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HOME > 教え > 暁の大地・もくじ > 第62回・『年祭と奥都城』

松太郎たち四人は、野点席で本宮と別れてから、みろく殿に向かった。

殿内に入り、前方へ進みながら、大地は金竜海側の仕切りのある部屋に目をやり、四年前のことを思い出した。

「おじいちゃん、四年前、あそこで〝みたままつり〟のことについていろいろ教えてもらったよね」

「そうだったなあ。あの時は、香ちゃんの二十年祭の申し込みをしたんだったなあ」

「そうだね。ということは、今年は二十四年ってことか」

と大地が言うと、

「生まれていたら、三月で二十四歳になったんだね。早いわね」

京子がしみじみと言った。

「ということは、来年で二十五年ってことね。じゃあ、年祭をお願いしないといけないのかしら?」

「二十五年祭はないんだよ」

松太郎が答えた。

「あら、そうなの?」

「大本では、亡くなってから五年までは毎年年祭を行って、その後は十年祭、十五年祭、二十年祭となるんだ。で、二十年からは、五十年まで十年ごとに年祭を行って、五十年祭の次は百年祭になるんだよ」

「じゃあ、つぎは三十年祭ね」

「そうだな、でも、遺族が年祭をしたいと思えば、毎年お願いしても何も問題ないし、むしろ丁寧で、みたまさんもお喜びになるだろうなあ」

「そうなのね。でも百年祭となると、孫以上の世代に引き継がないといけないわね」

「そうなるだろうなあ。大地の子供や孫が、立派にみたままつりを引き継いでくれるといいがなあ」

「今からしっかり教育しておかないとね」

そう言いながら、京子が大地の方へ目をやった。

が、大地はそんな京子の視線に気づかなかったかのように、祖霊社の方を見つめ、〝生まれていたら、どんな妹だったんだろうなあ〟と、妹・香のことを想像していた。


その後四人は、殿内右側の祖霊社の前に座り、祭典執行を待った。

「結構いっぱいになってきたね」

大地が後ろを振り返り、殿内を見渡しながら言った。みろく殿には、三々五々、参拝者が入殿してくる。

「そうだね。ご先祖さまのお祭りだから、皆さんしっかりお参りされるんだよ」

ともが言った。

「ぼく、ここでの祭典にお参りするのは初めてだなあ」

「確か大地が小さい時には、お参りしたことがあったと思うけど、覚えてないだろうねえ」

「そうなの?」

「あった、あった。でもまだ二歳くらいじゃなかったかしらね」

京子が言った。


午後二時、春季祖霊大祭が始まった。祭典は型どおり進み、玉串捧呈(ほうてい)の後、大地は『おほもとのりと』を手に、真剣に「神言」を奏(あ)げた。その後、万霊大祭も終わり、参拝者は奥都城(おくつき)に移動。大地たち四人も、みろく殿前からシャトルバスに乗り、奥都城に向かった。

幸い四人は、一便のバスに乗ることができた。車内に入り、ともと京子が並んで座り、松太郎の横に大地が座った。

「おじいちゃん、これからどこまで行くの?」

「春と秋の大祭の最後には、天王平で奥都城祭典があって、それにお参りするんだよ」

「遠いの?」

「いや、五分くらいで着くよ」

「何だ、そんなに近いのか」

そう言いながら、大地は大祭のしおりを取り出して、祭典名を確認した。

「あ、これだね」

と言いながら、祭典・諸行事の最後の方に記されていた「奥都城祭典」に目をやった。

「おじいちゃん、初歩的な質問かもしれないけど、そもそも奥都城って何?」

「お、そうだ、説明してなかったなあ、すまん、すまん」

松太郎はそう言うと、奥都城の説明を始めた。

「奥都城というのは、天界に帰られた大本の歴代教主・教主補さま方のお墓のことなんだよ。つまり現時点では、開祖さま、聖師さま、二代教主さま、三代教主さま、尊師さま、そして四代教主さまのお墓のことを言うんだよ」

