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HOME > 教え > 暁の大地・もくじ > 第12回・神と神との約束



「神約はなあ」と、松太郎は話を始めた。  

「国祖(こくそ)がご退隠(たいいん)される時に、天の神さまと交わされた約束のことだが、その約束が守られたのがいつだったのか、知りたいんだろう」

「そうそう」と大地は頷(うなず)いた。

「天の神さまは、時期が来たら、国祖を元の地上世界の主権神に任じますよ。その時には、私たちも天上から地上に降りて来て、あなたのお仕事を手伝いますよ、というものだったなあ」

「うん、しっかり覚えているよ」

「ということは、神約実現の始まりは、間違いなく開祖がご帰神された時、つまり大本が開教した明治25年と言えるだろうなあ」

「やっぱりそうか。じゃあ、もう約束は果たされたということだよね」

「いや、そうとは言い切れないなあ」

「え、どうして?」

「朝にも話したかもしれないが、人間の約束事なら、ある一点や一時期だろう。ところが、神さまのスパーンはとても長いから、神約が果たされるのをある一点に絞り切れないと思うんだよ。だから、神さまの約束はすでに果たされ、そして今も実現している最中だといってもいいんだよ」

「今も?」

「『霊界物語』では、とても簡潔に書いてあるけど、神約というのは人智を超えた深いものだと思うよ。それは、天の大神さまと国祖の間でしかわからないはずなんだ。そうでなければ、国祖を押し込めた悪神にも知られてしまって、簡単に邪魔されかねないからね」

「なるほど。ということは、事前には知られないようにしてあるということかなあ」

「おそらくそうだろうなあ。あとになって“ああ、そういうことだったのか”というものだと思うなあ」

 大地は、少し首を横に傾けながら、松太郎に質問した。

「今、おじいちゃんが言った“ああ、そういうことだったのか”というのはあったの?」

「もちろんあったよ」

「へえ〜、それを聴きたいなあ」

「じゃあ、二つだけ教えてあげようかなあ」と、松太郎は笑顔で答えた。




「あの聖師さまが…」と、松太郎はご神前の写真に目をやった。それにつられるように大地も視線を移した。

「聖師さまは開祖さまとともに、大本の二代教祖のお一人で、明治31年に神さまのお導きによって、初めて開祖さまに会われた。そしてその翌年に大本入りなさり、明治33年に二代さまと結婚されたんだ。それから精力的に教団としての組織作りや布教活動を進められたんだ」

「この『霊界物語』を口述されたんだったよね」と、大地はテーブルの霊界物語を手に取った。

「それは、大正10年からなんだが、実は大正5年まで聖師さまは、教団の中で旧役員らから排斥(はいせき)されておられたんだ」

「排斥? どうして?」

「実はお筆先の中で、聖師さまを守護している精霊が『素盞嗚尊(すさのおのみこと)』や『小松林(こまつばやし)の霊(れい)』という名前で出てくるんだ。この神さまは悪神であるといわれていたために役員からののしられたり、排斥されていたそうなんだなあ」

「そういうことか」

「ところがそれを覆(くつがえ)す出来事が起こったんだ」

「いつ?」

「大正5年のことだ」

「大正5年というと…」

 大地は年号を計算した。

「1916年だから……、開教してから24年もあとだね」

「そうなるかな。この年の9月に、“神島(かみしま)開き”という神事が行われたんだ」

「神島開き? どういう神事だったの?」

「簡単に言うと、今の兵庫県の高砂市沖にある神島という小さな無人島に、国祖の妻神(つまがみ)であった坤(ひつじさる)の金神(こんじん)さまがご退隠になっていて、その尊い神さまを綾部の聖地にお迎えし、世にお出しするという神事だったんだ」

 松太郎は小さくせき払いをして、話を続けた。

「その神島開きの時に、開祖さまのお筆先に、『坤の金神』、それに『素盞嗚尊』や『小松林の霊』も、実は『みろくの神』で、根本の天のご先祖さまであるということが示されたんだよ」

「なるほど、聖師さまの霊魂が、国祖と神約を交わした天の大神さまだったというんだね」

「そうなんだ。いちばん驚かれたのは開祖さまだったろうなあ。神さまは、こんな大切なことを、開祖さまにすら最初から明かしておられなかったんだよ。開祖さまがご昇天になるのが、その2年後の大正7年11月だからねえ」

