十曜の紋WEB用2.psd宗教法人大本headnametype.png

I トップページ I グローバル I お問合せ I
印刷用表示 |テキストサイズ 小 |中 |大 |


HOME > 教え > 暁の大地・もくじ > 第58回・『ギャラリーおほもとと神教殿』

「こりゃぁ大地に一本やられたなぁ…」

松太郎は、大地の顔を見ながら笑った。

大地も、してやったりの顔で笑みを返し、

なごやかな雰囲気がリビングを包んでいた。

居間の方から京子と ともが入ってきた。

おじいさん、そろそろ休みますか?」

ともが声をかけた。

「おう、もうこんな時間になっていたのか」

掛け時計を見て、松太郎が言った。

「まだ十時過ぎだよ、おじいちゃん」

「年をとると、早く床に着く習慣がついてしまっているんでなあ。

その代わり、朝は早く目が覚めてしまうけど…」

松太郎は笑顔でそう言うと、テーブルに両手をついて、

体を持ち上げるようにして立ち上がった。

「じゃあ、お先に。

明日は教主生誕祭で亀岡まで行くから、七時には家を出ようかね。

みんなお参りに行くんだろう?」

「ええ、そのつもりよ」

京子が答えた。

「それじゃあ、おじいちゃん、明日は僕の車で行こうよ」

「そりゃあうれしいね。頼むよ、大地」

「まかせて、おじいちゃん」

「じゃ、おやすみ」

松太郎は笑顔で寝室に向かった。


翌朝、松太郎たち四人は、大地の運転で亀岡に向かい、

午前八時半に天恩郷に到着した。

「私、なんだか、浦島太郎のような気分だわ」

京子が目の前に立つ立派なみろく会館を前に、目を丸くしながら言った。

「開教百二十年記念事業で、昔の安生館や事務棟が建て替えられて、

こんな立派な建物が建てられたんだ」

「久しぶりに来て、あまりにも変わっていてびっくりしちゃった」

「ホント、きれいだね~。

子供のころのぼんやりとした記憶とはまったく違う気がするなあ~」

大地も物珍しそうに見ていた。

松太郎は、いろいろと説明をしながら、

三人をみろく会館に誘(いざな)った。

ロビーはすでに多くの参拝者でにぎわっていた。

「そうだ」

松太郎が思いついたように言った。

「祭典までまだ時間があるから、

二階の〝ギャラリーおほもと〟に行ってみようか」

「お作品の展示室?」

京子が訊(き)いた。

「そうよ、以前の作品展示室に比べると、

広くてすごくきれいになっているの。

亀岡に来る時は、いつも楽しみにしているのよ」

ともが笑顔で言った。


松太郎たち四人は、二階に上がり、

〝ギャラリーおほもと〟に入った。

「ん~、いい雰囲気だね」

大地が小声で言った。


「大地、これがお筆先だよ」

そう言いながら、松太郎が入口正面のハイケースの前に進み、

三人が後に続いた。

「おじいちゃん、僕、本物を見るのは初めてだよ。

何ともいえない威厳があるなあ~、すごいねぇ!」

大地はお筆先の和綴(わとじ)本をのぞき込みながら感激した表情で言った。

「大地もそう感じるか! 神さまが書かれた書だからなあ」

松太郎は小さく頷(うなず)きながら答えた。

大地ハイケース.jpg

大地の横にいた京子は、しばらくして左奥のハイケースに歩み寄った。

「キラキラ耀(かがや)いていて、やっぱり耀盌(ようわん)はきれいねぇ~」

京子は、耀盌「深山(みやま)」に見とれている。

「こんなにたくさんのお作品を拝見できてありがたいね」

ともも耀盌に近づき、しみじみと言った。

それから四人は、

展示してある一つ一つのお作品をじっくりと拝見して回った。


「宗教団体の中には、日本や世界の美術品を購入して展示している

立派な美術館を持っている教団もあるけど、

大本では、そうした作品は一切展示してないんだ。

ここにあるすべてが、大本の歴代の教主・教主補さま方がお作りになったり、

お書きになったものばかりで、それがこのギャラリーなんだよ」

「なるほど、それはすごいなあ」

「それに、信仰に裏打ちされた芸術活動そのものが、

大本のみ教えの大きな特徴でもあるんだよ」

「おじいちゃん、そういえば以前、長野で特派の高村先生から、

〝芸術は宗教の母〟っていうお話を聞かせてもらったんだ。

その時に、素晴らしい芸術作品を目の前にした時、

表面だけを見るんじゃなくて、

そこから何を感じるかという感性が大切だと教えてもらったよ」

「ほう~」

「確か、聖師さまは、『美は神さまの〝姿〟で、

宗教は神さまの〝心〟だ』って言っておられたそうで、

食事に例えると、宗教が主食のご飯だとすると、

芸術は副食のおかずのようなもので、両方のバランスが、

