十曜の紋WEB用2.psd宗教法人大本headnametype.png

I トップページ I グローバル I お問合せ I
印刷用表示 |テキストサイズ 小 |中 |大 |


HOME > 教え > 暁の大地・もくじ > 第48回・信仰即生活即芸術

「遊びを楽しみながら、道をおそわるもの…かぁ。そんな遊びとは、今

のところご縁がないですね」

「大地君はまだ若いからね」

 恵子が大地に向かって言った。

「そうだね。なかなかチャンスも少ないだろうからね。でも、大地君に

は、これからは意識して、清らかな遊びと思える芸術や、日本の伝統文

化にする機会を多く持ってほしいと思うなあ。そして、まずはチャレ

ンジ!

かやってみるといいよ。その中で、自分にあったものを見つけ、でき

だけ若いうちから取り組むといいね。できれば複数。無理なら〝これ

っ!〟と思うものを一つでもいいので、とにかく、続けることが大切だ

よ」

 高村が諭すように言った。大地はちょっと自信なさげに小さく頷いた。

「そうね、昔から〝継続は力なり〟という言葉があるけど、続けている

見えてくるものがあるのよねぇ」

 齢を重ねている音江が、しみじみと言った。

「その通りですね。お茶でも能楽でも続けていればこそ、体験的にわか

くることってありますね」

 高村も頷きながら言った。

「高村先生も何か稽古されているんですか?」

 恵子が質問した。

「特派に出ているとなかなかできないんですが、一応、お茶と能楽は

できるときにお稽古している程度なんです」

「そうですか」

 恵子が感心するように言った。続けて大地が高村に質問した。

「あの〜、大本って宗教団体なのに、どうしてそこまでいろんな日本

の伝統文化を奨励しているんですか?」

「そうよね、大地君。私もそのへんのことを一度訊いてみたいと思って

いたのよ」

 恵子が大地の質問に口をはさむように言って、高村の方を見た。

「さっき、大本の教えの中に〝芸術は宗教の母〟というみ教えがあると

いうことは言いましたよね」


 高村が恵子に向かって言葉を続けた。

「この大本のみ教えを理解し、実践するために、その一つの方法とし

て、日本の伝統文化を学ぶことが必要なんですよ。それともう一つ、

大本の教風を守り継承していくためでもあるんです」

「教風ってなんですか?」

 大地が訊き返した。

「学校の校風とか、会社の社風とかいう言葉は聞いたことない?」

「あっ、あります」

「校風とか社風というのは、その学校や会社が特色とする気質のこと。

同じように大本という教団の教風というのは、大本が特色とする気質

のことなんだよ」

「大本という団体の持つ気質、気風ということですね」

「そう、まさに〝芸術は宗教の母〟というみ教えを特色、気質とした

ものが、大本の教風の一つだと、私は思っているんだ」

「一つということは、いくつもあるんですか?」

「そうだね。大本は宗教団体として、ほかの教団にないいくつかの特

質を持っているから、教風が複数あると言っていいと思うね」

「その一つが日本の伝統文化を大切にするということですね。

だからおばあちゃんも、熱心にお茶の稽古をしているんですね」


 恵子が、目線を高村から音江に向けながら言った。

「そうねえ、芸術に親しむ教風は、開祖さま時代からずっと続いて

いるものですねぇ、先生」

 音江が高村の方を見ながら言った。

「そうですね。開祖さま、聖師さま、二代さまとそれぞれに大芸術家で

あったと思います。そして、三代教主さまは、その教風を引き継がれ、

自ら実践されて信徒に範を示されながら、広く信徒に奨励されました。

しかも茶道、能楽、書道、短歌、陶芸などと、とても常人ではできない

くらい広く深く、精進なさったんです」

「どれも玄人が一目置くという高いレベルだったそうよ」


「へえ〜、すごいですね」

 音江の言葉に、大地が感心して言った。

「三代教主さまは、人間生活の中で時処位に応じた〝行儀〟や〝順序〟

が大切で、それを正していくためにも、お茶などの稽古事への精進が

大きく役に立つことを示されていたんだよ」

 そう話した後、高村が「あっ、そうだ。ちょっと待ってね」と言って、

横に置いた鞄の中をさぐりだした。

 松代荘のロビーから見る中庭の木に、ノビタキだろうか、野鳥が数羽

とまっている。夕方になり、日帰り入浴で玄関から奥の浴場に向かう人

の数も増えてきて、ロビー周辺も少しにぎやかになってきた。

「あった、あった」

 そう言うと、高村は資料を取り出し、大地の前に置いた。

「これは、以前の講座の時に作った資料なんだけど、ここに三代さまの

芸術活動に関するお示しがあるんだよ」

