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HOME > 教え > 暁の大地・もくじ > 第11回・国祖のご再現



 大地は、松太郎の言葉を繰り返した。

「われよし、つよいものがち……かあ」

「〝われよし〟というのは、自分だけが、あるいは自分の家族だけが良ければ、他人はどうなってもかまわないという利己主義のことだなあ。それから〝つよいものがち〟というのは、強い優秀な者が勝ち、弱者は負けてしまうという優勝劣敗(ゆうしょうれっぱい)、弱肉強食(じゃくにくきょうしょく)ということなんだ」

「国祖(こくそ)がご退隠(たいいん)されてから、そんな世の中になってきたんだね」

「『大三災(だいさんさい)小三災(しょうさんさい)の頻発(ひんぱつ)も人の心の反映(はんえい)なりけり』という聖師さまのお歌があるけど、風水害や火災、飢餓(きが)や病気、戦争が起こるのも、その原因は人の心にあるんだ、とお示しになっているほどなんだ」

「へえ〜、人の心ってそんなに怖いんだね」

 松太郎は頷(うなず)きながら話を続けた。

「国祖がご退隠されてから、世の中は乱れに乱れ、大洪水まで起こったそうだ。そして、このままの世界が続けば、人類のほとんどが滅(ほろ)んでしまう危機に直面してしまい、最後はもとの泥海にもどさなければならないというギリギリのところまで来てしまったんだ」

「あっ、おじいちゃん。さっき聞いた例(たと)え話からすると、自転車の練習をしている子供が脇道から飛び出しそうになって、後ろからついていたお父さんが、あわてて駆け寄って自転車を止めたようなものだね」

「そうそう、もし止めなかったら、走って来た車にはねられて死んでいたかもしれない、という危機一髪のところだ」

「子供は、びっくりして後ろを見ると、いないはずのお父さんが、自転車の後ろをしっかり押さえてくれていた、ということだね」

「そうだな。でも、子供は命拾いしたということがわかっていないんだよ。どうしてお父さんは止めたんだろうと、むしろ怒っている。それと同じことが、国祖をご退隠に追いやった神々にはあるんだ」

「そうか、この時点では、まだ気づいてないんだね」

「その危機一髪の時が、明治25年の節分なんだ。国祖が再び世に現れたということで、『国祖のご再現』と言うんだよ。実は、節分というのは、国祖がご退隠された日でもあったんだ」

「そうか、だから夕べの節分大祭は、大本でいちばん大切な祭典なんだね」

 大地は、前夜の祭典を思い出し、納得したような表情で頷いた。

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 松太郎は、大地の顔を見て、笑みをうかべていた。

「大地が国祖のことをわかってくれて、おじいちゃんもうれしいよ」

「まあ、何となくだけどね」

「そりゃあそうだろう。初めて聞く話だろうからなあ。でも、何となくでも、国祖のご苦労を知ってもらえたら、うれしいんだよ」

 大地は、照れ笑いを返し、「ところで、おじいちゃん」と言葉をついだ。

「国祖ご再現というのは、どういうふうに行われたの?」

「おう、そうだった。まだ肝心のことを話していないな」

「そうだよ」

「国祖のことを〝艮(うしとら)の金神(こんじん)〟というのは、午前中に話したね」

「うん、聞いたよ」

「国祖は、自ら〝艮の金神〟と名乗って、出口なお開祖にかかられて、この世に再び現れられたんだ。そして、この世のすべての神々と人民に対して、ご復権(ふっけん)の宣言をなさったんだ。あの聖師さまの横のお写真の方だよ。おじいちゃんたちは、〝開祖さま〟と呼んでいるんだ」と、ご神前に掲げてある肖像写真に目をやった。大地も、同じように、開祖の写真を見上げた。

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「神がかりということだね」

「開祖さまの場合は、元の神さまがかかられたということで、神に帰ると書いて、『帰神(きしん)』というんだ」

 大地は、「帰神?」と松太郎の言葉を繰り返した。

「実は、神がかりには、大きく分けて3つの種類があって、帰神のほかに、神が懸(か)かると書く〝神懸(しんけん)〟と、神が憑依(ひょうい)すると書く〝神憑(しんぴょう)〟というのがあるんだ。神懸は、国祖にお仕えする正しい神さまがかかること。そして、神憑はキツネやタヌキなんかの動物霊や邪霊がかかる場合なんだ。まあ、世間でいちばん多いのは最後の神憑なんだけどな」

