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HOME > 教え > 暁の大地・もくじ > 第15回・霊界と現界の違い



 大地は、思いついたように松太郎に訊いた。

「おじいちゃん、僕は今まで〝死〟ということについてあまり関心がなかったんだけど、考えたら誰でもいずれは死ぬんだよね」

「そうだよ、その人によって時期は定かでないけど、死ぬ確率は100パーセントなんだ」

「なるほど、100パーセントかあ。そうだね。じゃあ、〝死〟ということに関して今のうちから、ちょっとは勉強しておいた方がいいのかなあ?」

「もちろんそうだとも。聖師さまは、
  『生前に死後の備へのなき人は
    死期せまるとき無限の悔あり』
 とお歌を詠んでおられるくらいで、自分が死んだらどうなるのか、どこへ行くのか、ということを知っておくことは、とても大切なことなんだよ」

「そうなんだね」

 大地は納得したような顔で答えた。



「昔、こんなことがあったんだ」

 そう言いながら、松太郎は友人の斎藤真一のことを語り出した。

「彼は40代の頃、健康診断で胃ガンが見つかり、胃の全摘手術をしたんだ。ヘタをしたら生死に関わることだから、家族や親しい人たちはとても心配したんだ。でも、彼は大本の信仰を持ち、死後の世界についてしっかりした認識と信念を持っていたから、動じることがなかったんだ。立派な態度だった」

「ふ〜ん、すごいね」

「今も元気だけど、彼はいつも楽天的で、手術のあとなんか、『俺、胃を取って、佐藤になっちゃったよ』と、笑い飛ばしていたくらいなんだよ」

「ん??」

「〝さいとう〟から〝い(胃)〟を取ったら、〝さとう〟になるだろう」

「あっ、そういうことか」

 大地は苦笑いした。

「まあ、それはさておき、彼が入院した時、同じ病室に彼と同じ病気で入院してきた患者さんがいたんだ。その人は会社を経営する50代の社長さんだった。ものすごい努力家で、一代で会社を立ち上げ、病気になるまでは、それは元気な人だったらしい。それまではどんなことでも、自分の力で切り抜けて来た人だった。でも、いざ自分が胃ガンだということがわかり、〝もしかしたら死ぬかもしれない〟と思ったら、とても不安になってしまって、オロオロしていたそうだ」

「分かるような気がするよ」

「人間、死と隣り合わせになった時、言い知れない不安が襲ってくるものなんだなあ。先のことがまったくわからないと、心配になるだろう」

「そうだろうね」




「たとえば、大地が就職して会社勤めをするようになったとしよう。そこで急に一人での海外出張を命じられたとする。行き先は、…そうだな…ブータン。さてその時、大地はまず何をするかな?」

「えっ、ブータンに海外出張」

 大地は驚いた表情になり、腕組みをしながら考えた。

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「そうだね。ブータンって聞いたことはあるけど、まったく知らないから、まず、ブータンという国がどこにあるのか、どんな国なのか調べるだろうね」

「そうだろうなあ。会社の先輩に訊いたり、ガイドブックを手に入れていろいろと調べるだろう。写真を見、説明を読んで、ブータンの気候風土や言語、通貨の単位、民族性や習慣なんかを事前に知っておかないと不安だろうなあ」

「そうそう。それに、ブータンまでどうやって行ったらいいのか。現地に着いたらどうしたらいいのか。知らなかったら安心して行けないよね。まあでも、初めて行くとなると、事前に調べておいても不安があると思うよ」

「そうだな。海外旅行でさえも、目的地のことが分からないと不安なものだ。ましてや死後の世界、〝あの世〟ともなると不安を通り越して、恐怖に思えるかもしれないなあ」

「そうだよね。〝あの世〟に行って帰って来た人もいないし、ガイドブックもないからね」

「そう、普通は〝あの世〟に行ってしまったら帰って来ることはできないんだ。でも、神さまのお許しがあって、〝あの世〟の一部を伝えるために、行って帰って来た人がいるんだよ」

「あっ、分かった。臨死体験をした人でしょう」

 大地は自信ありげに答えた。

「ん〜、確かに臨死体験をした人は、それまでと体験後では、人生に対する考え方が大きく変わると言われているなあ。でも、臨死体験は正確に言うと〝あの世〟に入る一歩手前なんだよ。普通の人は、完全に〝あの世〟に入ってしまったら、もう戻ることはできないんだ」

