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HOME > 教え > 暁の大地・もくじ > 第22回・写し世



「天国の階級は、一段上がるのに60年かかるそうだ」

「えぇ〜、そんなにかかるの?」

 大地は松太郎の答えに、思わず身をそらした。

「そりゃあまた、たいへんな時間だね、おじいちゃん」

「そうなんだ。聖師さまは、最奥天国を除いた180段の天国の階級について、
 ももやその みはしをのぼる れいこんは
 むちとせたちて ももはしをのぼる(※注1)
 というお歌を詠んでおられるんだ」

「えー、よくわからないなあ」

「聞いただけだとわかりにくいかもしれないな。〝ももやそのみはし〟(百八十の神階)というのは、180の天国の階級のことで、そこをのぼる天人は、〝むちとせ〟、つまり六千年たって、〝ももはし〟、百段をのぼるんですよ、っていうことなんだ」

「おじいちゃんは、よくそんな難しい歌をおぼえているよねぇ」

「まあな」

「え〜っと、6000年で100段ということは、確かに一段上がるのに、60年かかるということだね」

「まあ、おそらくこの60年というのは、現界の時間に直した場合ということだと思うから、霊界の時間だったら、もっと長い月日が必要のようだなあ。聖師さまは、『500歳が霊魂の一代である』という意味のお歌(※注2)も残してもおられるので、いずれにしても、相当な時間が必要だということだなあ」

「500歳とはまた、長過ぎるなあ」

 と言いながら、大地は何か気づいたような口調で話を続けた。

「おじいちゃんがさっき言ってたよね。この世では肉体があるから修行がしやすくって、霊界に行ったら肉体がなくて、霊魂だけになるから、修行するのが難しくなるって」

「そうだなあ」

「だからそんなに時間がかかるんだね。でもそうすると、天国で60年かかる修行を、この世なら、もしかすると、もっと短い時間でクリアできるのかもしれないね」

「そうだな。この世で、ものすごくがんばって身魂を磨いたら、もしかすると一生の間で、2段も3段も上がることができるのかもしれないなあ。そう考えると、この世で肉体をいただいて修行をさせていただけるということは、有り難いことなんだと思うんだよ」

「なるほど」

 大地は松太郎の言葉にうなずき、顔を上げて、話題を変えた。




「ところで、そうやって天人が、天国の行くべき階級に進んで、行くべき団体に所属してからは、どんなところに住むの?」

「天人の住居ということだな」

「そうそう」

「天国にはこの世と同じように、風景や住所や家屋があって天人が生活しているんだ。天人の暮らしは、この世の人間の生活とよく似ているそうだ」

「へえ〜?」

「昔から、この世、現界のことを〝現世〟と書いて〝うつしよ〟というんだ。〝うつしよ〟というのは、〝写す世〟ということで、霊界を写した世界ということでな…」

「写し世ねえ」

「映画に例(たと)えていうと、映写機にかけるフィルムの映像が〝霊界〟で、映画館のスクリーンに映し出された映像が〝現界〟ということなんだ」

「なるほど、つまりフィルムが元で、スクリーンの映像は写されたものということだね」

「そう。霊界にあること、霊界にあるものが、現界に写るということだから、霊界の住居や風景がなければ、現界の住居や風景もないということになるんだ」

「そうか、何にも写ってないフィルムをどれだけ投影しても、スクリーンに映像は映らないもんね」

「そういうことだ、大地」

「でもおじいちゃん、映像の質は、原版フィルムの善しあしによっても違うんじゃない?」

「……というと?」

「たとえば、画質の悪い映像フィルムだったら、スクリーンに映る映像もクリアじゃないだろうし、最近のデジタル画像のようにきれいな映像がフィルムに収められていたら、スクリーン上の映像も鮮明だと思うんだ。だから、霊界の善しあしも、そのまま現界に写ってくるのかなあ、と思ってね」

