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HOME > 教え > 暁の大地・もくじ > 第21回・天国へのアプローチ



 松太郎と祖母のともが仲のいい夫婦であることを知っている大地は、松太郎の返答を、ほほ笑ましい思いで聞いていた。

 みろく殿内の参拝者は、楽しそうに話をしている〝おじいさんと孫〟の姿を横目に見ながら、ご神前に進んでいった。

 大地が口を開いた。

「おじいちゃん、そろそろ天国の話を聞かせてもらいたいなあ」

「そうだなあ、じゃあ、天国の話をするとしようか」

 そう言いながら松太郎は言葉を継いだ。

「さっきも話したけど、臨死体験で霊界を見てきたという実例は世の中にたくさんあるんだ。でも、それは中有界(ちゅううかい)か、中有界からはるか遠くにある天国の入り口くらいを見て来たものなんだよ」

「そう聖師さまがおっしゃっているんだったよね。おじいちゃんも天国を見てきたわけじゃないもんね」

「もちろんそうだよ」

「見てないのに、天国があるということがわかるんだね」

「わかるというより、信じているんだよ」

「でも、〝見てもいないのにわかるはずがないじゃないか〟、なんて言う人もいると思うなあ」

「もちろん、そういう人もいるなあ。おじいちゃんはそう聞かれた時には、いつもこう答えるんだ」

「え、何て?」




「この世の中には、まだ誰も見ていないけど、必ずあるものがあります」

「……」

「それは、〝明日〟です。明日のこの場所の景色はまだ誰も見ていない。でも、たぶん今日と同じだろうと、誰もが信じている。だけど、もしかすると、何か事故や事件、災害が襲ってきて、今日とは違う景色、状態になっているかもしれないでしょ。でも、明日はありますよね、ってね」

「なるほど」

 大地は感心した表情で言った。

「それから、本で読んだり、聞いたりした臨死体験のことも話すんだ」

「あ、聞きたいなあ」

「じゃあ、一つだけ話してあげよう」

「うん」

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 松太郎は記憶をたどるように少し間を置いてから話し始めた。

「アメリカ人の25歳の青年が、自宅で電話中に雷に打たれて〝死んだ〟んだ。彼は激しい苦痛を感じていたはずなのに、いつのまにか平和で穏やかな気持ちに包み込まれていた。そして、運ばれた病院のベッドに横たわっている〝自分〟を見下ろしていたんだ。
 彼の魂は肉体を離れていたんだね。その時彼は、〝自分はもっとハンサムだと思ってたんだがな〟と、思ったそうだ。
 それから〝自分〟の横で泣き悲しんでいる奥さんの姿も見ていたんだ。そうやって、いろんな状況を見たあと、体がすごく軽くなり、彼は霊界を旅してきたんだ。トンネルが近づいてきて、闇に包まれたかと思ったら、しばらくするとトンネルの先に光が見えて、そこで、〝光の存在〟に出会ったんだ」

「光の存在?」

「たぶん、神さまのことなんだろうなあ。そして大きくて深い〝愛〟に包まれ、喜びが心の底から湧いてきたそうだ。そうしているうちに今度は、自分の人生を回想させられたんだ」

「へえ〜、すごいね」

「ただ、この青年は、それまでにかなり悪いことをしてきていて、暴力やいじめなんかで、たくさんの人を傷つけていたんだ。だからその回想は、楽しいものじゃなかったんだなあ」

「そうなんだ」

「まるで映画を見ているように、人生の一場面一場面が展開されて、その時の自分の気持ちを思い出すと同時に、自分にやられた相手の悲しい気持ち、怖くてつらい感情を体験させられたんだ」

「それはつらいね」

「それで彼は、自分がしてきたことが、いかに相手の心を傷つけていたのかということを思い知ることになるんだ」

「なるほど」

「その後、体が重くなったと思った瞬間、彼の魂は、自分の肉体に戻っていたんだ」

「すごい体験だね」

「その臨死体験の後、当然、彼の人生観は大きく変わっていったんだ」

「そりゃあそうだろうね」

 大地は、感心したような顔で何度もうなづいた。




 松太郎は、話を変えた。

「さて、天国の話をするとしようかな」

 その松太郎の言葉を受けて、大地は言った。

「中有界で50日が過ぎた精霊は、いよいよ天国へ行くんだよね」

「そう、天国の住人、つまり〝天人〟になるんだ」

「精霊から天人になるということ?」

「そう、精霊は天国へ行く準備を終えて、天人の資格を持ってから、自分が進むべき天国への道を進んでいくんだ」

「天国といっても広いんだろうね」

「そりゃあ広いさ。何せ無限だからね」

「そっか、霊界だもんね」

「自分が行く目的地はわかるのかなあ?」

「その天人が所属すべき団体が、目的地になるんだよ」

「え〜、団体に所属するの? 僕は人見知りするから、団体に入るのは苦手だけどなあ」

 大地は不安気な表情で言った。

「大地、心配する必要はまったくないんだよ。本当に気心の知れた親友といるような気持ちになれる団体だから、気を遣うような心配は無用なんだ。聖師さまは、天国のことを〝霊魂(たましい)の故郷(ふるさと)〟とおっしゃっていて、それぞれの天人にとって、とても落ち着く場所なんだよ」

