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HOME > 教え > 暁の大地・もくじ > 第6回・国祖ご退隠と天地の神



 松太郎は、一つ咳(せき)払いをし、話を始めた。

「例え話だがなあ、大地が何か起業したとしよう」

「あ〜、でも現実問題、まだ就職も決まってないんだけどね」と、大地は笑いながら言った。

「まあまあ、あくまでも例え話だよ」と松太郎は苦笑いしながら話を続けた。

 松太郎は、「どんな仕事にしようかなあ」と、腕組みをして考えていたが、少し間をおいて、

「そうだ学習塾にしよう」と言った。

「えっ、学習塾?」

「大地はすでに結婚していて、仲のいい夫婦二人で協力しながら塾を開いたとしよう。最初は、近所の子供たち数人に教えていた。勉強の教え方もさることながら、挨拶(あいさつ)や礼儀など生活態度の指導もしていて、とても評判になった。そのうち口コミで塾に入る生徒も増えてきた。そこで、看板も揚げて本格的に塾の運営をすることになった。塾の名前は『大地塾』だ」

「なるほど、大地塾か!」

「最初は大地一人が先生となり教えていたが、生徒が増えてきて、とても手がまわらなくなった。そこで、優秀な先生を連れて来て、クラスも増やすことにした。これがまた評判となって、入塾する生徒がどんどん増えてきた。生徒が多くなるにつれて、クラスも増やし先生も増員していった。生徒の年齢も幅が広くなり、とても塾の形態ではおさまらなくなってきた」

「大発展だね」

「そこで大地は、塾を学校法人にしたんだ」

「おぉ〜、今度は学校ですか」

「学校となると大きな建物や設備も必要になり、敷地を求め校舎も建てた。ますます生徒も増えた。大地はこの学校の校長先生になったんだ」

「校長ですか。で、学校の名前は『大地小学校』というところでしょうか?」

「まあ、そうするか。学校法人・天地会『大地小学校』というところかな」

「いいねぇ」

「開校と同時に、入学希望者も殺到し、立派な小学校になった」




「ところでおじいちゃん、僕の奥さんはどうなったの?」

「あ、忘れてた。奥さんは、教頭先生になってもらおうかな」

「了解です」

「さて、順調なスタートを切った学校だったが、規模が大きくなると、生徒をまとめていくのが難しくなるなあ」

「そうだね、人が増えると束ねるのは大変だよね」

「そこで、校長はしっかりした〝校則〟を考えて発表したんだ。まじめで一本気、厳格な性格の大地校長は、校則を厳守し、先生や生徒を指導していったんだ。だから、大地小学校は学習面・生活面とも、とても優秀な生徒が育ち、優良小学校になっていくんだ。そしていくつかの分校も出来たんだ」

「さすが大地校長。僕と性格が違うけどね」と、大地が笑った。

「年月が流れ、大地には4人の子供も授かった」

「うわ〜、子沢山だね」

「その子供たちも立派に育ち、やがてこの学校の先生になった」

「家族経営みたいになったんだね」

「現実的には今の私立学校法では、親族での経営はできないけど、あくまでも例え話だからね」

「はい、わかっていますよ」

「さて大地校長だが、本来ならこの学校法人のトップである理事長くらいに就任して、大所高所から学校経営に携わった方がいいんだけど、そこは根っからの職人気質で、あくまで現場にこだわり、校長職にとどまったんだ」

「教育熱心ということだね」

「そうだな。それで自分の代わりに、子供の中で一番優秀な長男に、理事長職を託したんだ。この長男も立派な人格者で、学校法人・天地会の学校は、どこもうまく運営されていたんだ」

「メデタシ、メデタシだね」




「ところがだ」と、松太郎は話を展開した。

「好事魔多し、ということがあるが、そんな立派な学校も、年月を重ねていくうちに、だんだんとほころびが見え出してきたんだ」

 大地はしばらく考えて、

「たぶん、生徒の中にやんちゃな子が増えてきたんじゃないの」と言った。

「そうなんだ。大地校長が決めた校則に従わない生徒が出てきたんだ。〝この学校の校則は厳し過ぎる〟とね」

「さもありなんだね」

「こういうことは伝染するもので、校則や校長に反発する生徒が増えてくる。そればかりか、担任の先生の中にも、反校長派が出てきだすんだよ」

「え、それはマズイよね」

「しかも、保護者の中にも、自分の子供かわいさに、学校に苦情を持ち込む親まで現れてきた」

「今流行の〝モンスターペアレンツ〟だね」

「そう、保護者を後ろ盾にして、先生たちも校長に対して、厳しい校則を緩和して、もっと自由で気楽な学校にしてくださいよ、って進言するようになったんだ」

「で、大地校長はどうしたの?」

「もちろん、頑固一徹な校長は、そんな苦情に屈することはなかったんだ」

「さすが! でも、何だか思わしくない状況になりそうだね」




 松太郎は目を閉じて数回うなずき、言葉を継いだ。

「多勢に無勢どころか、一対大勢だから厳しい状況に追い込まれたが、生徒や先生、保護者からの進言に対して、大地校長はあくまで正論を貫き、一切聞く耳を持たなかったんだ」

