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HOME > 教え > 暁の大地・もくじ > 第7回・あゝ大変



 大地はご神前の間にある本棚のガラス扉を開いた。一番上の棚には、『おほもとしんゆ』が7巻。その次に、整然と並べられた『霊界物語』が続いている。

「あった!」

 大地は迷わず第4巻を取り出し、ガラスの扉をていねいに閉めた。

「おじいちゃん、これだね」

 リビングに戻った大地は、ソファに腰を下ろしながら『霊界物語』を松太郎に手渡した。

「そうだ、これだ」

『霊界物語』を手にした松太郎は、カバーケースから本を取り出し、ページをめくろうとしたがすぐに手を止め、テーブルの上の眼鏡ケースから老眼鏡を取り出して掛け、あらためてページをめくった。

「ここだ、ここだ」。目的のページを開き、確認するように言った。

 大地は、文面が見やすいように、松太郎の横に座り直した。松太郎が開いたページには、「第45章 あゝ大変」とあった。




「おもしろいタイトルだね」

「一見そう思えるだろうが、それはそれは大変なことだったんだなあ」

 大地は、一瞬真剣な表情になった松太郎の表情を見逃さなかった。その顔をのぞき込みながら言った。

「おじいちゃん、この章にさっき話してくれた例え話の経緯が書かれているの?」

「そうだよ。この章の最初の4行で、国祖に対抗する神々が天の大神さまに向かって、国祖のご退隠を進言するんだ。これは畏(おそ)れ多いことなんだ。大地、この5行目から読んでごらん」

 大地は、松太郎が指差した行から声に出して読んだ。

「『天上(てんじょう)の大神といえどもその祖神(そしん)は、国祖国治立命(こくそくにはるたちのみこと)なれば、大いに驚きたまい、いかにもして国祖の志(こころざし)を翻(ひるがえ)さしめ、やや緩和(かんわ)なる神業神政(しんぎょうしんせい)を地上に施行(しこう)して、万神(ばんしん)の心を和(なご)めしめ、従来のごとく国祖執権(しっけん)の下に諸神人(しょしん)を統一せしめんと焦慮(しょうりょ)せられたるは、骨肉(こつにく)の情としては実にもっともの次第(しだい)なりというべし』」

「最初のところに、『天上の大神といえどもその祖神は、国祖国治立命なれば』とあるが、ここで、国祖と天の大神さまが親子の関係だというのが分かるだろう」

「そうだね。でもおじいちゃん、国祖は国常立命(くにとこたちのみこと)じゃなくて、国治立命って書いてあるけど、この時点では呼び方が変わっているんだね」

「国祖が地上の神政を行われるようになってからは、国治立命と呼ばれるようになったんだ」

「前にも聞いたけど、昔の武士のように時代とともに名前が変わるということだね」

「そういうことだな。大地は今、いきなり第4巻のこのページから読んだから、いろんな神さまの名前が出てきて戸惑うだろうが、いずれ第一巻から順に拝読したらいいがなあ」

「そうだね、そうするよ」

「ともあれ、天の大神さまには、骨肉の情、つまり親子の情があり、何とか国祖に緩やかな指導をしてもらって、今まで通り地上の主宰神(しゅさいじん)にとどまってもらいたいと願っておられたんだ」

「でも、国祖は頑(がん)としてゆずられなかったんだね」

 そう言うと、大地はページをめくり読み進んだ。

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「おじいちゃんから例え話を聞いていたから、何となく分かる気がするけど、国祖はとても厳格だったんだね。ここに、『されど、至正(しせい)、至直(しちょく)、至厳(しげん)、至公(しこう)なる国祖の聖慮(せいりょ)は、三体の大神の御命令といえども容易に動かしたまわざりける』って書いてあるね」

「地上の神々のほとんどが、国祖の方針やその厳しさに反発して、一致団結して国祖の追放にかかったんだ。これは多数決の弊害ということにもなるだろうなあ」

「必ずしも多数決がいいということではない、ということだね」

「そういうことだな。日本の国会で決まる法案も多数決原理で採決されるけど、全部が正しいとは言い切れない。〝脳死臓器移植法〟もしかりだ。一律に脳死は人の死だとすることは、神さまのみ教えに照らして、どう考えてもおかしなことだからなあ」

「ん〜、そうだねえ」。大地は頷(うなず)きながら答えた。




 松太郎は、眼鏡に手をやり、それをはずし、眼鏡ケースから出したクロスでていねいにレンズを拭(ふ)き、それから元にもどした。大地が手にしている物語の文面を指でなぞりながら、先を読んだ。

「『三体の天の大神は、ほとんど手を下(くだ)すに由(よし)なく、ここに国祖の御妻(おんつま)豊国姫命(とよくにひめのみこと)を天上に招きて、国祖に対し、時代の趨勢(すうせい)に順応する神政を施行さるるよう、諫言(かんげん)の労を取らしめんとなしたまいぬ』とあるが、ここが、天の大神さまが、妻神から国祖をいさめるように頼まれた部分だな」

「でも、ダメだったんだね。続きに『断乎(だんこ)として妻の諫言を峻拒(しゅんきょ)し、天地の律法の神聖(しんせい)犯すべからざるを説示して寸毫(すんごう)も譲(ゆず)りたまわざりける』と書いてあるね」