「そうだなあ、元である霊界は現界にとって、とっても大切だということだな」

 と松太郎は自分自身の言葉を確かめるように返答し、さらに話を続けた。




「それにもう一つ」

「なに?」

「映像を映し出すスクリーンそのものも大切なんだ」

「つまり現界も大切ということ?」

「もちろんそういうことだ。大地、スクリーンは普通白い色をしているなあ」

「当然そうだね」

「でも、これがもし黒色だったらどうだろうか?」

「いや、それはあり得ないよ。映像がきれいに映るわけがないもん」

「そうだなあ、じゃあ、灰色だったり、黄色だったり、色がついていたらどうかな?」

「それも見にくいよ」

「そうだなあ。じゃあ、白色であっても、ところどころ汚れていたら…」

「それも、汚れが気になって映画に集中できないかもしれないよね」

「そうだろう」

「あっ、なるほど、だからこの世もきれいにしておかないといけないということだね」

 大地は、納得したような表情で言った。

「そうだなあ。神さまは、この世の中の環境も、できるだけ清らかにしてほしいと願っておられるんだ。きれいなスクリーンで、きれいな映像を見ていたら、映画をみている観客の心もすがすがしくなるからなあ」


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「なるほど、スクリーンが環境で、観客が現界人ということだね」

 と言ったあと、大地は首をかしげて、少し間をおいてから質問した。

「おじいちゃんが、〝みたままつり〟の話をした時に教えてくれたよね、この世の〝人の思い〟が霊界の縁ある人に通じるって。……とすれば、霊界の縁ある人というのは、この映画の場合、誰に当たるのかなあ?」

 大地の意表をついた質問に、松太郎は驚いた。

 そこで、例のごとくしばらく考えてから話を続けた。

「そうだなあ…、霊界の縁ある人というのは、〝実際には存在するけど、映画館では会うことがない人たち〟ということじゃないかな。だから、さしずめそのフィルムを作った人たちじゃないかなあ」

「フィルムを作った人たち?」

「つまり、その映画製作に携(たずさ)わった監督や出演者、スタッフということだよ。そして、観客がその映画に感動し、映画の評判が高くなれば、製作関係者もみなうれしいだろうし、仕事の励みになる。そうすればまた新しいより良い作品、つまりフィルムが出来上がるんじゃないかな」

「なるほど、それが繰り返されれば、映画を作る人も見る人も、お互いに良い思いになれるよね」

「そう、霊界の天人も現界の人間も、お互いに向上できるということだなあ」

 松太郎の話を聞きながら、大地は何度もうなずいた。

 松太郎も、大地の納得した表情を見て安心した気持ちになっていた。

 すると、大地がさらに質問を重ねた。

「ねえおじいちゃん、最近は、映画も3Dで立体的になって、専用のメガネをかけて見るようになってきてるんだけど、これって何に例えられるのかなあ?」

「おいおい大地、そこまで例えなくていいだろう」

 松太郎は困ったような表情で言った。

「アハハ、おじいちゃん冗談だよ」

 大地はちゃめっ気な笑顔で言った。

「コラ、大地! からかうな」

 松太郎も好々爺(こうこうや)の顔になっていた。

(つづく)


※注1
百八十(ももやそ)の神階(みはし)をのぼる霊魂(れいこん)
      六千年(むちとせ)(た)ちて百段(ももはし)をのぼる
※注2
五百歳(いほとせ)に人の霊魂(みたま)は昇るなり
      これ霊魂(れいこん)の一代(ひとよ)とぞいふ

(「東の光」から)



※「おほもと」誌・平成23年10月号から転載

第23回「天人の職業」は
次週4月6日〔金〕に公開します

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この連載は、大本の教えをドラマ風に書き下ろしたもので、
登場人物は実在の人物ではありません。













































































▼次回更新予定

脚本担当:成尾 陽のプロフィールはこちら

成尾 陽(大本メディア愛善宣教課長)

なるお あきら:昭和34年熊本県生まれ成尾総務2.jpg
昭和55年、大本梅松塾を経て大本本部に奉職
特派宣伝使、大本青年部長などを歴任
ITVA-日本(国際企業映像協会)関西支部長
亀岡市立つつじヶ丘小学校PTA会長など(平成16年度)もつとめる。
現在、大本愛善宣教部メディア愛善宣教課長

イラスト担当:にしじまさとしのプロフィールはこちら

西島 里司(大本メディア愛善宣教課主幹)

にしじま さとし:昭和36年兵庫県生まれnishijima.jpg
平成2年、大本梅松塾を経て大本本部に奉職
特派宣伝使、編集部長などを経て
現在、大本愛善宣教部メディア愛善宣教課主幹