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HOME > 教え > 暁の大地・もくじ > 第4回・天と地のはじめ



 家庭菜園とはいえ、松太郎の畑は手が行き届いている。多くの冬野菜は収穫が終わっているが、まだ大根や水菜、遅蒔きのホウレンソウなどが育っている。晩秋に定植されたイチゴやエンドウの苗が、立春の日差しを浴びて輝いていた。

 畑に出た松太郎は、

「大地や、その足もとの大根を2本抜いてくれないか」と言った。

 大地は、「はい」と答えて、青く広がった葉を束ね根元を持ち、力を入れて引き抜いた。

「うわ〜、立派な大根だね。おいしそう」

 大地は続けてもう一本抜き、大根についた土を手で払い落とした。

 松太郎はその様子を見ながら何か考え事をしていた様子で、しばらくして思い立ったように言った。

「大地、おまえの後ろにコップがあるだろう」

 大地は後ろを振り返った。畑作業の時にでも使ったのだろうか、少し土で汚れたガラスコップが目に入った。

「あ、これ?」

「そう、そのコップには、雨水がたまっているが、その中に土を一つかみ入れてかき混ぜてごらん」

「え、どうして?」

「まあいいから、やってごらん」

「うん、わかったよ」

 大地は、不思議な面持ちで大根を足もとに置き、一握りの畑の土をコップに入れ、そばにあった棒切れでかき混ぜた。

「これでいいの」

ん、それでいい」

 松太郎は、納得したような表情で、

「大地、これが一点のゝ(ホチ)から30億年たった状態だよ」と言った。

「え? あ、おじいちゃん、宇宙の話にもどるんだね」

大地は笑顔で答えた。

「さっきの話で、今、30億年まで来たなあ」

「はい」

「その時は、霊・力・体がやや完全となるわけだが、まだ宇宙は天と地に分かれていない状態で、〝宇宙全体は混沌(こんとん)としている〟、と示されている。それを分かりやすい例えで言うと、今、大地が持っているガラスコップの中のような状態なんだよ」

「泥水をしっかりかき混ぜたような状態ということだね」

「そのコップの中が宇宙全体だとしたら、見たように、どこがどこだかわからない、まだ天もなく、地もない状況ということになるんだ」

「それで、いつ天地が出来たの?」

「さらに10億年、つまり一点のゝ(ホチ)から40億年の歳月が流れてからと示されている」

「また10億年待つの〜」と、大地は驚いた声で言った。

 松太郎は言葉を継いだ。

「大地、コップを下に置いてごらん」

「はい」

「コップの泥水を地面に置いて、じっと待っていると、いずれ水と泥に分かれるだろ」

「そうだね。重い土は下に沈み、軽い水が表面に上がり、水と土の層がはっきり分かれるね」

「その水と土に分かれるまで十億年必要だったんだ。これはあくまで例えだが、水の部分が天、土の部分が地というふうに理解してもらったらいいんだ」

「なるほど。でも本当に、気の長い話だね」と、大地は感心した面持ちだった。

「そのあと、この地球や太陽、月や多くの星が出来るんだが、それを創(つく)るために、竜が現れるんだ」

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「竜? ドラゴンのこと? へぇ〜、竜が地球を創ったの?」

「最初は、泥の塊のようなものの真ん中に鮮やかな金色をした丸い柱が現れる。それが傾きながら、泥を巻き込み、目にも止まらない速さで回転し出したんだ。するとどうなる?」と松太郎は大地に質問した。

「えっ、そうだねえ。たとえば、コップの中で沈殿した泥をジューサーに入れてかき混ぜたようなものかなあ?」

「おう、そうだなあ、そんなとこかな。それじゃあ、かき混ぜている最中に、そのジューサーの蓋(ふた)をとったらどうなるかな?」

「そりゃあ、泥が四方へ飛び散ってしまうよ」

「ん、そうだなあ。聖師さまは、その飛び散った小さい泥の塊が宇宙に広がり、無数の星となったとおっしゃっているんだ」

「へえ〜。で、地球は?」

「まあジューサーの中に残った中心になる泥の塊ってとこかな。その後、金色の円柱が竜体に変わって塊の上を東西南北に馳(は)せめぐるんだ。それと同時に、金の竜から大小のたくさんの竜体が生まれて、地上を泳ぎ回ったんだ」

「竜の子供ですか?」

「まあ人間の想像を超えた世界で、イメージするしかないけど、その竜たちが通ったところが、大小の山脈になった。そして、低いところに水が集まり、そこが海となった、ということだ」

