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HOME > 教え > 暁の大地・もくじ > 第36回・すべての事業をなすにも



「忍耐勉強(よくたへしのび)もつて尊(たふと)き品位(しな)を保(たも)ち、玉(たま)の緒(を)の生命(いのち)長く、家門(いへかど)高く富(とみ)栄えて、美(うま)し天地(あめつち)の花となり光となり、大神(おほかみ)の御子(みこ)たる身の本能(さが)を発(ひら)き揚(あげ)しめたまへ」

 と、大地は言葉を確かめるように、声に出してゆっくり読み終えて言った。

「神さまのご神業にお仕えするために、このお願いをするんですよね。ということは、ここに書いてある5つのことを神さまに頼んでいるんだと思います」

 音江はニッコリしながら、

「さすが、大地君。で、その5つは?」

「まず、『忍耐勉強(よくたへしのび)もつて尊(たふと)き品位(しな)を保ち』ですね。忍耐と勉強だから、耐えなければならないことはしっかりがまんし、よく勉強して、高い品位を落とさないように、ということでしょうか?」

「はい、その通り。ただ、忍耐というと、普通は何が何でもがまんするというふうに受け取りがちだね」

「えっ、そうじゃないんですか?」

「無理のない〝忍耐〟もあるのよ」

「そんなの、あるんですか?」

「あるのよ。それはね、慈悲心や同情心だと聖師さまが教えておられるの。他を心から慈しみ、哀れむ広い心を持っていれば、感情を無理にがまんすることはないからね。つまりは〝愛〟や〝思いやりの心〟を持つことによって、自然と尊い品位が生まれるんだと思うのよね」

「ん〜、そうですね、理屈ではわかりますが、なかなか簡単ではないですよね」




「そうかもね。はい、次は?」

「2つ目は『玉(たま)の緒(を)の生命(いのち)長く』とあるので、健康で長生きさせてください、ってことかなあ?」

「そうね。〝玉の緒の〟というのは、命の枕詞(まくらことば)だから、全体で生命ということになるね」

「枕言葉ですか」

「緒というのは、ものとものとを結びつける意味があるのよ。ほら、〝へその緒〟とか、〝ゲタの緒〟とかいうでしょ」

「そうですね」

「玉の緒の〝玉〟というのは魂のことだから、〝玉の緒〟は、魂と肉体を結びつけているパイプのようなものなのよ。〝へその緒〟は、胎児と母体とをつなぐものでしょ。人がこの世に生まれ出たら、〝へその緒〟を切るけど、人は生きている間は、魂と肉体が〝玉の緒〟でつながっていてね、それが切れた時、霊界に旅立っていくの。この世で生きている間は、〝玉の緒〟を通じて霊的な気を受けて、肉体の健康を保っているのよ。だからパイプがつまると健康にもよくないわけ。できるだけ〝玉の緒〟を、太く強くし、いつも清らかに保つことが大切なのよ、大地君」

「そうなんですか。ということは、〝玉の緒〟が細く弱く、汚れていると、肉体的にもよくないということですね」

「そういうことね。で、このことは、人間の感情や精神状態に左右されるものなのよ」

「感情に…ですか?」

「たとえば、〝怒る〟は、〝緒凝(おこ)る〟という意味で、『玉の緒』が堅く凝(こ)った状態のことなのよ。それから、〝怯(おび)える〟は、〝緒冷(おび)える〟ということで、魂が冷たくなっている状態ね。〝恐れる〟は〝緒逸(おそ)れる〟。〝驚く〟は、〝緒轟(おとどろ)く〟、というふうに、精神が不安定な状態になるのね。だから、人は、できるだけ心を柔らかく、温かく、平常心を心がけることが、健康上も大切なことなのよね」

「なるほど、おもしろいですね」

大地は感心したように言った。




「はい、次は?」

「3つ目が、『家門(いへかど)高く富(とみ)栄えて』ですね。家門…か?」

「〝家門〟は、〝一家一門〟ということ」

「なるほど。ということは、一家一門が裕福に栄えるように、ということですか?」

「そう」

「なんだか、2つ目と3つ目は、とても現実的ですね」

「まあ、そうね。この世は現実の世界だから、健康と財産は必要だからねえ。でも、必要以上の富をください、ってぜいたくなお願いをしているわけじゃなくて、分相応ということが大切だけどね」

「『感謝祈願詞(みやびのことば)』を奏(あ)げるときに、ここだけ力が入りそう」

祝詞・感謝祈願詞・暁の大地


 大地が、冗談っぽく言った。

「いや、実際そういうふうに奏げてる祝詞を、私も聞いたことがあるのよ」

 音江は笑いながら言った。

「え〜、ホントですか!」

 大地は驚いた口調で言った。

「名(めい)・位(い)・寿(じゅ)・富(ふう)っていうけど、これはある程度必要なものなのよ。でもね、人はこれだけを得ようとするために生きていたらいけないの。世のため人のため、そして神さまのために働いていたら、自然と授かるのが本当の名位寿富(めいいじゅふう)なのよ。