「そうなのかあ」

「でも、〝あの世〟へ行って帰ってきた人がいるんだ」

「誰?」

「聖師さまだ」

 大地はしっかり頷いた。

「聖師さまは、神さまからの使命をいただかれて、〝あの世〟を探検され、その時に見聞されたものを、『霊界物語』として、発表されたんだ」

「じゃあ、『霊界物語』が、〝あの世〟のガイドブックなんだね」

「そうなんだが、実は『霊界物語』の〝霊界〟というのは、〝あの世〟だけのことじゃないんだ。『霊妙な世界』ということで、〝あの世〟と〝この世〟、過去と未来を含めた世界のことだと、聖師さまはおっしゃっているんだ」

「なるほど」

「でも、聖師さまは『霊界物語』の中で、〝あの世〟のことを詳しく示しておられるんだ。だから、今からは〝あの世〟のことを〝霊界〟として説明しようかな」

「うん、その方が分かりやすくていいね」

 大地は頷き、質問を続けた。

「人間は死んだら何も残らない、無になるから霊界は信じないという人もいるよ」

「そうだな。確かにそういう人もいる。目に見えないものは信じないという人だろうが、目に見えなくても存在するものはいくらでもあるだろう。霊界の実在を信じる、信じないに関わらず、あるものはあるんだ。臨死体験をした人が、理屈抜きで霊界の実在を確信するように、信じないと思っている人は、年齢を重ねて何らかの霊的体験や霊界を感じるチャンスがあれば、その思いは変わると思うよ。ところで大地はどうなんだ?」

「まだよく分からないけど、あるんだろうなあ〜、っていう感じかな」

「まあ今はそれでいい。これから少しずつ理解していけばいいな」

 松太郎は優しいまなざして大地の顔を見た。




「ところでおじいちゃん、この僕らが暮らしている現実の世界と、霊界との一番の違いは何?」

「いい質問だ」

 松太郎の目が輝いた。

「この現界では、人間は肉体を持っている。肉体はオギャーと生まれてから死ぬまで同じものだ。あの肉体がカッコイイから交換したい、と思ってもそれはできない。もちろん肉体は年齢とともに成長していき、ある程度になると今度は老化していく。実は、この肉体は人間の本体である〝魂〟の入れ物なんだ。しかもこの入れ物は言葉をしゃべることができる。言葉をしゃべっているのは、肉体が持つ口であり、声帯なんだ」

「うん、そうだよね」

「その言葉は、人間の本体である魂、心で思ったことを口に出して話すわけだな」

「そうだよ」

「でも、人間は心で思ったことをいつもそのまましゃべるのかな?」

「そうじゃないの?」

 大地は不思議そうな顔をした。

「じゃあ大地、今、おじいちゃんが話していることが、大地にとって興味がないつまらない話だったらどうだろう。おもしろいねえ、なんて言うかな?」

「まあ、おもしろくなくても一応気を使ってそう言うかも」

「だろう。心に浮かんだことをストレートに言ったらマズイなあと思ったら、別の言葉に置き換えてしゃべってしまうことがあるだろう」

「そう言われたらそうだね」

「それは肉体があるからなんだ。魂が肉体から離れ、霊界に行ったら、人は思ったことをそのまま話してしまうんだよ。つまりうそや偽りは通用しないのが霊界なんだ」

「え〜、それは厳しいなあ」

 大地はちょっと驚いた表情で松太郎から視線をそらした。


(つづく)

※「おほもと」誌・平成23年3月号から転載

第16回「三途の川と中有界」は
次週2月17日〔金〕に公開します

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この連載は、大本の教えをドラマ風に書き下ろしたもので、
登場人物は実在の人物ではありません。













































































▼次回更新予定

脚本担当:成尾 陽のプロフィールはこちら

成尾 陽(大本メディア愛善宣教課長)

なるお あきら:昭和34年熊本県生まれ成尾総務2.jpg
昭和55年、大本梅松塾を経て大本本部に奉職
特派宣伝使、大本青年部長などを歴任
ITVA-日本(国際企業映像協会)関西支部長
亀岡市立つつじヶ丘小学校PTA会長など(平成16年度)もつとめる。
現在、大本愛善宣教部メディア愛善宣教課長

イラスト担当:にしじまさとしのプロフィールはこちら

西島 里司(大本メディア愛善宣教課主幹)

にしじま さとし:昭和36年兵庫県生まれnishijima.jpg
平成2年、大本梅松塾を経て大本本部に奉職
特派宣伝使、編集部長などを経て
現在、大本愛善宣教部メディア愛善宣教課主幹