十曜の紋WEB用2.psd宗教法人大本headnametype.png

I トップページ I グローバル I お問合せ I
印刷用表示 |テキストサイズ 小 |中 |大 |


HOME > 教え > 暁の大地・もくじ > 第53回・『みろくの大神様のご因縁

「大地君の会社はどんなことをしているのかな?」

「はい、よしだ工房っていって、ベーカリーなどの店舗用品や厨房器具なんかを製造販売している会社です」

「そうなんだ。で、会社の状態は順調かい?」

「は、はい、まあ順調だと思いますが…」

「そりゃあ良かった」

「ありがとうございます」

 大地はていねいに頭を下げた。

「社長さんはどんな人?」

「そうですね。いい人ですよ。人望もあって、経営手腕も優れた人だと思います」

「それじゃあ心配ないねえ」

「はい、大丈夫だと思います」

 大地は頷いた。

「じゃあ、仮に、仮にだよ…、よしだ工房の経営状態が思わしくなくて、

社員同士の仲もぎくしゃくしていて、うまくいっていないとしよう」

「はあ?」

 大地は首をかしげた。

「いや、あくまでも例えばの話だよ」

「はい」

 高村は、話を続けた。

「社長さんは立派だけど、その下の役員がいまいちしっかりしてなくて、

社員の統制もあやふやで、業績も右肩下がりになってきて、赤字経営に

陥っていたとしよう。そんな時、新しくMさんという中年の男性が入社

してきたんだ。Mさんはものすごく真面目で、一生懸命会社のために働

いたんだ。最初は、古株社員からのやっかみもあったけど、もともと

Mさんが人格者で、実績も伴ってきたこともあって、だんだんと周囲の

理解者も増え、しばらくすると会社の業績も回復してきたんだ。

まさに〝救世主〟だったわけだ。数年すると、売り上げが黒字に転じて、右

肩上がりになりかけた。それに、会社のお得意さんからの評判も良くて、

よしだ工房はお客さんからの信頼も厚くなってきたんだなあ」

「ほ〜」

「でもMさんは、よしだ工房でのキャリアが短いということ、それに一平社員では、

やれることに限界があったんだね」

「そうですね。実力のある人が役職を持って上に立てば、運営もずいぶん違って

くると思いますね」

「社長さんは、Mさんの働きぶりをじっと見ていてかなり好感を持っていたんだね。

それは、仕事面だけでなく、人としても買っていたんだ。そこで社長さんは、

自分の娘婿として、Mさんを迎えたらどうかと考えたんだね」

「なるほど」

「で、そのことを娘さんに話すと、彼女もMさんに対して好意を持っていたらしく、

日ならず結婚することになったんだ」

「それはおめでたいことですね」

「さあ、その結婚が決まってわかったことがあったんだ」

「何ですか?」

 大地は身を乗り出した。

「実はMさんは、よしだ工房の筆頭株主会社の優秀な社員で、よしだ工房と

その顧客の窮地を救うために、特命をおびて派遣させられていたということがわかったんだ」

「なんとそういうことでしたか」

「このことは、社長も知らなかったんだね」

「内密で送り込まれた助っ人だったということですね」

「そういうこと。でも実は、このことはよしだ工房の先代社長と筆頭株主会社

の会長との間で、以前に交わされていた〝密約〟だったんだね。

先代の社長は『もしわが社がピンチになったら、どうか手をさしのべてください』

と頼んでいて、会長もそれを約束していたんだ」

「だから会長の命で、優秀なMさんが送り込まれたということだったんですね」

「そういうこと。しかもMさんは、会長の孫だったんだよ」

 少し真剣に話していた高村は、ネタばらしをした感じで、急に笑顔を作った。

「まあ、現実的にはこんな話はないだろうけどね」

「そうですよね」

 大地も笑顔で答えた。

「つまり大地君、これを神さまの世界に例えると…、

よしだ工房が、地の世界、この大地、地球ということなんだよ。

そして、筆頭株主会社が、天の世界。Mさんが〝天のみろくさま〟と神さまが

明かされた聖師さまだった、…ということなんだよ」

「なるほど」

「つまり、Mさんの素性がはっきりわかり、会社の中でそれ相当の役職に立って、

業務に携わるようになったのが、昭和三年三月三日だった、ということなんだね」

「そういうことか!」

 大地は大きく頷いた。

「ということで、みろく大祭というのは…、社長の娘婿と結婚したMさんが

役職を得て積み上げた業績を、社員一同で讃えて、これから先、

よしだ工房がより発展し、会社も、そして顧客の多くの店舗も共に栄えて

繁盛するように、健闘を讃え合う祝宴…、と考えてもらったらいいんじゃないかなあ」

「なるほど、高村先生、よ〜くわかりました!」


「そうかい、そりゃあ良かった」

 高村も笑顔で頷いた。

「ただ…?」

「ん? 何だい?」

「今の例え話だと、Mさんがよしだ工房で働いていた年数がはっきりわからなかったんですが…。

実際、大本の歴史の中で、聖師さまがみろくの大神さまだったということが

わかるまでにどれくらいの期間があったんですか? 

