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HOME > 教え > 暁の大地・もくじ > 第33回・み教えに“明従”




「私たち大本の宣伝使は、こんなすばらしい〝神器〟をいただいているんだから、できる限り、み手代を活用して、神さまのみ救いのご用のお手伝いをさせていただかなくちゃ申し訳ないのよ」

 音江は、生き生きとした表情で言った。大地は「すごいなあ」と感心しながら、音江にたずねた。

「おばあちゃんはどうして、そんなに積極的な気持ちになれるんですか?」

 音江はひと呼吸おいて答えた。

「ありがたいからよ」

「ありがたいから?」

 大地は音江の答えを繰り返した。

「そう、ありがたいから。大地君、この年になるとね、こうして毎日元気に暮らさせていただいていること自体が、とってもありがたく幸せなことだと、心から思えるようになるのよ。そしてね、それが自分一人の力じゃなくて、家族や周囲の人たちの〝おかげ〟だということを実感するようになるの。そのうえで、いちばんありがたいのは、いつも神さまの〝おかげ〟をいただいているということを、しっかり感じられるようになるからなのね」

「そうなんですか。でも、おばあちゃんがおっしゃることは、僕も頭では理解できるんですけど、まだ、実感としては……」

「そりゃあそうよ、大地君の年齢で私と同じ気持ちになってもらっちゃあ、できすぎだからね」

 音江は笑いながら言った。

「ですよね」

「でもね、ただありがたいだけじゃないのよ」

「と言いますと?」

 大地は興味深げに聞いた。




「私たち大本信徒は、とても広くて深いみ教えをいただいているということなの」

「あぁ……」

 大地は、目の前のこの人が、祖父・松太郎と同じような信仰の持ち主なのでは、と思いつつ言葉を返した。

「実は、節分大祭のあとで、丸2日くらい祖父から大本の教えについて、いろいろと教えてもらったんです」

「そうかい、そりゃあ良かったね」

「はい」

「で、どんなことを聞いたのかい?」

「大本がなぜ出現したのか、神さまの歴史はどんなものだったのか、それから、霊界の実在やみたままつりの大切さなんかを聞かせてもらいました」

「ほほぉ〜、そりゃあたくさん勉強したんだね」

「あ、いや、全部おぼえているわけじゃないですけどね」

「一回で全部理解できたら天才だよ。大本の教えは、けっこう深いから、何度も聞いた方がいいんだよ。それに同じことでも、年齢によって受け取り方も変わってくるからね」

「そうなんでしょうね」

「信仰は、ただありがたい、ただ教えがすばらしいと思うだけでもいいかもしれないけど、でも、もっといいのは、しっかり教えを理解して、それを生活の中で実践することが大切だと思うのよね」

「そうでしょうね。祖父の話を聞きながら、僕もそう思いました。まあ、少しだけですけど…」




「聖師さまは、信徒の心得の一つとして、み教えに対しては、〝盲従(もうじゅう)〟するのではなくて、〝明従(めいじゅう)せよ〟とおっしゃっているのよ」

「明従? そんな言葉があるんですか?」

「たぶん辞書にはない言葉だと思うけど、盲従に対しておっしゃった言葉じゃないかなあ?」

「なるほど」

「教えの意味を知らず、理解もせずにただ従うだけじゃなくて、その意味をしっかり知り〝明(あ)りやかに〟理解し、できる限り自分の生活の中で、実践することの大切さをお示しになったことだと思うの」

 大地は無言でうなずいた。




「大地君は、大本の祝詞(のりと)は知ってる?」

 音江がたずねた。

「はい、節分大祭でも神言(かみごと)を何回か奏(あ)げました」

「そう、じゃあ」

 と言いながら、音江はソファを立ち、リビングを出て、しばらくして手に『おほもとのりと』を2冊持ってもどってきた。

「これは知ってるよね」

 と言いながら、音江は大地に『おほもとのりと』を1冊手渡した。

「はい、知っています。祖父の家では、いっしょに朝拝と夕拝をしましたので、その時にも、これを見ながら祝詞を奏げました」

「そうだったのぉ。大地君のおうちにはまだ神さまと祖霊さまはお祀(まつ)りしてないから、ふだんは朝夕拝はすることがないものね」

「そうなんです。母だけが大本信徒なので、今のところお祀りしていません」

「いずれお祀りできたらいいねえ」

「そうなんでしょうね。母とそのことについて話をしたことがないんですけど、そう願っているのかもしれません」

「そうね、京子さんはそう思っているでしょうね」

 確信しているかのような口調だった。音江は、『おほもとのりと』を開きながら、「それでね」と言いながら話を続けた。

「朝拝と夕拝で、奏げる祝詞の違いはわかるかなあ?」

「え〜っと」

 大地も『おほもとのりと』をめくった。

「最初に天津祝詞(あまつのりと)を奏げてから、確か、朝拝が感謝祈願詞(みやびのことば)、夕拝が神言でしたね」

「そうね。じゃあ、どうして朝拝が感謝祈願詞で夕拝が神言かわかる?」

「あっ、いや、それはわかりません」

 と言いながら、大地は心の中で、「ふだんやってないことだから、わかるわけないよなあ」と思っていた。

「そうね、ふだんお参りをしてないんだから、わからなくて当然よね」

「は、はい」

 音江の言葉に、大地はドキッとした。




「でも、理由や意味がわからないで奏上するより、理解して奏げてるほうがよくない?」

「そうですね。〝盲従〟より〝明従〟の方がいいですよね」

 さっき教えたばかりの言葉を使っての大地の返答に、音江は苦笑いしながら答えた。

「そうねえ。それからもう一つ、基本的に祝詞奏上で大切なことがあるのよ」

「何ですか?」

「それはね、清らかな心でもって祝詞を奏げるということ。これを忘れたらいけないのよ。祝詞というのは、もともとは書かれたものではなくて、発声された言霊(ことたま)だったの」