とても大切だとも教えてもらったんだよ」

「ほう~、そのことを大地はおぼえていたのかい」

「すごく印象的な例えだったんでね。

もちろん、大本の芸術作品は、

ここにあるお作品だけじゃないと思うけど…。

でも、こうしていると、普通の美術品に囲まれているのとは

違う感覚が湧いてくるような気がするなあ」

「そうかい、それは良い心がけだ。

無理にそれを言葉で説明しようとしなくてもいいんだよ。

その感覚、感じたものを大地の魂の中に残せたら、

それでいいんじゃないのかなあ」

「おじいちゃんの言ってること、何となくわかるよ」

「そうか、そりゃあ良かった」

松太郎は大地の素直な感想と穏やかな表情を見て、

心満たされる思いになっていた。


その後四人は、みろく会館を出て、東光苑広場で行われていた直心会や

青松会によるバザーに立ち寄り、万祥殿内に入った。

午前十時から、教主さまご臨席のもと、

「教主生誕祭、三代教主・教主補聖誕祭」が厳かに執行された。

祭典後の行事も終わり、直会の後には野点席にも入席し、

聖地・天恩郷の雰囲気を満喫した。


四人が神教殿の前まで来たとき、

後方から、「梅木さん」と声をかけられ、松太郎が振り返った。

「あ、高村先生」

「お久しぶりです、梅木さん。おや、雨宮さんもごいっしょでしたか」

「あらー先生、こんにちは。ご無沙汰(ぶさた)しております」

京子があいさつした。

「こんにちは。その節にはお世話になりました」

「いいえ、こちらこそ」

「お~、大地君も参拝に来られたんだね」

高村は大地の姿を見つけて声をかけた。

「高村先生、こんにちは」

「大地君、ようこそ」

「先生との約束、一年越しになったけど、ようやく参拝に来られました」

「良かったね」

そう言いながら、高村は大地の手をとって握手をした。

「ありがとうございます」

大地も嬉(うれ)しそうに答え、しばらく話が弾んだ。

「大地君、またいずれ、この神教殿で大道場修行を受けられたらいいね」

「道場? 修行ですか?」

高村は、大地の疑問を察したかのように話を続けた。

「修行といっても、

大地君が想像しているような〝難行苦行〟をするわけじゃないんだよ」

「そうなんですか?」

「大道場修行は五日間、

神さまの教えのお話を聴かせていただくプログラムが中心なんだよ。

それに道場といっても、ここは武道場じゃないからね。

〝大道場〟というのは、〝神さまの大道を学ぶ場所〟ということ、

〝修行〟というのは、〝行いを修める〟という意味なんだよ」

「なるほど、そういうことで大道場修行ですか」

大地は納得したように頷いた。 

あっ、いけない…、高村が思い出したように言った。

「すみません、万祥殿へ行かないといけないので…」

「お忙しいのに、すみません」

京子が言った。

「ではまた、後ほど」

そう言ってお辞儀をし、高村は万祥殿の方へ向かった。

午後からの「第二十回全国愛善歌奉納大会」では、

高村が司会を務めていた。

また、松太郎とともが、綾部みろく分苑の合唱団員として出場。

そのことを直前に知った京子と大地には、

ちょっとしたサプライズだった。


夕刻、亀岡を後にした四人は、途中のレストランで夕食をとり、

天恩郷での一日の話題に花を咲かせ、午後八時過ぎに帰宅した。

「大地、くたびれたんじゃないかい?」

ともが大地に訊いた。

「そうだね、でも何だか、今日は心地よいくたびれだね。

おばあちゃんこそ、大丈夫?」

「大丈夫だよ。親子三代でお参りできたんだからね。

今日もたくさんおかげをいただいたよ」

ともが嬉しそうに言った。

「そうね、ありがたい一日だったわ」

京子もしみじみと言った。

(続く)

next.pngnext.png

nextnext.pngnextnext.png

この連載は、大本の教えをドラマ風に書き下ろしたもので、
登場人物は実在の人物ではありません。













































































▼次回更新予定

脚本担当:成尾 陽のプロフィールはこちら

成尾 陽(大本メディア愛善宣教課長)

なるお あきら:昭和34年熊本県生まれ成尾総務2.jpg
昭和55年、大本梅松塾を経て大本本部に奉職
特派宣伝使、大本青年部長などを歴任
ITVA-日本(国際企業映像協会)関西支部長
亀岡市立つつじヶ丘小学校PTA会長など(平成16年度)もつとめる。
現在、大本愛善宣教部メディア愛善宣教課長