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HOME > 教え > 暁の大地・もくじ > 第14回・祖霊とは



「おじいちゃん、今の〝うからやから〟って何なの? 聞いたことがあるような気がするけど」

 大地は早速、松太郎に問いかけた。

「そりゃあ、聞いたことがあるだろう、たった今、祖霊社の前で奏げた祝詞にあったからなあ」

「あっ、だからかあ」

「祖霊拝詞(それいはいし)という祝詞の冒頭が、遠津御祖(とおつみおや)の神霊代々(かみよよ)の祖等親族家族(おやたちうからやから)の霊(みたま)だからね。この言葉は、それぞれの家の祖霊さま、つまりご先祖さまをまとめて呼んだ言葉なんだよ」

「そうなのか」

「これは3つの単語がくっついているんだよ。最初の遠津御祖(とおつみおや)の神霊(かみ)というのは、その家の一番元の先祖(せんぞ)ということ。次が代々(よよ)の祖等(おやたち)で、これは遠津御祖(とおつみおや)の神霊(かみ)以降、一番新しい先祖までの総称。3つ目の大地が聞いた親族家族(うからやから)の神霊(みたま)は、親戚縁者(しんせきえんじゃ)の神霊(みたま)ということになるんだ。つまり、〝うからやから〟は、親族や家族のことなんだ」

「あ、そういう意味だったのかぁ」

「ご先祖さまのことを祖霊さまというから、先祖をお祀(まつ)りすることを、〝祖霊祭祀(それいさいし)〟、または〝みたままつり〟というんだ」

「みたままつり」

 大地は、松太郎の言葉を繰り返した。




「それぞれの家のご先祖さまを、大本の方式でみろく殿の祖霊社にまつりかえることを〝復祭(ふくさい)〟というんだ」

「復祭?」

「往復の復という字を当てていて、日本の古来からのまつりのあり方にかえすという意味だよ」

「あぁ、なるほど」

「じゃあ、ぼくの弟か妹になるはずだった香(かおる)は、おじいちゃんとこの親族として祀(まつ)られているということだね」

「そう、梅木家の祖霊として合祀(ごうし)してもらっているんだよ」

「でも、おじいちゃんよりずっと後に生まれるはずだったんだから、おじいちゃんの先祖じゃないんじゃない?」

「なかなか鋭い質問だなあ」

 松太郎は苦笑いしながら、話を続けた。

「まあ、単純に言葉の意味からいうとそう受け取れるが、すでにお祀(まつ)りしてある人々のことを先祖とも言うんだよ。辞書にもそう書いてあるんだ。だから、香の神霊(みたま)をお祀りした時点で、わが家の祖霊になったということだ」

 大地は黙って二度うなずいた。

「大地のお母さんは雨宮家に嫁いだわけだから、香はおじいちゃんからしたら外孫になるんだ。本来なら、雨宮家でお祀りしたらいいんだけど、おまえのお父さんはまだ大本の信徒ではないし、自宅に神さまも祖霊さまもおまつりしてないから、おじいちゃんが代わりに、かわいい孫をお祀りしたということだ。お前のお母さんもそれを強く望んでいたんだよ」

「そうだったのか。香にとっては、ありがたいことなんだろうね」

「それはそうだよ。子孫のまごころのこもった〝みたままつり〟は、かならず霊界の祖霊さまに届き、祖霊さまの霊魂(みたま)の向上につながるんだ」

「へぇ〜? 祖霊さまの霊魂が向上するとどうなるの?」

「より高い霊界に進むことができるんだよ。それは祖霊にとっては、大きな喜びになるんだ。そしてその喜びは、かならず、この世で生きている子孫にも良い影響をおよぼすことにつながるんだ」

