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HOME > 教え > 暁の大地・もくじ > 第16回・三途の川と中有界



「ねえ、おじいちゃん」

 大地は、視線をもどし、松太郎の顔を見ながら聞いた。

「さっき、臨死体験をした人は、〝あの世〟に入る手前までしか行ってないと言ってたよね」

「ああ」

「ということは、霊界には行ってないということだよね」

「まあ、そういうことだなあ。死後の世界の入り口の一歩手前まで行って戻ってきた体験が、臨死体験といわれているものなんだ。多くの場合、お花畑や、とてもきれいな景色の中を歩いていたり、大きな川のほとりまで行って、後ろの方から誰かに呼ばれて振り返ると目が覚めた、というケースが多いようだなあ」

「何かの本で読んだことがあるけど、病院のベッドで横たわっている自分の姿を上から見ていた、という話もあったよ」

「そういう話も聞くなあ。変わったところだと、こんな話もあるんだ」

「何、なに?」




「その人は気がつくといつのまにか、高層ビル街にいた。そこをフラフラと歩いていて、ふとあるビルに入っていった。入り口を進むと受付の女性がいたので、あいさつをすると、名前を聞かれ、パソコンで照合され、『あなたはまだここへは入れませんよ』と言われた。それで仕方なく街中をしばらくトボトボと歩いていると、飲屋街があってそっちの方へ進んでいった。そこで目に入った赤ちょうちんのかかった一軒の居酒屋に入った。そこで、先客と仲良くなってお酒を飲んでいたら、いつの間にか気持ちよくなって寝てしまった。目が覚めると、病院のベッドだったそうだ。この人は交通事故にあって、九死に一生を得た人だったんだ」

「へえ〜、すごいね」

 大地は感心した表情で言った。

「いずれにしてもそういう体験をした人は、息を吹き返したんだから、霊界、死後の世界には入っていないわけで、はるか遠くの方から、霊界の一部を見てきたということだろうな」

「一線を越えてなかったということだね」




「そう、聖師さまは、この世と死後の世界との一線、境目には、大きな川が流れていて、それを〝三途(さんず)川〟というとおっしゃっているんだ」

「三途の川?」

「そう、この三途の川を渡ってしまうと、もうこの世には戻ってこられないそうだ。三途の川の〝途〟は、みち、みちすじという意味があって、つまり三途の川は、三つの道筋ということなんだ」

「えっ、どういうこと」

「三途の川は、その前に立つと、人それぞれ見え方が違うそうだ」

「激しい流れであったり、弱い流れに見えたり、とてもきれいで穏やかに流れているように見える人もあるそうだ」

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「じゃあ、もし死んでその三途の川の前に来た時に、その見え方によって、行き先も決まってくるということなの?」

「そういうことらしいなあ」

「ということは、きれいな川に見えたら、天国に行けるのかなあ?」

「そうだろうなあ。それから、もう一つ行き先が分かることがあるんだよ」

「え、まだあるの」

「三途の川の渡し場には、川を守っている〝川守〟がいるそうだ。まあキーパーだな。そして、その川守は、川を渡る人の生前の行いによって、美人になったり、恐い鬼婆の姿になったりするんだ」

「へ〜」

「相手が悪人だと川守は鬼婆になって、着ていた服をはがすんだ」

「あらら」

「善人の場合だと、川守は美人になってやさしい言葉をかけながら、きれいな服に着替えさせてくれるそうだよ」

「じゃあ、川の前で美人に会えたらラッキーってことだね」

「いや、三途の川では〝運〟は通用しないよ。真実が明らかになるから、そこへ来た時点で、すべては決まっていることなんだ」

「そうか、できれば、美人に着替えさせてもらえるとうれしいけどなあ」

 大地は笑いながら言った。松太郎も笑みを浮かべながら、言葉を継いだ。

「おじいちゃんも、そう願っているけど、そのためには、生きている間の心がけや行いが大事なんだ」

「そういうことなんだね」




「で、三途の川を渡った後の死後の世界だがな、実は、ここも大きくわけると、三つあるんだ」

「三つ?」

「簡単に言うと、天国と地獄とその中間の世界なんだよ」

「天国と地獄は聞いたことあるけど、中間の世界というのは、何?」

「いろいろな呼び方があるけど、大本では、中間に有る世界ということで、〝中有界〟と書いて〝ちゅううかい〟と呼んでいるんだ」

「ちゅううかい?」

「中有界というのは、人が死んでから最初に行くところで、霊界と現界が接する場所、霊界への入り口ともいえるところなんだ。さっき言った臨死体験で、川やお花畑を見たと言われるのは、中有界の入り口の様子ということになるな」

