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HOME > 教え > 暁の大地・もくじ > 第10回・トイレの神様



「ご退隠(たいいん)後も、国祖(こくそ)がこの世を陰から守護(しゅご)されていた、ということは、ご自身の務めを完全に放棄されたわけではなかったんだね」

と大地は松太郎に聞き返した。

「そういうことだ。もし国祖が、まったくかまわれなくなったら、世界がつぶれるのは明らかだったんだ。なぜなら、この世を創られた神さまだからね」

「そうだね。でもそれだったら、一度何もかもリセットして、最初から創り直されてもよかったんじゃない?」

「まあ、それも一つの考え方だろうが、でも、気の遠くなるような歳月をかけて創造された世界をつぶしてしまうことは、国祖にとっては堪え難いことだったんだよ。だから、あえて困難な道を選ばれて、しばらく見守られていたというわけだな」

「でも、国祖に対抗した神々たちには、そのことはバレないようにされていたということだね」

「国祖がこの世界のことを一切かまわず、そのまま放っておいたらどんな世の中になるかは、国祖自身には予想できていたと思うよ。考えてごらん大地。親だったら、子供が小さいうちは、子供の考えていること、やりたいこと、その行動の結果というのがある程度予想がつくんじゃないかなあ」

「ん〜、僕もまだ人の親になっていないので、何とも言えないけど、たぶんそうなんだろうね」、と言いながら、大地は腕組みをした。





松太郎は例え話を始めた。

「例えば、子供が成長して、3歳くらいになると、自転車に乗りたがるだろう」

「そうだね」

「最初は、三輪車で喜んでいる。でも少しすると、自転車に乗ってみたくなる。いきなりは無理だから、親が補助輪をつけてやる」

「そうすれば倒れないからね」

「でもしばらくすると、それがかっこ悪いとか、おもしろくないと思うようになって、補助輪をはずしてほしくなるんだ。でも、親としては、まだまだ無理だと思う。子供ははずせと駄々(だだ)をこねる。仕方なくはずしてやるけど、やっぱりすぐに転んでしまう」

「そうそう、僕もそうだった」

「そこで親は、自転車の後ろを持って、子供について走るんだよ。子供は、〝お父さん手を離して〟というけど、今離したら絶対に転んでしまうことはわかっている。だから、子供の言うことを聞いたふりして、倒れそうになると、後ろで手を添えている、ということがあるだろう」

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「でも、それがバレると子供は怒るよなあ。経験あるよ」

「そう、それで仕方なく完全に手を離すことになるけど、親は少し走ったら、子供が間違いなく転んでしまうことが分かるわけだ。でも、一度やらせてみることも経験だと思い、安全を確認しながら子供の言う通りにしてしまうんだ」

「そう、僕もそれでよく転んでたなあ。でもそうやって自転車に乗れるようになっていったと思うよ」

「転んで擦(かす)り傷くらいのケガならいいけど、もし、交通事故にでも遭(あ)うような状況なら、親も断固として手を出すだろう」

「それはそうだね」

「自転車の乗り方と、この世の行く末をいっしょにはできないけど、国祖はとにかく、しばらくの間、神々にやらせてみることにされた。そしてぎりぎりまで見守られていたんだよ」

「国祖にとっては、とてもつらい日々だったんだろうね」




 大地は、思いついたように松太郎に聞いた。

「ところでおじいちゃん、国祖と妻神(つまがみ)のご退隠のことは詳しく聞いたけど、ご隠退されたのはこの二柱だけで、ほかには誰も国祖についていく神さまはなかったのかなあ?」

「ほお〜、大地いいところに気づいたなあ」

 松太郎は感心したような表情で言った。

「もちろん、国祖を慕(した)って共にご退隠された神さまはいらっしゃったし、国祖に先立って世に落ちてしまった神々もあったんだよ」

「やっぱりそうか」

「国祖に対抗した神々は、国祖のために働いていた神々さまを、追放するよう国祖に迫っているんだ」

 と言いながら、大地の前にあった『霊界物語』第4巻を手に取り、ページをめくった。

「第45章 あゝ大変」の章より少し前にもどり、文中を指差した。

「ここを見てごらん。『国祖も事ここにいたりては如何(いかん)ともなしたもうの余地なく、その請求を容(い)れて大八洲彦命(おほやしまひこのみこと)、言霊別命(ことたまわけのみこと)、神国別命(かみくにわけのみこと)、大足彦(おおだるひこ)を根の国に追放(ついほう)したまうことを承認されたりける』とあるだろう。この神々さまが国祖を助けておられた神さまだけど、国祖に先立って世に落とされた神さま方なんだよ」

「そうなのか」

「それから、その後にも書かれているなあ。『次に高照姫命(たかてるひめのみこと)、真澄姫(ますみひめ)、言霊姫(ことたまひめ)、竜世姫(たつよひめ)は、大地(だいち)の底深(そこふか)く地汐(ちげき)の世界に神退(かんやら)われたまい、地汐の精霊に感じて大地中の守護神(しゅごじん)と現(あら)われ、四魂(しこん)合同して金勝要之神(きんかつかねのかみ)となり、時を得て地表の世界に出現し、五六七神政(みろくしんせい)の基礎的神業(きそてきしんぎょう)に尽力(じんりょく)されつつ太古より現代に至るまで神界にあって、その活動を続けられつつありしなり』というところがそうだな」