高村が指で示した。大地は、音江と恵子にも見えるように少しずらして、

資料に目を落として、小声で読んだ。

『信者の一人一人の方が、ほんとうに仕合わせになっていただくことに

より、世界の平和につながって行くことを、わたくしは信ずることがで

きます。

 神さまを拝み、み教えによって智性と愛情に、神さまの光と熱をいた

だき、健康につとめ、心の持ち方を和やかにし、勇気をふるいおこして

日々の業に励みつつ、仕合わせをきずいていただきたく念じてやみま

せん。

 それにつきましても、わたくしが、信者の皆さまに、こいねがいます

一つのことは、お互いの信仰に順序と時処位による礼儀を尊重して、

一大和合による神光輝く大本にさしていただきたいことであります』    
 (昭和四十年一月一日)

『おたがいが信仰によってつちかわれた誠をあらわすには時、処、位を

わきまえ、礼儀にかなったものでなければなりません。

きよらかな心、誠実な精神を形にあらわしたものが礼儀でございます。

 信仰におきましても、精神的なことにのみ心を集中して、外にあらわ

れる姿をおろそかにしては、礼を失する結果をまねくおそれがございま

す。

皆さまがこれまで信仰によって、つちかってこられました美しい心、

まことの心のあらわれにふさわしい礼儀が磨かれていくことによりまし

て、み教えに示されております「霊体一致、言心行一致」の信仰が深め

れてまいることと存ずる次第でございます』
(昭和四十年二月三日)

『日本の女の人が、お茶をならって、おうす、おこい茶、おすみ、

たなもの、それからお茶事と、これだけおぼえれば、すばらしい国に

なります。お茶事をやらしてもらいますと、教養というものが身につい

て、その人の生活になってきます。

なにかに応用できますし、自然にものを活かして使うようになれます。

それには、茶の湯の点前を教えてもらうだけでなく、お茶のこころを

習う気持ちが大切です』
(『寸葉集』一)

 大地が読み終えて、頷いている。間をおいて高村が説明を続けた。

「このお示しにあるように、お茶の心を形にあらわして実践する

ことが、生活の改革と信仰の向上につながっていくと教えていただ

いているんです。でも、お茶や能楽などの日本伝統芸術を稽古する

というのは、ともすると、生活とはかけ離れた外にあり、

別の世界のように思われるかもしれません。でも、尊師さまは

『宗教は芸術となって体現す』とお示しになっていて、芸術は

けっして生活の外にあるのではないんです。つまり信仰も芸術も生活と

48.psd

ともにあるのが、本来の姿だと教えていただいているのですよ」

「私も本当にそう思います。自分自身ができているかどうかは別とし

て、その通りですね」

  音江が頷きながら高村に向かって言った。

「大地君、こうしたことを一言でいうと、〝信仰即生活即芸術〟

という言葉になるんだよ」

「信仰即生活即芸術…、ですか」

 大地が確かめるように、高村の言葉をゆっくりとくり返した。

「芸術というのは、日本人としての人間らしい生き方を確立するため

には欠くことのできない道の一つなんです。

そして、それを、信仰を礎として実践するときに、その人の姿や形が

改められ、その結果心が浄化されて、おのずから人としての道が確立

されていくのだと思うんですよ」

 高村は自分の言葉を確かめるように話した。


「なるほど、信仰が生活の中に清らかな遊びとなって現れ、三つが

いっしょになることが理想ということですね」

 大地が頷きながら言った。


「この教風は、四代教主さま、現教主さまと、今に受け継がれてきて

いるわけだねぇ。ありがたいねえ〜」

 音江が笑顔で言い、恵子と大地が頷いた。


 温泉から上がってきた日帰り入浴の家族らが、楽しそうに笑いながら、

大地たちの横を通っていった。










next.pngnext.png

nextnext.pngnextnext.png

この連載は、大本の教えをドラマ風に書き下ろしたもので、
登場人物は実在の人物ではありません。













































































▼次回更新予定

脚本担当:成尾 陽のプロフィールはこちら

成尾 陽(大本メディア愛善宣教課長)

なるお あきら:昭和34年熊本県生まれ成尾総務2.jpg
昭和55年、大本梅松塾を経て大本本部に奉職
特派宣伝使、大本青年部長などを歴任
ITVA-日本(国際企業映像協会)関西支部長
亀岡市立つつじヶ丘小学校PTA会長など(平成16年度)もつとめる。
現在、大本愛善宣教部メディア愛善宣教課長