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HOME > 教え > 暁の大地・もくじ > 第9回・七五三縄と調伏行事



「七五三縄(しめなわ)というのは?」

と、大地は、松太郎の言葉を繰り返した。

「七五三縄というのは、神社の神前や神事の場所への、不浄なものの侵入を禁じる印として張る縄のことだよ。現在ではいろいろな種類があるようだなあ」

「つまり〝結界(けっかい)〟ということだね」

「そういうことだなあ。もっとも、今では、神さまが宿っておられる印として、ご神木や、山の中の大きな岩、海に立っている岩なんかにも張られているようだ。伊勢の二見浦(ふたみがうら)の〝夫婦岩(めおといわ)〟なんかは有名だなあ」

「あぁ、あの二つの岩の間に張ってある縄だね。岩の間からの日の出の写真が、よく年賀状に使われたりする風景だね」

「そうだ。それから巨大な七五三縄となると、島根県の出雲大社の神楽殿(かぐらでん)の七五三縄が有名だな」

「その七五三縄ならテレビで見たことあるよ。参拝者が縄に向かってお金を下から投げてたよ」

「そうそう、実際にお参りしたことあるけど、たくさんの硬貨が挟(はさ)まっていたなあ」

「おじいちゃんは、出雲大社に行ったことがあるんだね」

「まあそりゃあ、長く生きてるからね」

 松太郎は、笑いながら話を続けた。



「一般の家庭でも、神棚がある家だと、お宮の前に小さな七五三縄を張ったり、正月には、しめ飾りをしたするなあ。それから、家を新築する時には、地鎮祭(じちんさい)をするけど、その時、敷地の四隅に竹を立てて、縄を張っている風景を見たことないかなあ」

「あるある」

「実は、あれも七五三縄と同じ意味で、結界のひとつなんだ」

「だったら、七五三縄を張ることは悪い習慣ではないんじゃないの」

 と、大地は不思議そうな顔をした。

「確かに、現在ではそう受け取られているかもしれない。だが、もともと、さっきのお示しにあるように…」

 と、松太郎は『霊界物語』の文中を指差した。

「ほらここに、『諸神(しょしん)は国祖大神の威霊(いれい)のふたたび出現されんことを恐畏(きょうい)して、七五三縄を張り廻(まわ)したり』と書かれているように、その本当の起源は、国祖が再び現れないようにとの、神々の思惑(おもわく)にあるんだよ。つまり調伏(ちょうふく)の意味なんだ」

 調伏という言葉を聞いて、大地は、「あっ」と何か思いついたような声を出した。そして、ポケットをさぐり、手のひらを広げた。そこには、昨夜の節分大祭の豆まきで拾った大豆があった。

「調伏と言えば、この豆と同じ意味なんだよね」

「そう、一般の節分の豆まきは、調伏行事なんだ」

「でも、大本の豆まきは、〝鬼は内、福は内〟と、掛け声も違うんだったよね」

「そういうことだ」

 大地は、また思い出したように言った。

「そういえば、おじいちゃん、なぜ生の大豆を使うのか、まだ説明を聞いてなかったよ」

「おっ、そうだったかなあ」

「そうだよ。ねえ、教えてよ」

「よしよし。豆まきというのは、悪魔の目に向かって投げつけて、目つぶしをする調伏行事だということは言ったな」

「はい」

「最初に国祖を退隠に追いやった神々は、煎(い)った豆を投げながら、こう言ったそうだ。〝二度とこの世に出てくるな。でも、もしこの煎り豆から芽が出てくることがあれば、出て来てもいいぞ〟と」

「えぇ〜、ひどい話だね。煎った豆から芽が出てくるわけがないじゃない」

「そう、ひどい話だよ。でも、国祖の神さまは、『時節(じせつ)を待てば煎り豆にも花が咲いて、此(こ)の世に出して貰(もら)う』とおっしゃっているんだよ」

「すごい確言だね」

「だから、大本では、ちゃんと芽が出るように生の豆を使うんだ」

「そうだったのか」

「それから、さっきの地鎮祭の話だが、大本で祭典をする場合は、縄を張らない。その代わりに、敷地の四隅に盛り土をして松の小枝を立てるんだよ」

「そうなんだ。そりゃあ、家を建てるんだったら、神さまの〝元祖の元祖〟である国祖の神さまに来ていただきたいよね」

「そうだなあ」



「おやおや、話がはずんでいるようですね」と言いながら、ともがお茶を運んで来た。

「一服したらどうですか」と、二人の前にお茶の入った湯呑(ゆの)みを置いた。

「おばあちゃん、ありがとう」

「おじいさんの話はおもしろいかい?」

「うん、おもしろいねぇ」

「そうかい、そりゃあ良かった」

 松太郎と大地は、湯呑みを持ち、お茶をすすった。大地は、松太郎に質問を続けた。

「ほかにも調伏行事というのはあるの?」

「ああ、あるとも。国祖(こくそ)・国常立命(くにとこたちのみこと)さまは、たたり神だ、恐ろしい神さまだ、再び世に出てもらっては困ると、いろいろな生活習慣の中に調伏の行事を取り入れてきて、それが今も良き伝統のようになっているんだ」