「じゃあ、そこを通って、天国や地獄に行くわけだね。もう少しぼくに分かるように、おじいちゃんの得意な例え話で教えてくれない?」

「そうだなあ」

 松太郎は少しうつむき、しばらく考えてから話し出した。




「たとえば、天国を温水プールだとしよう」

「温水プールかあ」

「プールに行くとまず、受付で料金を払うだろう」

「受付にいるのは、鬼婆、それとも美人?」

「天国に行くんだから、美人さ」

「あ、そうか。良かった」

 大地はニコッとした。

「そして、ロッカーキーをもらって更衣室に向かうだろ」

「うん、ロッカーキーには、たいてい番号がついているから、いくつか更衣室があっても、案内板を見て行けば、目的の場所は分かるよね」

「そう、指定されたロッカーまでたどり着いたら、その前で、靴を脱ぎ、時計やアクセサリーをはずし、服を脱いで水着に着替えるな。そして、決められたスイミングキャップをかぶり、ゴーグルを持ち、バスタオルを持って更衣室を出る。そこからプールサイドに行くまでに、シャワーを浴び、プールサイドでは柔軟体操なんかをして、プールに入ってもいいように、いろいろと準備をするだろう」

「そうだね」

「そしてようやくプールに入れるわけだ。プールの水は温水だから冷たくなくて、気持ちよく水泳ができるわけだな」

「うん」

「この受付という〝三途の川〟を過ぎてから、〝天国〟という温水プールに入るまでの、更衣室やシャワー、体操などのいろいろな準備の場所と時間が〝中有界〟ということになるんだ」

「なるほど!」

 大地はうなずいた。

「じゃあ、中有界にいる時間はあまり長くなくてすむようだね」

「いや、プールに入るまでの準備と違って、本当に天国に入る前の準備には、少し時間がかかるようだね」

「それは、何時間くらい? 1日? 1週間?」

「これは決まってなくて、平均50日くらいと言われているんだよ」

「50日もあるの」

「そう。ただし、中有界を含めた霊界には、時計を見ながら計るような時間の概念はなくて、『あ〜、もう50日たったかなあ』という感覚的な時間なんだ。そしてそれも生前の行いによって長短があるんだよ」

「じゃあ、50日以上かかる人もいるということなの?」

「最高は、30年といわれている」

「え〜っ、そりゃあまた長いなあ」

「短い人は、数日だとも教えられているんだ」

「ということは、準備に時間がかからない方がいいような気がするから、良い行いをした人は、短い期間で中有界を出るんだろうね」

「そういうことだろうな。あ、それから、人が死んで中有界に入ったら、魂の状態になるんだが、それを〝精霊〟というんだ」

「精霊?」

「人の魂は、動物などの魂と違って、とても複雑精巧にできているので、〝妙な〟ということから、精霊というんだよ」

「じゃあ、人は精霊となって、中有界で50日過ごすんだね」

 大地は、確かめるように言ってうなずいた。


(つづく)

※「おほもと」誌・平成23年4月号から転載

第17回「不老不死の妙薬」は
次週2月24日〔金〕に公開します

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この連載は、大本の教えをドラマ風に書き下ろしたもので、
登場人物は実在の人物ではありません。













































































▼次回更新予定

脚本担当:成尾 陽のプロフィールはこちら

成尾 陽(大本メディア愛善宣教課長)

なるお あきら:昭和34年熊本県生まれ成尾総務2.jpg
昭和55年、大本梅松塾を経て大本本部に奉職
特派宣伝使、大本青年部長などを歴任
ITVA-日本(国際企業映像協会)関西支部長
亀岡市立つつじヶ丘小学校PTA会長など(平成16年度)もつとめる。
現在、大本愛善宣教部メディア愛善宣教課長

イラスト担当:にしじまさとしのプロフィールはこちら

西島 里司(大本メディア愛善宣教課主幹)

にしじま さとし:昭和36年兵庫県生まれnishijima.jpg
平成2年、大本梅松塾を経て大本本部に奉職
特派宣伝使、編集部長などを経て
現在、大本愛善宣教部メディア愛善宣教課主幹