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HOME > 教え > 暁の大地・もくじ > 第5回・三体の神



 食卓には、湯気を立てているご飯と、ともの手作りの煮物、春菊のおひたし、それに、焼き魚が並んでいた。魚は綾部近くの舞鶴で水揚げされたものだろうか、身が厚くふっくらしている。大地の郷里・長野には海がないためか、実家で見るそれとは鮮度が違うような気がした。

「おいしそうなサバだなあ。いただきま〜す」

 箸(はし)をとろうとした大地に向かい松太郎は、 「ちょっと待ってくれ」と言って手を止めさせた。

「うちでは食事の前に、〝三首のお歌〟というのを唱えるんだ」

「あっ、そうだったね。以前来た時もそう教わったんだ。ごめん。この短歌だね」 

 大地は、食卓の横の壁に貼ってある小さな色紙に目を向けた。

 天の恩土のめぐみに生れたる
   菜乃葉一枚むだに捨てまじ

 一つぶの米のなかにも三体の
   神ゐますことを夢な忘れそ

 火のご恩水のおめぐみ土の恩
    これが天地の神のみすがた

「これは、私たちが、〝二代さま〟と親しみを持って呼んでいる大本の二代目の教主・出口すみこさまが詠まれたお歌なんだよ。さあ、手を合わせて」

 2人は、そろって三首のお歌を拝誦(はいしょう)した。

「今度こそ、いただきます」

「たくさん食べなさいよ」

いただきます.jpg

 時計は午後1時を回っていた。遅めの昼食になり、箸が進んだ。大地は春菊のおひたしを口に運んだ。

「ん〜、おいしい! それに甘いなあ〜」

「そうだろ。うちの畑で作ったものだからな。農薬は使わず、有機肥料で育てているから、安全・安心で、野菜本来の味を楽しめるんだよ」

「春菊って、少し苦みがあるのが普通だと思っていたけど、違うんだね。これだけ甘いと、野菜嫌いの子供でも春菊が好きになるね」

「これが春菊の本当の味だよ。化学肥料を使っていると、本来の味が損なわれてしまうんだろうね」

「そうか、やっぱり本物は違うね」

 食事をしながら、食材の話題で会話がはずんだ。しばらくして、大地が思い出したように、〝三首のお歌〟の色紙を見ながら、松太郎に問いかけた。

「ところでおじいちゃん、この三首のお歌の二首目の中にある、〝三体の神〟って、どんな神さまなの?」

 この質問が、松太郎の神さま談義に火をつけてしまった。

「大地、いい質問だ!」

 大地は、松太郎の得意な表情を見てとり、すぐさま言葉を継いだ。

「アッ、おじいちゃん。その答えは、食事の後に聴くよ。そうしないと、いつまでも、おじいちゃんの昼食が終わらなくなってしまうからね」

 松太郎は、機先(きせん)を制(せい)しられた思いになりながらも、

「アハハ、そうだなあ。じゃあそうしよか」と言った。

「大地はかしこいね、それがいいよ」

 ともがそう言いながら、湯呑みを食卓に置いた。

 食事が終わり、2人は手を合わせて、「ごちそうさまでした」と感謝の言葉を言った。

 台所の方から「どういたしまして」と、ともの声が聞こえた。




 2人は、食卓から離れ、リビングのソファに戻った。

「お待たせいたしました。おじいちゃん、さっきの話の続きをお願いします」

「よしよし、わかった」

 松太郎は笑みを浮かべながら、ゆっくりと話を始めた。

「さっき食べた春菊のことだけど、私が裏の畑で作ったと言ったが、正確に言うとそうじゃないんだよ」

「え、おじいちゃんが作ったんじゃないの? あぁ、わかった。実はおばあちゃんが作ったんだ」

「いやいや、そういうことじゃなくて、あの春菊は実際に私が種を蒔き、水や肥料をやってお世話したものなんだよ。でも人間は、春菊の種を、何もないところから作ることはできないだろ」

「それはそうだね」

「それに人間は、水ひとつとっても、無の状態からは作ることはできない。だから正確に言うと、人間は、野菜の成長のお世話をするだけなんだよ」

「なるほどそういう意味ですか。では、おじいちゃんが育てたということだね」

「ん〜、そうとも言えるし、そうとも言えないなあ」

「また、その答えか」

「野菜を育てるために、大切なものが3つあるんだが、わかるかな?」

「3つ? それはナニ?」

 大地は聞き返した。

「太陽の熱と光。水。それにお前の名前と同じ大地の土だよ」

「太陽と水と土の3つか。だから二代さまは、火と水と土の恩が、天地の神さまのお姿だとおっしゃっているんだね」

「そのとおりだ。だからこのお歌の〝三体の神〟というのは、〝日の大神さま、月の大神さま、大地の大神さま〟のことを指しているんだよ」

 大地は少し首を横に傾けながら、

「太陽が日の大神さまで、土が大地の大神さまということだよね。ということは、水が月の大神ということになるけど、これはどういうことなの?」と聞き返した。

「おまえも知っていると思うが、海の潮の満ち引きは、月の満ち欠けに作用されているだろう」

「はい、それは聞いたことがあるよ」

「この地球上の水に関しては、月の力が大きく作用していると教えられているんだ。潮の干満もしかり、草木につく朝露もしかりだ。私たち人間を含め、この地球上のすべての生物は、月の恩恵なしには生きてゆけないんだよ」