「ガンコだね」

「そこで先生らは考えた。 〝そうだ、仲のいい奥さんである教頭先生から助言してもらえば、さすがのガンコ校長も聞いてくれるんじゃないか〟とね」

 大地は「なるほど」という表情で頷(うなず)いた。

「だが、ムダだった。いくら愛妻の言葉でも、そこは譲れなかった」

「ダメかあ」

「そこで、先生たちは最終結論を突きつけたんだ」

「最終結論?」

「〝大地校長、引退してください〟と」

「辞任を迫ったということだね。でも校長は聞かないよね」

「そう、一切とりあわなかったんだ」

「やっぱり。でも先生たちはそれでは収まらないだろうねえ」

「そうなんだ。それで最後の手段に出た」

「最後の手段?」

「校長の長男である理事長の自宅に押し掛けて、いろいろと校長の非を並べ立て、校長を辞めさせてくれ、と懇願したんだ。もちろん、自分たちに都合の良いことしか言わないわけだけどね」

「なるほど。上からの圧力を仕掛けたわけか。でも、理事長にとっては自分の尊敬する父親だから、そう簡単にはいかないだろうね」

「そういうことだ。さすがの大地校長も事ここに至って、自分ががんばりすぎると、学校内の混乱も収めることができないし、理事長も困ってしまうだろうと考えざるを得なくなったんだ」

「つらい立場に追い込まれたということだね。で、どうしたの?」

「大地校長には、先生たちの言う通りにすれば、最初は皆満足するかもしれないけど、いずれ学校自体が崩壊してしまうことは目に見えていたんだ。でも、今は一度好きなようにやらせてみるしかないだろうと思い、自ら校長職を辞任することを決意したんだ」

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「さぞ、残念だったろうねぇ」

「理事長も、父親の気持ちが痛いほど分かっていたので、涙を呑(の)んで引退を宣告されたんだ」

「親子の情として辛いところだね」

「そこで校長は、今の学校の混乱はすべて自分の責任です、妻の教頭にも責任はありませんと、夫婦の縁を切って、その責めを一身に受け、学校を去ってしまったんだ」

「かわいそうにね。で、奥さんはどうされたの?」

「当然ご主人の気持ちは痛いほどわかっていたんだね。だから自分も学校に留まるわけにはいかないと、自ら教頭を辞めてしまったんだ」

「それじゃあ、奥さんは校長について行かれたんだろうね」

「いや、それが違うんだ。全く別の方角へ別れて行かれたんだよ」

「えぇ〜」

「校長が東北の方角へ、教頭が西南の方へ去っていったんだよ」

「それってまったく反対方向じゃない……。アッ、東北の方角というと艮(うしとら)ということだね」

 大地は、大きく頷きながら、「大地校長が〝艮の金神〟という例えなんだね」とガテンがいった表情で言った。

「そう、大地校長が〝地の大神さま〟つまり国祖だね。教頭先生が妻神の〝坤(ひつじさる)の金神〟。大地小学校が地球である〝地の世界〟。そして、学校法人・天地会が〝天の世界〟で、理事長が〝天の大神さま〟という例えなんだ。そして、開設当初の立派な学校が、一点のゝ(ホチ)から56億年経過後の〝もとの神代〟と言われた時代なんだ」

「あ〜、なるほど。何となくわかったよ。そうすると、先生や生徒、モンスターペアレンツが、国祖に対抗した神々ということだね」

「そういうことだ。この時代の経緯が『霊界物語』の第4巻に詳しく書かれているんだよ」

「へえ〜。おじいちゃん、その『霊界物語』をとって来てもいい?」

 と言いながら大地は、ソファーから立ち上がり、ご神前の間にある本棚に向かった。


(つづく)

第7回「あゝ大変」は
次週12月16日〔金〕に公開します

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この連載は、大本の教えをドラマ風に書き下ろしたもので、
登場人物は実在の人物ではありません。













































































▼次回更新予定

脚本担当:成尾 陽のプロフィールはこちら

成尾 陽(大本メディア愛善宣教課長)

なるお あきら:昭和34年熊本県生まれ成尾総務2.jpg
昭和55年、大本梅松塾を経て大本本部に奉職
特派宣伝使、大本青年部長などを歴任
ITVA-日本(国際企業映像協会)関西支部長
亀岡市立つつじヶ丘小学校PTA会長など(平成16年度)もつとめる。
現在、大本愛善宣教部メディア愛善宣教課長

イラスト担当:にしじまさとしのプロフィールはこちら

西島 里司(特派宣伝使)

にしじま さとし:昭和36年兵庫県生まれnishijima.jpg
平成2年、大本梅松塾を経て大本本部に奉職
特派宣伝使、編集部長、大本愛善宣教部メディア愛善宣教課
を経て、現在、特派宣伝使。