「そういうことだなあ」

「ねえ、おじいちゃん。ここに書いてある〝天地の律法〟というのは、例え話の中で出てきた学校の校則に当たるものなの?」

「よく察しがついたなあ。その通りだ」

「それは具体的なものがあるの?」

「あるとも。内面的な律法と外面的な律法があるんだ。確か、『霊界物語』の第2巻にあったと思うんだが…」

「じゃあ、取ってくるね」

 大地はすぐに立ち上がって、再びご神前の間の本棚から一冊を抜いてきた。

「はい、第2巻だよ」

「どれどれ……」

 松太郎は、同じようにページをめくって目当ての個所を開いた。




「『第45章、天地の律法』、ここだな」

「そのものズバリの見出しだね」

「読んでごらん」と、『霊界物語』を大地に返した。

「『地の高天原(たかあまはら)に宮柱太(みやはしらふと)しき立て千木(ちぎ)高しりて鎮まりいます、国治立命、豊国姫命の二神(にしん)は、神界のかくまで混乱の極に達し、収拾(しゅうしゅう)すべからざるにいたりしは、諸神人に対し、厳格なる神律の制定されざるに基づくものなりとし、ここに天道別命(あまぢわけのみこと)とともに律法を制定したもうた』」

 大地がここまで読んでから、松太郎は言葉をはさんだ。

「国祖夫妻は、神界が乱れてしまったのは、厳格な規則がないからとして、〝天地の律法〟を、天道別命という神さまといっしょに制定されと書いてある」

「天道別命?」

「この神さまは、後に再び地上に律法を広めるために再臨したモーゼだと言われているなあ」

「へえ〜、あのモーゼなの」

「先を読んでごらん」

「『その律法は内面的には、
 反省(かえりみ)よ。恥(は)ぢよ。悔(く)い改(あらた)めよ。天地を畏(おそ)れよ。正しく覚(さと)れよ
の五戒律(ごかいりつ)であった。
 また外面的の律法としては、
 第一に、夫婦の道を厳守し、一夫一婦たるべきこと。
 第二に、神を敬(うやま)い長上(ちょうじょう)を尊(とうと)み、博(ひろ)く万物を愛すること。
 第三には、互いに嫉妬(ねた)み、誹(そし)り、偽(いつわ)り、盗(ぬす)み、殺しなどの悪行(あくこう)を厳禁すること
等の三大綱領(さんだいこうりょう)である』。
 ん〜、当たり前のことだけど、厳しい律法だね」

「そうだな。でもその後に、『これより高天原は規律正しく、ことに一夫一婦の道は厳格に守られていた』と書いてあるように、この律法の施行によって、もとの神代は、うまく治まっていたんだ。特に、〝世の乱れの元は夫婦の道から〟と言われるくらいだからね」

「なるほどね」

「もっとも、この〝天地の律法〟は、今も厳然(げんぜん)としてあるわけだからなあ」

「えっ、今もあるの?」

「そりゃあそうだよ。この地球がある限り、普遍(ふへん)の律法だからな」

「そうか、じゃあ、僕たちもこれを守らないといけないわけかあ。厳しいなあ〜」

「そういうことだ」

「で、おじいちゃんは、キッチリ守ってる?」

「もちろんだとも」と答えながら、松太郎は苦笑いした。




 大地は、「話をもとにもどそうか」と言った。

「そうだな。さて、国祖に反抗する神々が、天の大神さまに対して、国祖のご退隠(たいいん)を懇願し続けるわけだ。とうとう仕方ないということで、天の大神さまも自ら地に降りられて、国祖に対して、地上神界の主宰神をご退隠されるよう伝えられることになったんだ」

「非常事態という感じだね」

「ところが、国祖はそのことはちゃんと知っておられた。そのへんの事情が、続きにあるだろう」と、松太郎は、第4巻の続きの文面を指差した。

 大地は、持っていた第2巻をテーブルに置き、第4巻を手にし、松太郎が示した個所から続けて読み進めた。



(つづく)

第8回「神約」は
次週12月23日〔金〕に公開します

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この連載は、大本の教えをドラマ風に書き下ろしたもので、
登場人物は実在の人物ではありません。













































































▼次回更新予定

脚本担当:成尾 陽のプロフィールはこちら

成尾 陽(大本メディア愛善宣教課長)

なるお あきら:昭和34年熊本県生まれ成尾総務2.jpg
昭和55年、大本梅松塾を経て大本本部に奉職
特派宣伝使、大本青年部長などを歴任
ITVA-日本(国際企業映像協会)関西支部長
亀岡市立つつじヶ丘小学校PTA会長など(平成16年度)もつとめる。
現在、大本愛善宣教部メディア愛善宣教課長

イラスト担当:にしじまさとしのプロフィールはこちら

西島 里司(特派宣伝使)

にしじま さとし:昭和36年兵庫県生まれnishijima.jpg
平成2年、大本梅松塾を経て大本本部に奉職
特派宣伝使、編集部長、大本愛善宣教部メディア愛善宣教課
を経て、現在、特派宣伝使。