想像してしまう。そして自分と比べてあまりに大きな太陽や月、地球や星などは命のないもののように考えたがるんだ。でも、この考え方そのものが、本当は幼稚なことなんだよ。神さまのことを知ろうと思えば、まず謙虚にならないといけない。大地、出来るかな?」

 大地は、少し納得いかない顔をしながらも「わかったよ」と答えた。

「で、おじいちゃん、十億年たってどうなったの」

 松太郎は、お茶で喉(のど)をうるおし、話を続けた。

「10億年たって現れた霊物を宇宙の大元霊(だいげんれい)といい、日本では古事記の中に、〝天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)〟として登場している神さまだ」

「日本では、ということは、外国では違う名前で呼ばれているということ?」

「仏典では阿弥陀如来、キリスト教ではゴッドやゼウス、易学では太極、中国では天主や天帝。まあ、呼び名はいろいろあるけれど、つまりは、造物主や創造者ということだな」

「ということは、世界の主立った宗教がそれぞれ一番だと思ってあがめている神や仏などは、皆同じだということだね」

「そう、根元は同じということ。だから大本では、〝万教同根(ばんきょうどうこん)〟という教えがあるんだ」

「万教同根かー、いい言葉だね」

 以前にも松太郎から聴いていた言葉であったが、大地はその意味が少し理解できた気がした。

「さて、細かく説明しているとなかなか進まないので、ちょっとスピードアップしようかな」

「そうだね、まだ鬼の話にまでいってないものね」

 大地もお茶をすすった。




「天之御中主神からさらに20億年、つまり一点のゝ(ほち)から30億年経つまでの間に、天之御中主神から霊と体が生まれたんだ。体と言っても、私たちのような体ではないけどね」

「ちょっと待ってよ。じゃあそれまでの神さまは、霊でもなかったということ?」

「そうだな、だから太極元とか霊物という言葉で表現されているんだろうなあ」

 大地は首をかしげながら、「素直に、素直に」とつぶやいた。

 松太郎は、神さまと人間の知恵や力の差を、もう一度大地に納得させるため、聖師さまのお示しを伝えた。

「洪大無限の神の力に比べては、虱(しらみ)の眉毛(まゆげ)に巣(す)くう虫、その虫のまた眉毛に巣くう虫、そのまた虫の眉毛に巣くう虫の放った糞(くそ)に生(わ)いた虫が、またその放った糞に生いた虫の、またその虫の放った糞に生いた虫の糞の中の虫よりも、小さいものである」(『霊界物語』第五巻・総説)

「アハハ、なるほど。虱に眉毛があるかどうかはさておいて、おもしろい例えだね」と、大地は笑いながらうなずいた。

「その霊と体のことだが、霊系の祖神、ん〜、つまり、霊の元祖を〝高皇産霊神(たかみむすびのかみ)〟といい、体系の元祖を〝神皇産霊神(かむみむすびのかみ)〟というんだ」

「高皇産霊神、神皇産霊神という名前はどこかで聞いたことがあるような気がするなあ」

「神さまを数える単位は〝柱(はしら)〟だから、これから柱という言葉をつかうよ。で、この二柱(ふたはしら)の神さまは、天之御中主神の分身というようなことでなく、働きとしてそう呼ばれているんだ。だから、天之御中主神とともに、三柱(みはしら)で一体ということで、三位一体(さんみいったい)といわれるんだ。古事記では、造化(ぞうか)の三神と書かれている。でも、あくまで独(ひと)り神ということなんだ。ちょっと難しいかな?」

「ん〜、完全には理解できないけど、ここで引っかかっていては先に進めないから…。おじいちゃん、その先を教えて」

「よしよし」と、松太郎は、うなずきながら話を続けた。

「一点のゝ(ほち)から30億年たって、霊・力・体がやや完全となった、と示されている」

「おっと今度は、力が加わったなあぁ。おじいちゃん、その霊・力・体って何か、〝虱の糞虫〟にもわかるように教えてもらえませんか?」と、笑いながらたずねた。

 松太郎は、腕を組んでしばらく考え、ポケットから携帯電話を取り出して、テーブルの上に置いた。

「これだよ」

「えっ、ケイタイ?」


(つづく)

第3回「“大元霊”の霊・力・体」は
次週11月18日〔金〕に公開します

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この連載は、大本の教えをドラマ風に書き下ろしたもので、
登場人物は実在の人物ではありません。













































































▼次回更新予定

脚本担当:成尾 陽のプロフィールはこちら

成尾 陽(大本メディア愛善宣教課長)

なるお あきら:昭和34年熊本県生まれ成尾総務2.jpg
昭和55年、大本梅松塾を経て大本本部に奉職
特派宣伝使、大本青年部長などを歴任
ITVA-日本(国際企業映像協会)関西支部長
亀岡市立つつじヶ丘小学校PTA会長など(平成16年度)もつとめる。
現在、大本愛善宣教部メディア愛善宣教課長

イラスト担当:にしじまさとしのプロフィールはこちら

西島 里司(特派宣伝使)

にしじま さとし:昭和36年兵庫県生まれnishijima.jpg
平成2年、大本梅松塾を経て大本本部に奉職
特派宣伝使、編集部長、大本愛善宣教部メディア愛善宣教課
を経て、現在、特派宣伝使。

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