「どんなものがあるの」

「例えば、お正月につくる紅白の鏡餅(かがみもち)。これは艮(うしとら)の金神(こんじん)の骨や肉をついたものとして食べてしまう。雑煮(ぞうに)は国常立命さまの臓物(ぞうもつ)とされているんだ」

「へぇ〜、そうだったのか。知らなかったなあ」

「だから、大本では雑煮とは言わず、〝神代餅(かみよもち)〟と言いかえているんだよ」

「なるほど、神代餅ね」

「それから、3月3日の桃の節句に食べる草餅は、国常立命さまの皮膚にたとえたもの。
 5月5日、端午(たんご)の節句のちまきは、国常立命さまの髪。
 7月7日の七夕の節句に食べる小麦の素麺(そうめん)は、国常立命さまの筋。
 9月9日、菊の節句の菊酒は、国常立命さまの血液だとして呑(の)まれていたんだ」

「3月3日と5月5日の節句はわかるけど、ほかはあまりピンとこないなあ」

「そうかもしれんなあ。一年に5度ある五節句(ごせっく)とか五節(ごせつ)という習慣も、今は知らない人が多いんだろうな」

「それにしても、節句の行事が調伏の儀式だったとは、意外だったなあ」

「ほかには、正月に立てる門松(かどまつ)。これは国常立命さまの墓標(ぼひょう)であるとしたんだ」

「えぇ〜! 門松がお墓の印なの?」

「それから、まり遊びは、国常立命さまの頭をもて遊ぶということにし、弓の的は、国常立命さまの目に見立てたとしているんだ」

「ありゃぁ〜、まいったなあ。おじいちゃん、僕は高校の時には弓道部だったんだよ。ということは、僕も調伏儀式の片棒をかついでいたのか」と、大地は不安そうな顔になった。

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「あ、そういえばそうだったなあ。まあ大地は知らないことだったんだから、神さまも許してくださるよ。それに、亀岡の大本の聖地・天恩郷には、その昔、弓道場があって、聖師さまが弓を引いておられる写真が残っているんだ」

「そうなの?」

「真意はわからないけど、大本の中でいろいろな武道が盛んに行われていた時代があって、聖師さまのご指示で弓道場が作られたそうだ」

「なんだか、ちょっと救われた気分」

 大地は、ホッとしたような表情で言った。

 松太郎は、一口お茶を飲み、湯呑みをテーブルに置いて、話を続けた。

「まあ、そんなことで、国祖がご退隠(たいいん)され、二度とこの世に現れないようにと、いろいろなかたちで調伏行事が続けられてきたというわけだよ」



 大地は頷(うなず)きながら言葉を継いだ。

「でも、おじいちゃん。国祖が隠れられたら、それからの世界は、わがまま勝手な神々の天下になってしまった、ということだよね」

「ああ、その通りだ。だがな、ちょっと違うんだよ」

「えっ、どういうこと?」

「宇宙を創(つく)られた天地の親神さまが、本当にご退隠になられたら、ろくなことはないわけだ。そうなると、時の経過とともに、いずれ天地がつぶれてしまっても不思議ではないはずなんだよ」

「でもつぶれなかった」

「実はなあ、国祖は、ご退隠されてから、長い年月を陰から守ってきておられたんだ。ご自身の分け身魂(みたま)、まあ分身とでも言ったらいいのかなあ、そういう聖者を時々地上に派遣されて、この世がつぶれないように指導して来(こ)られたんだよ」

「聖者?」

「例えば、お釈迦(しゃか)さまだとか、キリスト、モハメッド、老子、孔子という歴史上有名な人たちもその聖者だということが、大本神諭や霊界物語によって示されているんだよ」

「へえぇ〜、そうなんだ」

「そのことを艮の金神・国常立命さまは、『陰から守護を仕(し)て居(お)りた』とおっしゃっているんだよ」

 松太郎の説明に、大地はゆっくり二回、首を縦にふった。



(つづく)

第10回「トイレの神さま」は
次週1月6日〔金〕に公開します

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この連載は、大本の教えをドラマ風に書き下ろしたもので、
登場人物は実在の人物ではありません。













































































▼次回更新予定

脚本担当:成尾 陽のプロフィールはこちら

成尾 陽(大本メディア愛善宣教課長)

なるお あきら:昭和34年熊本県生まれ成尾総務2.jpg
昭和55年、大本梅松塾を経て大本本部に奉職
特派宣伝使、大本青年部長などを歴任
ITVA-日本(国際企業映像協会)関西支部長
亀岡市立つつじヶ丘小学校PTA会長など(平成16年度)もつとめる。
現在、大本愛善宣教部メディア愛善宣教課長

イラスト担当:にしじまさとしのプロフィールはこちら

西島 里司(大本メディア愛善宣教課主幹)

にしじま さとし:昭和36年兵庫県生まれnishijima.jpg
平成2年、大本梅松塾を経て大本本部に奉職
特派宣伝使、編集部長などを経て
現在、大本愛善宣教部メディア愛善宣教課主幹