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HOME > 教え > 暁の大地・もくじ > 第8回・神約



 大地は、松太郎が示した個所を人差し指で確認してから、霊界物語を読み始めた。

「ついに自(みずか)ら天上(てんじょう)より三体の大神相(あい)ともないて聖地に降(くだ)らせたまい、国祖大神をして聖地エルサレムを退去(たいきょ)し、根の国に降(くだ)るべきことを涙を呑(の)み、もって以心伝心的(いしんでんしんてき)に伝えられたりける」

 大地がここまで読んで、松太郎が言葉をはさんだ。

「『以心伝心的に伝えられた』、とあるだろう」

「そうだね。ということは、言葉を交わされたんじゃないということなの?」と大地が聞いた。

「そういうことだな。『涙を呑んで』という言葉から、天の大神さまが、悔しさや悲しさを堪えられ、いかに無念であったかということをうかがい知ることができると思うんだ。そして、その思いは、国祖も全く同じだった。二神(にしん)は、相対されただけで、お互いの心が通っていたんだろうなあ。だから、そのあとに国祖の大神さまが、ご自身の意志を表示された言葉があるけど、その前に、『三体の大神の深き御心情(ごしんじょう)を察知し、自発的に』と書かれているだろう」

 大地はうなずきながら、その先を目で追った。

 国祖大神は、三体の大神の深き御心情を察知し、自発的に、

『吾は元来(がんらい)頑迷不霊(がんめいふれい)にして時世(じせい)を解(かい)せず、ために地上の神人(かみがみ)らをして、かくのごとく常暗(とこやみ)の世と化せしめたるは、まったく吾(わ)が不明の罪なれば、吾(われ)はこれより根の国に落ちゆきて、苦業(くぎょう)を嘗(な)め、その罪過(ざいか)を償却(しょうきゃく)せん』

 と自ら千座(ちくら)の置戸(おきど)を負(お)いて、退隠(たいいん)の意を表示したまいける。

 ここまで読むと大地は、「なるほど、そうだね」と言った。

「神々が国祖の言うことを聞かなくなって、わがまま勝手になったばかりに、悪いことが頻繁に起こるようになって、世の中は、にっちもさっちもいかないようになった。それなのに、神々は、〝これは主権者である国祖が悪いからだ〟と、その責任を全部国祖にかぶせてしまった。国祖はあえて、その言い分を受け入れ、〝自分が悪かったからそうなってしまったんだ〟と、すべての罪を一身で受けられ、ご退隠されることを決心されたんだ」

「国祖の思いは、僕にはとうてい理解できないけど、まさに〝断腸の思い〟だったんだろうね」

「そうだなあ」と言いながら、松太郎は一つため息をついて、話を続けた。

「大地、ここを見てごらん」と、続きの個所を指差した。




 大地は一字一句を確認するように、声に出して読んだ。

「さて三体の大神は国祖にむかって、

『貴神(きしん)は吾(わ)が胸中の苦衷(くちゅう)を察し、自ら進んで退隠さるるは、天津神(あまつかみ)としても千万無量(せんまんむりょう)の悲歎(ひたん)に充(み)たさる。されど吾(われ)また、一陽来復(いちようらいふく)の時を待って、貴神を元の地上世界の主権神(しゅけんしん)に任ずることあらん。その時来(きた)らば、吾らも天上(てんじょう)より地上に降(くだ)り来りて、貴神の神業(しんぎょう)を補佐(ほさ)せん』

と神勅(しんちょく)(おごそ)かに宣示(せんじ)したまいけり」

「この天の大神さまのお言葉の最初の部分は、さっき言った国祖の心中と自らのご退隠の意志のことだというのはわかるかな?」と松太郎が聞いた。

「うん、わかるよ」

「そのあとの、『されど吾また、一陽来復の時を待って、貴神を元の地上世界の主権神に任ずることあらん。その時来らば、吾らも天上より地上に降り来りて、貴神の神業を補佐せん』というところが大切な部分なんだ」

「一陽来復の時を待って、というのはどういう意味?」

「一陽来復というのは、もともと、冬が去って春が来ることなんだが、転じて、悪いことの重なったあとに、やっと良いことがめぐってくるという意味なんだ。だからここでは、〝時機が来たら〟ということだね」

「じゃあ、『貴神を元の地上世界の主権神に任ずることあらん』ということだから、その時機が来たら、国祖を元の立場に戻すよ、ということなの?」

「そういうことだ。そして、その時には、天の大神さまも地上に降りて来られて、国祖の神業をお手伝いします、と約束されているんだ」

「天の大神さまと地の大神さまと、そんな約束があったんだね」

「神さまの約束だから、これを〝神約(しんやく)〟と言うんだよ」

「神約……」と、大地は言葉を繰り返した。

「で、おじいちゃん、その神約は果たされたの?」

「もちろん果たされたし、今もその約束が実現されている最中だと言ってもいいんだよ」

「今も?」

「ああ、そうだよ。人間の約束事なら、ある一点や一時期だろうが、神さまのスパンは長いから、神約実現を一点に絞るものではないと思うんだよ。神約実現のスタートは、大本が開教した1892年、明治25年と言えるだろうなあ」