「地汐の精霊に感じてとか、四魂合同してとか、ちょっと難しいけど、とにかく国祖を助けておられた神さま方も、国祖と同じように、悪神にわからないように、陰で活動されていたということだね」

「そういうことだなあ」と松太郎は頷(うなず)いた。




「この神さまは……」と言いながら、松太郎は先に示した「霊界物語」の文中を指差した。

「金勝要神(きんかつかねのかみ)という神さまは、実は大本の二代教主さまのご神格なんだよ」

「ご神格?」

「よく、あの人は人格者だとか、人格のある人だ、なんて言うことがあるだろう」

「はい」

「神さまの場合はそれを〝神格(しんかく)〟というんだ」

「ああ、なるほど。で、二代さまが……」と言いながら、大地はご神前の部屋の写真を見た。

「あの聖師さまのとなりの方だよね」

「そうだ。あの二代さまのご神格が金勝要神さまなんだ」

「で、どんな神さまなの?」

「金勝要神は、〝大地の金神さま〟とも申し上げているし、厠(かわや)の神さまとも言われる神さまで、国祖同様、たいへんなご苦労をなさった女神さまだそうだ」

「おじいちゃん、カワヤって、ナニ?」

「トイレのことだよ。もっとも昔は今のようなきれいな水洗トイレではなかったがね」

「僕も昔のボットン便所のことは覚えているよ」

「その厠(かわや)の神さまは女性の神さまで、とっても美人だそうだ」

「おじいちゃん、神さまだから美人じゃなくて、〝美神〟ということだね」

「あはは、そうだな」





松太郎は思い出したように言った。

「そうそう、節分大祭の前日に、車のラジオで、〝トイレの神様〟という歌が流れていたんだが、大地は知ってるかい?」

「いやあ、知らないなあ」

「初めて聴いたし、歌詞が関西弁だったから、きっとまだ全国版にはなってないのかもしれないけど、とってもいい歌で、おじいちゃんは感動したんだよ」

「へえ〜、そうなの。長野へ帰ったら一度インターネットで探してみるよ」

「確か……、植村花菜(かな)という関西の若い女性の歌手が歌ってるんだが、その子のおばあちゃんとの思い出の歌なんだ」

「僕は知らない歌手だなあ。まだメジャーじゃないのかもね」

「トイレにはきれいな女神さまがいて、毎日トイレを掃除したら〝べっぴんさん〟になれるんだ、という歌詞でなあ。これは昔から一般でも言われていたことではあるんだ。でも、まさかそんなことが歌になるとは思ってなかったからな。聴いていて涙が出てきたよ。おじいちゃんたちにとっては、〝トイレの神様〟とは、まさに〝金勝要神さま〟のことだからね」

「へえ〜、そんなにいい歌なら絶対聴いてみるよ」

「今この時節にこんな歌が歌われるようになるということは、何か意味があるんだと思うよ。おじいちゃんは、半年くらいしたら、きっと全国的に有名になるんじゃないかと、期待しているだがなあ」

「そうなったらいいね」

「歌詞の最後でこの歌手は、今でもトイレ掃除をかかさないと歌ってたなあ」

「へえ〜、すごいね」

「大地は家でトイレの掃除はしてるかな?」

「いや、あんまりしたことないなあ」と、大地は頭をかいた。




「おじいちゃん、トイレの話は置いといて、国祖がご退隠され、国祖についていた神々が世に落とされてしまってからの世の中はどうなったのかなあ?」

「さっきの子供の自転車じゃないけど、そううまくいくはずはないわけだ。ましてや国祖をご退隠に追いやったのは、自分たちの都合のよいようにしたいという、〝われよし、つよいものがち〟の精神からだからな」

「ということは、ひどい状況になってきたということだね」

「大地、諸悪の根元はこの〝われよし、つよいものがち〟の精神なんだよ。その精神を持った者同士で、世の中が平穏に治まることはないんだ。当然、諸罪悪が広がってどうにもならない世の中になっていったんだ」

松太郎は、思わず言葉に力が入った。


(つづく)

※「おほもと」誌・平成22年10月号から転載

第11回「国祖のご再現」は
次週1月13日〔金〕に公開します

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この連載は、大本の教えをドラマ風に書き下ろしたもので、
登場人物は実在の人物ではありません。













































































▼次回更新予定

脚本担当:成尾 陽のプロフィールはこちら

成尾 陽(大本メディア愛善宣教課長)

なるお あきら:昭和34年熊本県生まれ成尾総務2.jpg
昭和55年、大本梅松塾を経て大本本部に奉職
特派宣伝使、大本青年部長などを歴任
ITVA-日本(国際企業映像協会)関西支部長
亀岡市立つつじヶ丘小学校PTA会長など(平成16年度)もつとめる。
現在、大本愛善宣教部メディア愛善宣教課長

イラスト担当:にしじまさとしのプロフィールはこちら

西島 里司(大本メディア愛善宣教課主幹)

にしじま さとし:昭和36年兵庫県生まれnishijima.jpg
平成2年、大本梅松塾を経て大本本部に奉職
特派宣伝使、編集部長などを経て
現在、大本愛善宣教部メディア愛善宣教課主幹