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「なかなか厳しい話だね」

「だから、聖師さまが大本入りをされた時点で、神約は実現されていたわけだけど、はっきりと示されたのはそれから、20年近くたってからということになるわけだ」

「そういう意味で、神約というのは、人間同士の約束事とはスケールが違う、ということだね」

「そういうことだ」

 大地は、納得したような表情で言葉を継いだ。




「で、もう一つは?」

「それは、長生殿の完成だよ」

「長生殿って、夕べ節分大祭があったあの神殿だよね」

「長生殿は、今から18年前の平成4年、開教100年の年に建ち上がったんだ。大本信徒にとって永い間の悲願の神殿だったんだよ」

「信者さんが待ちこがれていた神殿だったということだね」

「『神約が実現する』ということは、この地上の世界にあっては、天の神さまと地の神さまをあわせて拝ませていただけると解釈できるだろう。だからそんな神殿を建てなければならなかったんだ。今、長生殿のご神殿では、主に地の大神さまを拝ませていただき、そしてその奥にある本宮山(ほんぐうやま)は、天の大神さまの神体山として拝ませていただいているんだ。だから、長生殿でお礼拝をするというのは、天と地の大神さまをあわせて拝んでいることになるんだ」

「ヘェ〜、長生殿ってそんなすごい神殿なんだね。で、建てるのにどのくらいの期間がかかったの?」

「大本が本宮山を入手した大正8年以降からだから、70年くらいだな」

「おじいちゃん、それは時間がかかり過ぎでしょ」

「実は、三度目の造営にして、初めて建ち上がったのが今の長生殿なんだよ」

「あっ、それなら納得。ということは、それまで二度は完成しなかったということだね」

「そう、二度とも大本事件という国家による宗教弾圧によって、途中で破壊されたんだ」

「あぁ、大本事件ね」

「大地、知ってるのか?」

「何となくだけどね。不当な弾圧で、結局冤罪(えんざい)だったんでしょ」

「そうなんだよ。最初は大正10年に本宮山の上に、『本宮山神殿』として建ち上がったんだけど、正式に神さまをお祀りする前に、第一次大本事件で、無惨にも取り壊されてしまったんだ」

「ひどい話だなあ」

「二度目は昭和10年。この時も本宮山の上だったんだが、建設途中で第二次大本事件が起こってしまったんだ。今は、本宮山の上に残った長生殿の十字形の礎石の上に『月山不二』という築山があって、天の大神さまのご神体になっているんだよ。そして三度目にしてやっと、本宮山のすそ野に今の長生殿が建ち上がったんだ」

「そうか、だから“悲願の神殿”と言われたわけかあ」

 大地は、大きく頷いた。

「つまり長生殿はこの地上における『神約実現の証』なんだよ。聖師さまはお歌を通して、

 長生殿建ち上がりたるあかつきは
     神の経綸(しぐみ)も漸(やうや)く成らむ

 大神の鎮まり給(たま)ふ大宮の
     成らずば神業(しんぎょう)成らざるを知れ

とおっしゃっているんだ。だから今は神約実行の真っ只中だと言っていいと思うんだ」

「おじいちゃん、神約って奥が深いね」大地は感心した表情でそう言った。




 台所からともの声がした。

「さあさあ、話はそのへんにして、そろそろ夕食にしませんか」

 時計の針は、午後6時を少しまわっていた。

「おう、もうそんな時間か」

「時間がたつのが早いなあ」

「それじゃあ、夕食の前に夕拝をさせていただこう」

「はい」

「よっこらしょ」と松太郎はソファから腰を上げた。

「何だかお参りする気持ちが違ってきたなあ」

 大地は小さい声でそう言いながら、松太郎のあとについてご神前に進んだ。

(第1部「大本はなぜ生まれたのか・完)

※「おほもと」誌・平成22年12月号から転載

次週より第2部「あの世とみたままつり」
を公開します。

第13回「先祖のまつり」は
次週1月27日〔金〕に公開します

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この連載は、大本の教えをドラマ風に書き下ろしたもので、
登場人物は実在の人物ではありません。













































































▼次回更新予定

脚本担当:成尾 陽のプロフィールはこちら

成尾 陽(大本メディア愛善宣教課長)

なるお あきら:昭和34年熊本県生まれ成尾総務2.jpg
昭和55年、大本梅松塾を経て大本本部に奉職
特派宣伝使、大本青年部長などを歴任
ITVA-日本(国際企業映像協会)関西支部長
亀岡市立つつじヶ丘小学校PTA会長など(平成16年度)もつとめる。
現在、大本愛善宣教部メディア愛善宣教課長

イラスト担当:にしじまさとしのプロフィールはこちら

西島 里司(大本メディア愛善宣教課主幹)

にしじま さとし:昭和36年兵庫県生まれnishijima.jpg
平成2年、大本梅松塾を経て大本本部に奉職
特派宣伝使、編集部長などを経て
現在、大本愛善宣教部メディア愛善宣教課主幹