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HOME > 教え > 暁の大地・もくじ > 第19回・魔王とサタン



「いい質問だなあ。大地自身は、根の国と底の国では、どっちが罪深いと思うかな?」

 松太郎は、逆に大地に聴いてみた。それに対し大地は、首をかしげながら答えた。

「霊界物語では地獄のことを、根の国・底の国って言うんでしょ。だったら、根っこの底って感じだから、〝底の国〟の方が悪いんじゃないのかなあ」

「そうだなあ、おじいちゃんも最初は大地と同じように思ってたなあ」

「えぇ〜。ということは、反対なの?」

「ん〜、どうもそのようだなあ」

 松太郎は一つせき払いをして、話を続けた。

「大地、魔王とかサタンという名前を知ってるかな?」

「魔王、サタン?」

「そう、魔王とサタン」

「どっかで聞いたなあ」

 大地は少し考えて、思いついたように答えた。

「あっ、そうだ!〝ドラゴンボールZ〟で出てきたなあ」

「ドラゴンボール……??」

「そう、人気アニメのドラゴンボールZだよ」

「アニメ?」

「最初は、週刊少年ジャンプという漫画雑誌で連載されてたんだ。それがすごい人気で、テレビアニメにもなったんだよ。平均20%の高視聴率で、最近も再放送されていたし、海外でも人気で、吹き替え版になっていくつかの国で放映されたらしいよ。そうそう、実写版のハリウッド映画にもなったくらいだからね」

「そうなのか?」

「その登場人物の中に、ピッコロ大魔王とミスター・サタンというのがいたよ。ピッコロ大魔王は、神さまの悪の心が分離してできた存在で、世界を征服しようとしたんだ。ストーリーの中では、その生まれ変わりのピッコロが有名だけどね」

「………」

「ミスター・サタンは、ハッタリと強運のおもしろいおっちゃんキャラクターだよ。でも、おじいちゃんもドラゴンボールを知ってるんだね。若いなあ」

「あっ、いやいや、そうじゃないんだがなあ」

「あれ、違うの」

「そのアニメにも出てくるかもしれないけど、たぶんそれは聖書から名前をとったんだろうなあ」

「なんだ、そうなのか」




「実は霊界物語も、一般の人がわかりやすいように、聖師さまは、仏教用語やキリスト教の言葉、他宗の用語もたくさん使われているんだ」

「なるほど」

「それで聖師さまは、根の国と底の国の説明の中で、根の国を〝魔王〟、底の国を〝サタン〟と書いておられるんだ。魔王とサタンは、一般では同じような意味に解釈できるようなんだが、霊界物語では、きちんと使い分けてあってなあ」

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「へえ、そうなの。じゃあ、虚偽の世界である根の国が魔王で、悪慾の世界である底の国がサタンということだね」

「そう、そういうことだ。それで、魔王とサタンを比べて、罪悪の違いをお示しになっている一節があるんだ」

「どんなお示し?」

「魔王というのは、より背後、深いところにある地獄で、そこに住んでいるのを凶鬼(きょうき)といって、最も凶悪がはなはだしいといわれている。そして、その前面にある地獄がサタンといわれ、凶霊(きょうれい)が住んでいて、魔王に比べるとまだましなんだとね」

「なるほど、魔王の方がサタンより悪いんだ。ドラゴンボールZといっしょだね」

「そうなのかい」

「まあ、比べるのは悪いけど、そんな感じだね」




「ともかく、虚偽と悪慾を比べた場合、虚偽の方が罪が深いということだ。つまり、ウソ、偽りは最も重い罪になるということをお示しになっているんだ」

「ウソやゴマカシで人をだましたりすることは、かなりいけないことなんだね。ということは、詐欺師の罪は重いんだなあ」

 大地はうなずきながら言った。

「弱みにつけ込んで人をだます霊感商法や悪徳商法、お年寄りに被害の多い振り込めサギなんかはとんでもない罪で、そんなことをして人をだました人間は、死んだらとっても苦しい思いをしないといけないんだろうなあ。恐いことだぞ」