 かむながら真(まこと)の道をさとりなば
    名位寿富(もののたから)はひとりそなはる

この聖師さまのお歌の通りなのね」

「主客転倒してはいけないということですね」




「じゃあ、次は?」

「『美(うま)し天地(あめつち)の花となり光となり』、ん〜、文字からいうと、美しい天地の中の、花や光のようになりたい、ってことでしょうか?」

「そうね、そういうふうにも受け取れるけど、私は、『美(うま)し』は『天地の花』、『天地の光』にかかるんじゃないかと思うのよ。『天地の花・光』というのが、この世とあの世に生き通しする私たち人間の魂のことだと理解しているのよ。その魂がより美しく清らかにありたいという願いじゃないかな。だからこの部分をもう少し深く解釈すると、〝世のため人のために役に立つ人間にならせてください〟、っていう意味に受け取れるんじゃないかと思うのね」

「なるほど、深いなあ〜。」

「それで、そのことが5つ目のお願いにつながるのじゃないかな?」




「え〜、最後は、『大神(おほかみ)の御子(みこ)たる身の本能(さが)を発(ひら)き揚(あげ)しめたまへ』なので、神の子としての自分の本能を発揮させてください、ということでしょうか?」

 大地は少し不安げに言った。

「大地君、身の本能(さが)って、なんだろうね?」

 音江の質問に大地は、しばらく考えてから答えた。

「たぶん、人それぞれの個性とか特性じゃないかと思いますが…」

「そうね、その人のために神さまが与えられたものということね」

「一人一人がオンリーワンですからね」

「そういうこと。日本人は、〝謙譲(けんじょう)の美徳〟といって、自分の才能や長所を遠慮して隠してしまうことがあるでしょ」

「そうなりがちかも」

「過剰に謙虚(けんきょ)になりすぎると、せっかく神さまから与えられている特性を発揮できず、宝の持ち腐れになってしまいかねないでしょ。それは神さまの目から見たら罪になるのよ」

「あ、確か〝包み隠す〟ということで、罪でしたね」

「おや、よく知ってるね」

「いやだなあ、おばあちゃん。さっき教えてもらったじゃないですか」

「あら、そうだったねぇ」

 音江は恥ずかしさを隠すように、湯呑(ゆの)みを取り上げ、お茶をすすった。大地もそれに合わせるように、お茶を飲んだ。音江は湯呑みをテーブルに置き、一つ咳(せき)払いをしてから話しを続けた。

「この世の中は本来、人それぞれがお互いの特性を認め合い、発揮し合うことによって、より良い世の中を築くことができると思うの」

「足の引っ張り合いはよくないですよね」

「神さまはその人にしかない使命、役割を与えておられるんだから、それを自覚し、精いっぱい発揮することが、『大神(おほかみ)の御子(みこ)たる身の本能(さが)を発(ひら)き揚(あげ)しめたまへ』ということになるのよね」

「ぼくにも、それがあるのかなあ?」

「もちろんよ大地君、いい個性を持っていると思うよ。しっかりがんばってね」

「はい、ありがとうございます」

 2人は自然と笑顔になっていた。




「さあ、次いきましょうか」

「はい。え〜っと、次は…」

 と言いながら大地は〝おほもとのりと〟に目をやった。

「『仰(あふ)ぎ願(ねが)はくは大御神(おほみかみ)の大御心(おほみこころ)に叶(かな)ひまつりて、身にも心にも罪悪汚穢過失(つみけがれあやまち)あらしめず、天授之至霊(もとつみたま)を守(まも)らせたまへ』ですね。むずかしいなあ〜。この『天授之至霊(もとつみたま)』というのは、魂のことですか?」

「これは、『感謝祈願詞』の最初のところで説明した直霊魂(なおひのみたま)のことよ」

「あ、一霊四魂の一霊のことですね」

「天から授かった究極の霊魂、ということね」

「なるほど」

「できることなら大神さまのご期待にそえるように、罪悪や過ちに犯されることなく、天から授かった直霊魂を生涯お守りください、ということが全体の意味になるの。これは、私たちの人生の目的でもあるのよ」

「え〜っ、人生の目的ですかぁ?」

「天から授かった究極の霊魂を汚すことなく再び天国に帰ることは、何より大切なこと。その上で神さまのご期待にそえるような生涯を送ることが本来の目的であるわけね。この2つのことは、どちらか一方ではだめで、2つあわせて人生の目的になるのよ」

「何だか〝究極の人生の目的〟、って感じですね」

「そういうこと。でも、まだ大地君にはピンときてないかな?」

「そ、そうですね。またゆっくり考えます。ところで、魂を汚すものには、どんなものがあるんですか? それを知っていれば、〝天授之至霊(もとつみたま)〟を守りやすくなりますよね」

「大地君は、ポイントに気づくのが早いね」

「そうですか?」

 照れている大地に音江は言った。

「それはね…」

(つづく)

※「みろくのよ」誌・平成24年12月号から転載

第37回「恐るべきは執着心」は
2月1日〔金〕に公開します

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この連載は、大本の教えをドラマ風に書き下ろしたもので、
登場人物は実在の人物ではありません。













































































▼次回更新予定

脚本担当:成尾 陽のプロフィールはこちら

成尾 陽(大本メディア愛善宣教課長)

なるお あきら:昭和34年熊本県生まれ成尾総務2.jpg
昭和55年、大本梅松塾を経て大本本部に奉職
特派宣伝使、大本青年部長などを歴任
ITVA-日本(国際企業映像協会)関西支部長
亀岡市立つつじヶ丘小学校PTA会長など(平成16年度)もつとめる。
現在、大本愛善宣教部メディア愛善宣教課長