「神がかりにもいろいろあるんだね」

「もっとも神憑でかかった動物霊や邪霊なんかは、絶対に正体を明かさずに〝自分は正しい神である〟と言ってかかってくるんだがね」

「じゃあ、その判断は難しいね」

「それを判断することを、〝審神(さにわ)〟というんだが、正しい信仰を持ってないと、動物霊や邪霊にだまされてしまうから、注意が必要なんだよ」

「開祖さまは、自分にかかった神さまが正しい神さまだというのがすぐにわかられたの?」

「もちろん、すぐにはおわかりにならなかったんだ。開祖さまも最初は、キツネかタヌキじゃないかと、とても落胆されたそうだ」

「そうだろうね。不安だよね」

「開祖さまが帰神なさったのは、57歳の時だけど、ふだんはとてもきれいな少女のようなお声だったんだ。ところが、帰神状態になられると、野太い男の声で神さまが言葉を発せられる。女性の声と、男神の声とで何度も何度も問答を繰り返され、開祖さまは自分にかかった神さまが正しい神さまであることを悟られ、そしてこの神さまに一生をささげようと決意されたんだよ」

「国祖は、最初にどんなことを言われたの?」

『三ぜんせかい いちどにひら九(く) うめのはな もとのかみよに たてかえ たてなをすぞよ すみせんざん(須弥仙山)に こしをかけ うしとらのこんじん まもるぞよ…』

 松太郎は覚えている「お筆先」の一節を大地に伝えた。

「これが〝うぶごえ〟と言って、国祖が最初に発せられた言葉だと言われているんだ」

「赤ちゃんがオギャーと泣く、あの産声?」

「そう、それにたとえて、国祖がご復権されて最初に発せられたお言葉ということだな」

「なるほど」。大地は頷いた。




 大地は再びご神前の開祖の肖像写真に目をやり、松太郎に質問した。

「国祖が復権するに当たり、出口なおという人でなくてはならなかったの?」

「その通り、出口なおという人でなくてはならなかったんだよ。後(のち)に、開祖さまのご神格は、稚桜姫命(わかざくらひめのみこと)または稚姫岐美命(わかひめぎみのみこと)ということがわかるんだが、一般に天照大神(あまてらすおおかみ)さまの妹の神さまといわれていて、伊勢の「香良洲(からす)神社」にも祭られている神さまなんだよ」

「あぁ、ご神格ね」

「この神さまは国祖の娘に当たる神さまで、国祖のご退隠に先立っていちばん苦しいところに落とされてご苦労され、国祖とともに陰でお働きになっていたんだ。そして、人間として何度もこの地上に生まれてこられ、そのたびに苦しい生涯を繰り返してこられたそうだ」

「それはたいへんなことだね」

「現実的な神さまのご用をするためには、どうしても肉体が必要で、世界中で出口なおという方でなければならなかったということなんだなあ。艮の金神・国常立命(くにとこたちのみこと)さまをこの世でお祭りできるただ一人の方だったとも言えるんだよ」

「なんだか、周到に準備をされた綿密(ちみつ)なプログラムが組まれていた、という感じだね」

「その通りだな。しかもそれが、悪神には絶対にわからないようにしてあったそうだ」

「なるほどね。バレたらまた邪魔されてしまうよね」

「そう、バレたら大変だ。大本では、国祖が復権されたこの明治25年の節分を開教の年としていて、今年で118年になるんだ」

「じゃあ、再来年が120年になるんだね」

「そう再来年も大きな節目の年になるだろうなあ」




「ところでおじいちゃん、確か国祖の神さまと天の神さまの間で、神約が交わされてたと教えてもらったけど、あれはどうなったの?」

「おお大地、そのことを覚えていたかあ」

 松太郎は、右手で一つ膝(ひざ)をたたいた。


(つづく)

※「おほもと」誌・平成22年11月号から転載

第12回「神と神との約束」は
次週1月20日〔金〕に公開します

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この連載は、大本の教えをドラマ風に書き下ろしたもので、
登場人物は実在の人物ではありません。













































































▼次回更新予定

脚本担当:成尾 陽のプロフィールはこちら

成尾 陽(大本メディア愛善宣教課長)

なるお あきら:昭和34年熊本県生まれ成尾総務2.jpg
昭和55年、大本梅松塾を経て大本本部に奉職
特派宣伝使、大本青年部長などを歴任
ITVA-日本(国際企業映像協会)関西支部長
亀岡市立つつじヶ丘小学校PTA会長など(平成16年度)もつとめる。
現在、大本愛善宣教部メディア愛善宣教課長

イラスト担当:にしじまさとしのプロフィールはこちら

西島 里司(大本メディア愛善宣教課主幹)

にしじま さとし:昭和36年兵庫県生まれnishijima.jpg
平成2年、大本梅松塾を経て大本本部に奉職
特派宣伝使、編集部長などを経て
現在、大本愛善宣教部メディア愛善宣教課主幹