「太陽の力は偉大だと思っていたけど、月の力も大切なんだね」

「だから、人間は、日、水、土という大自然の恵みに対して、常に感謝の気持ちを持たないといけない」

「そうか、それを忘れないためにも、三首のお歌を食事の前に唱えるんだね」

「そういうことだなあ」

「おじいちゃん、ぼくもこれから出来るだけ食事の時には、三首の歌を拝誦するようにします」

「いい心掛けだ。忘れるなよ」

「はい」と大地は答え、話題を神の歴史にもどした。

「ところでおじいちゃん。天地剖判のあと、大宇宙が完成したところまで話が進んでいたけど、それからどうなったの」

「そうだったなあ。一点のゝ(ほち)から56億年の歳月が流れ、大宇宙が完成したところまでだったなあ」

「はい」

「天地がわかれ、地上が造られてしまうと、大国常立命(おおくにとこたちのみこと)さまと豊雲野命(とよくもぬのみこと)さまは、もう竜体である必要がなくなられた。それで、人間の姿に変化されたんだ」

「えぇ〜、人間に変身?」

「いや、今の私たちのような人間の姿ではないんだ。聖師さまは、〝霊体の人間の姿〟とおっしゃっているけど、どんな大きさでどんな姿なのかはわからないなあ。でも、人間に近いお姿だろうと、想像するしかないね」

「そうなのか?」

「大宇宙の元祖の元祖である大国常立命さまは、地球や太陽、月や星を造られたけど、今度はそれらを守り育てていかなければならないわけだね」

「造りっぱなしではないということだね」




 ここで松太郎は、『宇宙の本源は活動力にして即(すなわ)ち神なり』という言葉を大地に伝えた。

「これまでの話で、この大宇宙が存在し、地球をはじめさまざまな天体や惑星などが動いていること、それ自体の働き、活動力そのものこそが神さまである、ということは理解してもらえるかな?」

 大地はうなずいた。

「はい、何となく。でも人間心で考えると、大宇宙を一人、いや一柱で守り育てていかれるのは、たいへんなことだよね」

「そう。だから、神さまはそれぞれに担当を決めていかれるんだ」

「役割分担ですね」

「大国常立命さまが竜体の時、そこからたくさんの竜体が生まれたと言ったけど、その竜体の神々がそれぞれ人間の姿に変身されたんだ。大国常立命さまが親だとすると、そのたくさんの神さまは、お子さんに当たることになる」

「じゃあ、その子供たちがそれぞれ決められたところを担当されるということだね」

「そういうことだ。ここで、大切なことがあるんだ。親である大国常立命さまは、国常立尊(くにとこたちのみこと)(別名・国治立命(くにはるたちのみこと))と名前を変えられて、地球をお守りする担当になられたんだ。この時、〝国の祖(おや)〟ということから、〝国祖(こくそ)〟と呼ばれるようになったんだ」

「それは、ご神名?」

「ご神名というより、人間社会に置き換えると役職や肩書きみたいなものかな。だから、国祖(こくそ)・国常立尊(くにとこたちのみこと)というんだ」

「なるほど。あっ、でも待ってよ。地球ということは地でしょ。〝元祖の元祖〟なら、より高い天の方を担当されたらよかったのにね」

 松太郎は目を輝かせ、膝(ひざ)をたたいた。

「大地、いいところに気づいた! そのことをはじめ、実は、ここからがおもしろい歴史になるんだよ」

「えっ、ナニナニ?」

 大地は身を乗り出した。



(つづく)

第6回「国祖ご退隠と天地の神」は
次週12月9日〔金〕に公開します

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この連載は、大本の教えをドラマ風に書き下ろしたもので、
登場人物は実在の人物ではありません。













































































▼次回更新予定

脚本担当:成尾 陽のプロフィールはこちら

成尾 陽(大本メディア愛善宣教課長)

なるお あきら:昭和34年熊本県生まれ成尾総務2.jpg
昭和55年、大本梅松塾を経て大本本部に奉職
特派宣伝使、大本青年部長などを歴任
ITVA-日本(国際企業映像協会)関西支部長
亀岡市立つつじヶ丘小学校PTA会長など(平成16年度)もつとめる。
現在、大本愛善宣教部メディア愛善宣教課長

イラスト担当:にしじまさとしのプロフィールはこちら

西島 里司(特派宣伝使)

にしじま さとし:昭和36年兵庫県生まれnishijima.jpg
平成2年、大本梅松塾を経て大本本部に奉職
特派宣伝使、編集部長、大本愛善宣教部メディア愛善宣教課
を経て、現在、特派宣伝使。