「ということは、ぼくたちがきちんと〝みたままつり〟をするということは、まわりまわって、自分のためにもなるということ?」

「その通りだ」

「じゃあ、大切なことなんだね」

「それから、香の神霊(みたま)は、祖霊社で合祀(ごうし)してもらってから、わが家でも祖霊としてお祀(まつ)りしているんだよ」

「そうだったのかあ。じゃあ、おじいちゃんにお祀りしてもらって、香もきっと喜んでいるんだろうね」

 大地は感心した表情で言った。




「ところでおじいちゃん、香という名前は誰がつけたの?」

「大地の両親が相談してつけたんだ。流産した子の場合、性別はわからないから、男の子でも女の子でも通用する名前にするんだよ」

「なるほど、それで香っていう名前にしたんだね」

「それから、祖霊としての敬称は、流産した子の場合は、児童の児(じ)をつけて呼ぶんだ。だから香(かおる)の場合は、香児(かおるじ)と言うんだよ」

「じゃあそれが、仏教でいう戒名(かいみょう)みたいなものなの?」

「戒名とはちょっと違って、生きていた時の氏名のあとに、年齢と性別に応じた敬称が決まっているから、誰でもつけられるし、戒名料みたいな代金も必要ないんだよ」

「そりゃあ、いいね」

「確かここに書いてあったはずだけど」

 と言いながら、松太郎は懐から「おほもとのりと」を取り出して開き、大地に差し出した。

「あった、あった。ほら、ここにあるだろう」

「あっ、これかあ」

「30歳以上で、男性が毘古(びこ)、女性が毘女(びめ)。15歳から29歳までが、比古(ひこ)と比女(ひめ)。7歳から14歳までが、若子(わこ)と少女(いらつめ)。満6歳以下が、稚子(ちご)と稚女(わかつめ)。流産など男女不明の場合が、児、と書いてあるね」




 大地は「おほもとのりと」をもう一度見直して、少し間をおいて口を開いた。

「でも、おじいちゃん。流産児って、そもそも生まれて来られなかったんだから、不幸だよね」

 松太郎は、首を小さく横に振りながら答えた。

「人間的にはそう思えるだろうなあ。大地のお母さんは香を流産した時、とても悲しんでいたよ。お父さんもそうだったなあ。でも、香はこの世での修行が、あとちょっとだけ残っていたんだよ。香と因縁のあったお母さんのお腹に宿ったことで、その残っていた修行を終えて、天国に帰って行ったんだよ。だから今は天国で、きっと幸せに暮らしていると思うよ」

「なるほど、そう考えると救われるね。でも、弟だったのかなあ? 妹だったのかなあ?」

「さあ、それはわからないなあ。ただ、言えることは、弟だったら30歳くらい、妹だったら20歳くらいの青年になっていることは間違いないよ」

「えっ、赤ちゃんではないの?」

「赤ちゃんじゃないよ。天国に帰ると、みんなその年齢になるそうだ。聖師さまが『霊界物語』の中でそう書いておられるんだ」

「そういうお示しがあるんだね」

大地は少しうれしい気分になった。




「それから一つ気になっていることがあるんだけど」

「何だい?」

「さっき聞いた祖霊さまの話だと、一軒の家で祀るご先祖さまの数は、ものすごい数になるんじゃないのかなあ?」

「そうだよ。いちいち名前はあげないけど、すべてのご先祖さま、ということになるから相当な数だろうね」

「だよね」

「自分からさかのぼってのご先祖さまの数だけでもすごい人数だよ。たとえば、一代を30年と考えてみると、30代前までさかのぼると、およそ900年前になる。それから今までの先祖の数を累計すると、だいたい21億人以上という数になるんだ」

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「え〜っ、そんなになるの! びっくりだね」

「そう、大地のご先祖さまも、当然今の数以上のご先祖さまがおられるわけだよ。で、そのうちの一人でも欠けていたら今の大地は、ここにいない、ということになるだろう」

「なるほど、確かにそうだね。そう言えば、おじいちゃんもその一人だよね」

「おいおい、まあそうだけど、おじいちゃんはまだお前の祖霊じゃないぞ」

「冗談だよ」

大地は笑いながら言った。

「でも、だからこそ、すべてのご先祖さまに感謝しないといけないんだね」

「そういうことだ。大地と霊界の祖霊さまとは、いつもつながっているんだよ」

「何だか責任重大って感じだね」

 と言いながら、大地の顔は笑顔になっていた。


(つづく)

※「おほもと」誌・平成23年2月号から転載

第15回「霊界と現界の違い」は
次週2月10日〔金〕に公開します

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この連載は、大本の教えをドラマ風に書き下ろしたもので、
登場人物は実在の人物ではありません。













































































▼次回更新予定

脚本担当:成尾 陽のプロフィールはこちら

成尾 陽(大本メディア愛善宣教課長)

なるお あきら:昭和34年熊本県生まれ成尾総務2.jpg
昭和55年、大本梅松塾を経て大本本部に奉職
特派宣伝使、大本青年部長などを歴任
ITVA-日本(国際企業映像協会)関西支部長
亀岡市立つつじヶ丘小学校PTA会長など(平成16年度)もつとめる。
現在、大本愛善宣教部メディア愛善宣教課長

イラスト担当:にしじまさとしのプロフィールはこちら

西島 里司(大本メディア愛善宣教課主幹)

にしじま さとし:昭和36年兵庫県生まれnishijima.jpg
平成2年、大本梅松塾を経て大本本部に奉職
特派宣伝使、編集部長などを経て
現在、大本愛善宣教部メディア愛善宣教課主幹