「でもおじいちゃん、人生を送る中で、まったくウソをついたことがないという人は、まあ、いないと思わない? 時と場合によっては、仕方なくウソを言わないといけないことだってあるよね」

「そうだなあ、この世では、そんな場合もあるなあ」

「たとえば、ガンの告知なんてそうだよね」

「そうだな。ガンになった人のことを真剣に考え、心からの思いやりで、どうしても本当の病名を言わない方がいいと判断して、ウソをつかないといけない場合もあるだろなあ。でもそんな時は、自分のためのウソでなく、その人のためのウソで、心に〝真〟があるんだよ。嘘も方便、ということわざもあるしなあ」

「そうだね」

「そしてそこには、必ず愛があるはずなんだよ。しかもその愛は、〝愛悪〟でなく、〝愛善〟の愛だから、神さまも許してくださるんじゃないかなあ」




 大地は、松太郎が言った聞き慣れない言葉に反応した。

「愛悪? 愛善?」

「愛悪というのは、利己的な愛、自分のための愛ということだ。その反対が、人のための愛でそれを愛善というんだよ」

「ということは、底の国・サタンの悪慾の世界というのは、愛悪の世界ということになるのかなあ?」

 大地は独り言のように言った。松太郎は、大地の言葉を聞いて、話を継いだ。

「その通りだよ。まさに底の国は、愛悪の世界なんだよ」

「じゃあ、おじいちゃん。愛悪の反対の愛善の世界というのは、どんな世界なの?」

「大地、その愛善の世界というのが、天国なんだよ」

「あっ、そうか。そうだよね。地獄の反対だから天国に決まってるよね」

 大地は笑いながらそういうと、ガラス戸の外の金竜海に目を向けた。ちょうど大きな鯉が一匹飛び跳ねた。その水音を聞いて、松太郎も外に目をやった。

 大地は松太郎に視線をもどし話を続けた。

「おじいちゃん、地獄の話はこれくらいにして、やっぱり天国のことを聞いておかないとね」

「そうだな。大地は将来、地獄には行かないだろうから、天国の話をしっかり聞いておいてもらおうかなあ」

「やっぱり、魔王やサタンの世界より、天国の方がいいからね」

 二人は、顔を見合わせて笑った。




「おじいちゃん、亡くなった人の精霊が中有界に入って50日たったら、天国行きと地獄行きに分かれるんだったよね。天国に行く精霊はどんなふうに天国に進んで行くの?」

「それはなあ…」

 と、松太郎が天国についての話を始めようとした。すると大地が何かを思い出したように言葉を遮った。

「あっ、おじいちゃん、ちょっと待って」

(つづく)

※「おほもと」誌・平成23年7月号から転載

第20回「中有界での面会」は
次週3月16日〔金〕に公開します

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この連載は、大本の教えをドラマ風に書き下ろしたもので、
登場人物は実在の人物ではありません。













































































▼次回更新予定

脚本担当:成尾 陽のプロフィールはこちら

成尾 陽(大本メディア愛善宣教課長)

なるお あきら:昭和34年熊本県生まれ成尾総務2.jpg
昭和55年、大本梅松塾を経て大本本部に奉職
特派宣伝使、大本青年部長などを歴任
ITVA-日本(国際企業映像協会)関西支部長
亀岡市立つつじヶ丘小学校PTA会長など(平成16年度)もつとめる。
現在、大本愛善宣教部メディア愛善宣教課長

イラスト担当:にしじまさとしのプロフィールはこちら

西島 里司(大本メディア愛善宣教課主幹)

にしじま さとし:昭和36年兵庫県生まれnishijima.jpg
平成2年、大本梅松塾を経て大本本部に奉職
特派宣伝使、編集部長などを経て
現在、大本愛善宣教部メディア愛善宣教課主幹