「そうなのかあ、ちょっと安心かな。で、その団体は何人くらいいるの?」

「少ない団体だと、450人らしいなあ」

「学校の一クラスくらいだね」

「そうだなあ。大きな団体になると、5千人、1万人、3万人、5万人、10万人という団体もあるんだ」

「へえ〜、市や町みたいなもんだね」

「それぞれの団体に所属している天人は、自分の団体が一人でも多くなることを望んでいるから、新人の天人をとっても歓迎してくれるそうだよ」

「それは有り難いなあ」

 大地は笑顔で答えて、質問を続けた。

「自分が行くべき団体が、どれくらいの人数なのかは、行ってみないとわからないということだよね」

「まあ、そういうことだな」




「それで、そこへ行く道は、どうやってわかるの」

「中有界から天国の各団体に通じる入り口は、ただ一本の細い道があって、その道をドンドン上っていくと、道は数本に分かれていて、そのうちの一本を進んでいくと、またその先は数十本にも分かれていて、それぞれの道が各団体に通じているんだよ」

「え〜、そんなにたくさんの道があるんだったら、自分の進む道がわからなくて、迷ってしまいそうだね。おじいちゃん、その道がわかるような、何か〝案内板〟でもあるの?」

「いやいや、たくさんの道があるというのは、神さまの目から見てのことで、天人には、自分の進むべき道だけが見えるから、迷うことはないんだ」

「つまり、目の前の見える道を進んでいけばいいんだね」

「そうだなあ。あるいは、〝この道を進みたい〟と思った道を進むと、間違いなく自分の進むべき道を行けるんだよ。それが霊界だからな」

「あっ、そうか。霊界は、意志(いし)・想念(そうねん)の世界だったね」

「そういうことだ」

 松太郎も笑顔で答えた。




「天国の団体は数えきれないほどあるんだけど、それも段階ごとに無数にあるんだよ」

「段階ごとにって、どういうこと?」

「天国は大きくわけて3つにわかれているんだ」

「3つに?」

「中有界に近いところから、第三天国、次が第二天国、その上が第一天国と言うんだよ。そして、その上に神さまがいらっしゃるところがあるんだ」

「天国にも階級があるんだね」

「実は、第三から第一までの天国のそれぞれが、また3段になっていて、その1段がさらに20段にわかれているんだ」

「おじいちゃん、ちょっと待ってよ。ということは、3・3(さざん)が9で、その1つが20段ということだから…」

 大地は暗算してみた。

「180段もあるということだね」

「プラス神さまがいらっしゃるところがあるから、181段になるんだよ」

「あらら、たくさんだね。ということは、神さまがおられるところを除いた180段のそれぞれに、無数の団体があるということなんだね」

「そういうことになるなあ」

「それで、天人自身は、自分がどの段階のどの団体にいるということはわかるの?」

「いや、それはわからないと思うなあ。ただ、天人には常に良くなろうとする向上心があるから、より高い段階、より高い団体に進もうという努力はかかさないんだよ」

「へえ〜、〝天人さん〟って、がんばり屋さんなんだね」

「ただ、一段上がるにも相当な時間が必要なんだよ」

「どのくらい」

「それはなあ…」

 大地は身を乗り出した。

(つづく)


※「おほもと」誌・平成23年9月号から転載

第22回「写し世」は
次週3月30日〔金〕に公開します

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この連載は、大本の教えをドラマ風に書き下ろしたもので、
登場人物は実在の人物ではありません。













































































▼次回更新予定

脚本担当:成尾 陽のプロフィールはこちら

成尾 陽(大本メディア愛善宣教課長)

なるお あきら:昭和34年熊本県生まれ成尾総務2.jpg
昭和55年、大本梅松塾を経て大本本部に奉職
特派宣伝使、大本青年部長などを歴任
ITVA-日本(国際企業映像協会)関西支部長
亀岡市立つつじヶ丘小学校PTA会長など(平成16年度)もつとめる。
現在、大本愛善宣教部メディア愛善宣教課長

イラスト担当:にしじまさとしのプロフィールはこちら

西島 里司(特派宣伝使)

にしじま さとし:昭和36年兵庫県生まれnishijima.jpg
平成2年、大本梅松塾を経て大本本部に奉職
特派宣伝使、編集部長などを経て
大本愛善宣教部メディア愛善宣教課を経て
現在、特派宣伝使。