「あの最初の su.jpg(ス)の言霊のようにですか?」

「そう。天津祝詞も神言も、後世文字になり、人が読めるようになったものなのよ」

「なるほど、最初に音があって、あとで文字にされたということですね」

「そういうことね。そして祝詞は、人が神さまにむかって申し上げる言葉で、善言美詞、つまりとてもきれいな言葉でつづられているの。だから、祝詞を奏げる人の心も清らかであることが必要なのね」

「お言葉を返すようですけど、人はいつも清らかな心ではいられないんじゃないでしょうか?」

「そうね。イライラしたり、ムシャクシャしたりする時だってあるものよね。私もそんな時があるもの」

「じゃあそういう時は、お参りしたり、祝詞を奏げない方がいいんですか?」

「いえ逆よ。そんな時こそ祝詞を奏上した方がいいのよ」

「え、だって、清らかな心で祝詞を奏げることが大切じゃないんですか?」

 大地は音江が言っていることが矛盾するんじゃないか、そう思いながらたずねた。音江は平然とした態度で答えた。

「そう、清らかな心でもって奏げるのが大切なんだけど、心がそういう情態じゃないなら、少しでも早く清らかな心に戻すために、お祓(はら)いの力のある祝詞を奏げて、心を整えるわけなの。天津祝詞も神言も、清めの言霊で、お祓いの力があるのよ」

「そうなんですか?」




「大地君」

 音江は少し間をおいてから、リビング入り口の方に目をやりながら、話しを続けた。

「このドアの下の床が、黒ずんで汚れていたとするよね。大地君ならどうする?」

「まあ、たぶん雑巾で拭くかな?」

「そうね、それできれいになるよね。でも、その雑巾が汚れていたらどうする?」

「バケツに水をくんで、よく洗ってから拭くと思います」

「そうだね。イライラした心と祝詞は、それと同じことなのよ」

「??」

「つまりね、汚れた雑巾がイライラした心。バケツの水が祝詞ということなの」

 大地は腕組みをして少しの間考えた。


baketsu.jpg



「ん〜、そういうことですか。あのぉ〜」

 大地は半分納得していない表情でさらにたずねた。

「汚れた床は何に当たるんでしょうか?」

「床は、その人が接している世界よ。ドアの下の汚れは、ほっておいても人が通るたびに歩く人の靴下で拭かれて徐々に薄くなるかもしれない。でも、靴下も汚れるし、あまり良い方法じゃないと思うのね。それに、ひどい汚れだったら、むしろ広がるかもしれないでしょ。だから、少しでも早いうちに、そして丁寧に清らかな雑巾で拭くことが必要だと思うの」

「なるほど」

 今度は大地の声も少し大きくなり、しっかり納得しているようにみえた。

「清らかな心になるように、祝詞を奏げ、その上でさらに、祝詞奏上によって自分自身も、自分の周囲も清めていく、ということですね」

「そう、大地君は理解が早いねぇ。さすが松太郎さんの孫だね」

「いやぁー」

 大地はちょっと照れた。

「で、おばあちゃん、その前の質問のことですが、朝拝が感謝祈願詞、夕拝が神言を奏げる理由は何ですか?」

「そうだったね。じゃあ簡単に説明しようかね」

「はい」

 大地は笑顔でうなずいた。

(つづく)

※「みろくのよ」誌・平成24年9月号から転載

第34回「感謝と祈願と誓いと祓い」は
11月1日〔木〕に公開します

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この連載は、大本の教えをドラマ風に書き下ろしたもので、
登場人物は実在の人物ではありません。













































































▼次回更新予定

脚本担当:成尾 陽のプロフィールはこちら

成尾 陽(大本メディア愛善宣教課長)

なるお あきら:昭和34年熊本県生まれ成尾総務2.jpg
昭和55年、大本梅松塾を経て大本本部に奉職
特派宣伝使、大本青年部長などを歴任
ITVA-日本(国際企業映像協会)関西支部長
亀岡市立つつじヶ丘小学校PTA会長など(平成16年度)もつとめる。
現在、大本愛善宣教部メディア愛善宣教課長

イラスト担当:にしじまさとしのプロフィールはこちら

西島 里司(大本メディア愛善宣教課主幹)

にしじま さとし:昭和36年兵庫県生まれnishijima.jpg
平成2年、大本梅松塾を経て大本本部に奉職
特派宣伝使、編集部長などを経て
現在、大本愛善宣教部メディア愛善宣教課主幹