「そうやって、山や海が出来たわけですか?」

「そう。そして、今度は海の真ん中と思われるところに、とても高い銀色の柱が出てきた。この柱は右廻りに回転して、そこからいろんな〝種〟が飛び散ったんだ」

「今度は銀の柱ですか? まさかそれが銀の竜になったとか言うんじゃないよね」

「そのまさかだ」

「やっぱり!」

「銀の竜は海の上を西から東へと泳いで進み出して、金の竜は東から泳いで来て…」

「戦った?」

「いやいや、そうじゃない。顔を向き合わせて、何か相談されていた様子だったということだ。その後、金の竜体は左へ、銀の竜体は右へ旋回し始め、そのために地上は恐ろしい音響を発して振動したということだ」

「それから」

「この時に、金の竜体の口から、大きな赤い玉が凄(すさ)まじい音とともに飛び出して天へ上って太陽となった。そして銀の竜体の口からは白い玉が天へ上って月となったんだ」

「え〜、意外。じゃあ、地球から太陽と月が出来た、ということなの」

「というより、竜体であった神さまが創られたということになるだろうなあ」

「その金と銀の竜体は、神さまだったのか? で、何という神さまなの?」

「二柱の神さまは夫婦神で、金の竜体が大国常立命(おおくにとこたちのみこと)、銀の竜体が豊雲野命(とよくもぬのみこと)と申し上げるんだ」

「大国常立命と豊雲野命かぁ…」




 松太郎は話を続けた。

「こうして、一点のゝ(ホチ)から40億年の歳月が流れて天地がわかれたわけだが、そのことを〝天地剖判(てんちぼうはん)〟と言うんだ」

「天地剖判……、重厚な響きがあるね」

「さっき銀色の柱の右回転の時に、そこからいろんな種が飛び散ったと言ったが、その種から、いろいろな樹木が芽を出し始めた。その中で最初に生えたのが松なんだよ。だから、大本では、ご神前や玉串に松を使うんだ」

「そうだったのか」

「そして、神さまはこの後も長い歳月をかけ、いろいろなプロセスを経て、今の地球の地理に近い状態を創っていかれたんだ」

「世界の大陸が出来たということだね」

「今の五大州に近い状態になったんだろうなあ。そしてその中でも日本は、天地剖判の時の金の竜体と同じ形、同じ大きさをしているということなんだ」

「そういうことからも、日本は神国と言えるんだね」

「そうして、大宇宙が完成するまでに、なんと一点のゝ(ホチ)から56億年の歳月が流れているんだ」

「うわ〜、想像もつかない長い時間だね。…アッ! おじいちゃん、畑に出てから、ぼくらも長い時間がたったんじゃない?」

「おっ、いかんいかん。あまり話し込んでると、おばあさんから催促が来そうだからな」

「そうだね」




 大地は笑いながら、泥水を畑の土に返し、コップを元あった場所に戻した。収穫した大根を両手に持ち、松太郎の後について台所に向かった。

 大地は、勝手口横の水道でていねいに大根を洗い、台所に入った。

「はい、おばあちゃん」と大根を手渡した。

「ありがとう。さあ、お昼の用意が出来ているからね」

「はい、お腹(なか)空いたなあ」

「おじいさんの話につきあうのもたいへんだろう?」

「あ、いや、そんなことないよ。とっても勉強になるし、楽しいよ」

「そうかい、それならいいんだけどね。おじいさんは、神さまの話になると、止まらなくなるからね」

 2人は笑いながら言葉を交わした。

「おじいちゃん、お待たせ」

大地は松太郎と向かい合わせに食卓に着いた。




(つづく)

第5回「三体の神」は
次週12月2日〔金〕に公開します

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この連載は、大本の教えをドラマ風に書き下ろしたもので、
登場人物は実在の人物ではありません。













































































▼次回更新予定

脚本担当:成尾 陽のプロフィールはこちら

成尾 陽(大本メディア愛善宣教課長)

なるお あきら:昭和34年熊本県生まれ成尾総務2.jpg
昭和55年、大本梅松塾を経て大本本部に奉職
特派宣伝使、大本青年部長などを歴任
ITVA-日本(国際企業映像協会)関西支部長
亀岡市立つつじヶ丘小学校PTA会長など(平成16年度)もつとめる。
現在、大本愛善宣教部メディア愛善宣教課長

イラスト担当:にしじまさとしのプロフィールはこちら

西島 里司(特派宣伝使)

にしじま さとし:昭和36年兵庫県生まれnishijima.jpg
平成2年、大本梅松塾を経て大本本部に奉職
特派宣伝使、編集部長、大本愛善宣教部メディア愛善宣教課
を経て、現在、特派宣伝使。