それから、どうやって聖師さまが、みろくさまだったってわかったんですか?」

「鋭い質問だね、大地君」

 高村はうれしそうな表情をしたかと思うと、真剣な顔つきになり、話を続けた。

「実はそこが、神さまのお仕組の大きなポイントなんだよ」

「お仕組?」

「お仕組というのは、ご神業…つまり神さまがなさろうとするお仕事の計画のことで、

難しい言葉でいうと経綸とも言うんだ」

「経綸ですか?」

「そのご経綸を進められるのに、最初から素性や予定がわかっていたら、

それを邪魔したり、妨害する悪神も出てくるんだね。それで周囲にわからないようにして、

そのご経綸を進めておられたんだよ」

「国祖の神さまを押し込めたような悪神に、神さまの計画が知られない

ようにされたということですね」

「その通り。で、そのご経綸を遂行なさるために、ギリギリまで隠しておられたんだ。

しかも身内にまで。そして、知らされたのが大正五年の九月だったんだね。

開祖さまのお筆先に、〝聖師さまが天のみろくさまであった〟、と示されたんだよ。

何と、開祖さまもその時に初めて、その事実をお知りになったんだ。

聖師さまが二代さまと結婚なさったのが、明治三十三年だから、それから

大正五年までの約十六年間も秘しておられたんだね。

しかも開祖さまがご昇天になるのが、大正七年だから、お亡くなりになる約二年前に、

開祖さまご自身もお知りになったということなんだね」

「神さまのお仕組というのは、深いものなのですね。ということは…、

昭和三年に聖師さまがみろく下生を宣言されたということだから、

大正五年から数えると、え〜と…、十二年もたってから、みろくの大神としての

お働きを宣言された、ということになるんですか?」

「そういうことになるね」

大地は、何度も頷いた。高村は、大地の感の良さに感心していた。

「あら、大地、なんだか真剣ね」

 台所にいた京子が、話に入ってきた。

「いや、そりゃあ、〝深〜いお話〟を聞いてたからね」

「そうなの?」

 京子は大地の顔をのぞき込んだあと、高村の方を見た。

「高村先生、コーヒーはいかがですか?」

「はい、ありがとうございます」

「夕食は町村さんのところでとられるそうなので、お食事を出せないのが残念ですが」

 京子がテーブルにコーヒーを置いた。

「えっ、そうなの? うちで一緒に夕食していただいたらいいのにねえ」

「もう恵子さんが準備していらっしゃるらしいのよ」

「何だそうなのか。残念だなあ」

「ありがとうございます。今回は突然に押しかけてきたんでね、

またゆっくり来させていただきますね」

「そうしてください」

 京子が大地の前にもコーヒーを置いた。

「ぜひ」

 大地も高村に向かって言った。

「ところで大地君」

 高村が話を変えた。

「さっき言ったけど、みろく大祭のことがわかってもらえたところで、大祭にお参りしないかなあ?」

 高村が誘った。京子も相づちを打った。

「そうよ、行ってらっしゃい。綾部のおじいちゃんとおばあちゃんが喜ぶわよ。

どうせ連休は暇なんでしょ」

「いやぁ、暇ってことはないけど…」

「まあ、ゆっくり考えてみて」

 高村は再度参拝をうながした。

「わかりました。考えてみます」

「よし、決まり!」

「いや、お母さん気が早いよ」

 三人は顔を見合わせて笑った。しばらくの間、大地にとって楽しい時間が過ぎていった。

「ごちそうさまでした。さて、そろそろ失礼します」

 高村が、飲み干したコーヒーカップをテーブルに置いて言った。

「もうお帰りですか?」

「町村さんをお待たせしてもいけないのでね」

「先生、いろいろ、ありがとうございました。また来てくださいね」

「ありがとう。また寄せてもらうね」

「お母さん、高村先生がお帰りだよ」

 台所から出てきた京子といっしょに、高村と大地は外に出た。

 三人は挨拶を交わし、高村は特派車に乗り込み、車を発進させた。

 住宅街の角を右折する時、高村が窓から手を振っていた。

「お気をつけて!」

 大地が大きな声で見送った。

 名残の桜の花びらが、春風に乗って舞い散っていた。

next.pngnext.png

nextnext.pngnextnext.png

この連載は、大本の教えをドラマ風に書き下ろしたもので、
登場人物は実在の人物ではありません。













































































▼次回更新予定

脚本担当:成尾 陽のプロフィールはこちら

成尾 陽(大本メディア愛善宣教課長)

なるお あきら:昭和34年熊本県生まれ成尾総務2.jpg
昭和55年、大本梅松塾を経て大本本部に奉職
特派宣伝使、大本青年部長などを歴任
ITVA-日本(国際企業映像協会)関西支部長
亀岡市立つつじヶ丘小学校PTA会長など(平成16年度)もつとめる。
現在、大本愛善宣教部メディア愛善宣教課長