「ああ、そうなのか」

「まあ、このことに関しては、あとで順番に話していくとして、先を続けようか」

大地は、ちょっと不満そうな顔をしながらも「はい」と返事をした。




 松太郎は話を続けた。

「神約が結ばれたあとに、国祖が夫妻の縁を断たれたことが書いてあるだろう」

「あ、ここだね」と、大地は霊界物語のページに目をやった。

 ここに国祖大神は、妻の身に累(るい)を及(およ)ぼさんことを憂慮(ゆうりょ)したまいて、夫妻の縁を断ち、独(ひと)り配所(はいしょ)に隠退(いんたい)したまいけり。国祖はただちに幽界(ゆうかい)に降(くだ)りて、幽政(ゆうせい)を視(み)たもうこととなりぬ。されど、その精霊(せいれい)は地上の神界なる、聖地より東北(うしとら)にあたる、七五三垣(しわがき)の秀妻国(ほつまのくに)にとどめさせたまいぬ。

 諸神(しょしん)は国祖大神の威霊(いれい)のふたたび出現されんことを恐畏(きょうい)して、七五三縄(しめなわ)を張り廻(まわ)したり。

 ここに豊国姫命(とよくにひめのみこと)は、夫の退隠されしその悲惨(ひさん)なる御境遇(ごきょうぐう)を坐視(ざし)するに忍びずして、自ら聖地の西南(ひつじさる)なる島国に退隠し、夫に殉(じゅん)じて世に隠れ、神界を守護したまいける。ここに艮の金神(うしとらのこんじん)、坤の金神(ひつじさるのこんじん)の名称(めいしょう)(おこ)れるなり。豊国姫命が夫神(おっとがみ)の逆境(ぎゃっきょう)に立たせたもうをみて、一片(いっぺん)の罪なく過ちなく、かつ、いったん離縁されし身ながらも、自ら夫神に殉じて、坤に退隠したまいし貞節(ていせつ)の御心情は、実に夫妻苦楽をともになすべき、倫理上における末代(まつだい)の亀鑑(きかん)とも称したてまつるべき御行為(おんこうい)なりというべし。

「ここでは、三つのことが書かれているなあ。
 一つは、妻神の貞節と夫婦のあり方。
 二つ目は、夫婦神がご退隠された場所について。
 そして三つ目が、七五三縄のことだ」

「なるほど三つあるんだね」

「まず一つ目。国祖は妻神のことを思い、妻に罪が及ばないように離縁されたこと。これは奥さんに対して、ものすごい思いやりだなあ。そして妻神はというと、あくまでも夫神を信じて、自ら国祖と反対の方へ身を隠された。なかなかできることじゃない。だから、倫理上において永遠のお手本であると示されているんだよ」

「熟年離婚とかが多くなっている今の人間とは大変な違いだね」と大地はうなずいた。

「二つ目が、夫婦神のご退隠地のことだなあ。国祖は幽界(ゆうかい)、つまり地獄界に降りられたんだが、その精霊は地上に隠れて密(ひそ)かに留まり、神代の聖地・エルサレムがあった現在のトルコのエルズルムあたりから見て東北にあたる、七五三垣(しわがき)の秀妻国(ほつまのくに)、つまり今の日本にご退隠されたと示されているんだ」

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「七五三垣の秀妻国というのは、日本のことだったのか」

「秀妻国というのは、秀真国とも書くが、とてもすぐれた国ということで、日本国の美称なんだよ。だから、七・五・三のリズムで波が打ち寄せる島国・日本ということだな」

「あ、そういう意味なのか。とてもきれいな言葉だね。で、奥さん、いや妻神の豊雲野命さまは、どこにご退隠なさったの?」

「国祖と正反対の方位だから、聖地から西南に当たるサルジニア島というところに一時ご退隠になったんだよ」

「サルジニア島? よく知らないところだね」

「地中海西部にある小さい島だが、私も行ったことはないがね」

「だよね」

「それから三つ目が、七五三縄(しめなわ)だ」

「しめ縄って、神社の鳥居とかにかけてある大きな縄のことだよね」

「そうだよ。今でこそ、神域などを占めす結界(けっかい)のように使われているがなあ」

「結界?」

「そう、結界」

「結界なら知ってるよ」

「ほう、知ってるか?」

「今、テレビでも放映している 〝結界師〟というアニメがあるんだ」

「なんだ、漫画か」

「そうだよ。人気のあるアニメで、妖怪退治の専門家なんだよ」

「そ、そうか。おじいちゃんは知らないなあ」

「まあ、そうでしょうね」

 松太郎は、一つ咳払いをして話を続けた。

「そもそも七五三縄というのはなあ…」


(つづく)


第9回「七五三縄と調伏行事」は
次週12月30日〔金〕に公開します

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この連載は、大本の教えをドラマ風に書き下ろしたもので、
登場人物は実在の人物ではありません。













































































▼次回更新予定

脚本担当:成尾 陽のプロフィールはこちら

成尾 陽(大本メディア愛善宣教課長)

なるお あきら:昭和34年熊本県生まれ成尾総務2.jpg
昭和55年、大本梅松塾を経て大本本部に奉職
特派宣伝使、大本青年部長などを歴任
ITVA-日本(国際企業映像協会)関西支部長
亀岡市立つつじヶ丘小学校PTA会長など(平成16年度)もつとめる。
現在、大本愛善宣教部メディア愛善宣教課長

イラスト担当:にしじまさとしのプロフィールはこちら

西島 里司(大本メディア愛善宣教課主幹)

にしじま さとし:昭和36年兵庫県生まれnishijima.jpg
平成2年、大本梅松塾を経て大本本部に奉職
特派宣伝使、編集部長などを経て
現在、大本愛善宣教部メディア愛善宣教課主幹