「あ、そうなの」

大地が頷(うなず)きながら言った。

松太郎は内ポケットからペンを取り出し、大地が手にしていた大祭のしおりを取り、奥都城祭典の「奥都城」と「天王平(てんのうだいら)」に線を引き、その上のスペースに、四つの言葉を書いた。


奥津城
奥城
奥つ城
彩霞苑


松太郎はしおりを大地に返して、説明を続けた。

「一般では〝おくつき〟は、〝奥つ城〟と書くようだな。〝つ〟は〝の〟の意味の昔の言葉だから、〝奥の城〟ということだ。

〝奥〟は文字通り奥深い意味の〝奥〟や、〝置く〟ということ。〝城〟は、取り囲んだ一郭の場所という意味があるから、〝奥の城〟は、奥まった場所にある境域、神や霊がおさまり鎮まっている所やお墓という意味なんだ。だから一般的には、神道式のお墓のことを言うようだなあ」

「そういう意味なんだね」

「神道では、〝奥つ城〟の〝つ〟に、都や津を当ててあるけど、〝都〟は、神官などをつとめた人のお墓に使われて、〝津〟は一般の信徒の墓に使われるそうだなあ」

「そんな使い分けがあるんだね」

「大本では、歴代教主・教主補さま方のお墓の場所を、〝都〟を当てて〝奥都城〟、信徒のお墓がある場所を〝津〟を当てて〝奥津城〟と呼んでいるんだよ。そして、信徒の個々のお墓の墓石には、〝都〟や〝津〟を入れずに、〝〇〇家代々祖等之奥城〟と刻んであるんだ」

「ということは、そこには信徒のお墓もあるということ?」

「そうだよ。梅木家のお墓も、天王平にあるんだよ」

「そうなんだね」

大地は頷いてから、また質問した。


「天王平っていうのは、そのお墓のある場所のことなの?」

「そうだよ」

「おじいちゃん、天王平ってどんな意味があるの?」

「〝天王〟は、神さまの呼称でもあるから、大本信徒にとっては歴代教主・教主補さま方のことを指すのじゃないかなあ。〝平〟というのは、山間の平地のことだから、天王平というのは、神さまがいらっしゃる神聖な領域ということだと、わしは思っているんだ。……ほら大地、ここからが天王平の登り口だよ」

バスは減速して、急坂を登っていく。


「この一体が天王平だ」

松太郎は前方を左から右へ指差しながら言った。

「それから、この向こうには、信徒と綾部市民のお墓とがいっしょになった天王平共同墓地という区画もあるんだ」

そう言いながら、松太郎は右手前方を指さした。

「信者さんのお墓だけじゃないんだね」

「この一帯は、昭和二十五年当時、一宗教団体だけに墓地として認可が下りなかったようで、そうなったらしいんだ。だからここは、主に第二次大本事件までの大本の先人と、綾部市民の共同の墓所になっているんだよ」

「なるほど」

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松太郎はさらに前方を指さして言葉を続けた。

「その後、おじいちゃんが中学生だった頃、この奥の一帯が当時の綾部市長のはからいで大本に譲渡され、墓所として整備されて、三代教主さまが〝彩霞苑(さいかえん)〟と命名されたんだ。そこに、梅木家のお墓もあるんだよ」

「〝彩霞苑〟というのは、これだね。霞(かすみ)が彩る苑(その)か、きれいな名前だね」
大地は大祭のしおりに松太郎が書いた〝彩霞苑〟の文字を指さした。

「〝彩霞〟というのは、〝きれいな朝焼けや夕焼けの雲気や美しい色のかすみ〟という意味があるらしいなあ。その彩霞苑は二万九千坪の広さだから、昨日参拝した亀岡の天恩郷より広い面積になるんだ。もちろん、丘陵地全体だから墓所だけの広さじゃないけどね」

「へえ~、広いんだね」

「だけど、二十年くらい前にそこの収容も限界になったので、〝大本信徒共同墳〟というのが完成したんだ」

「一口にお墓と言っても、いろんな歴史や意味があるんだね」

大地は感心するように頷いた。

間もなくバスが坂を上り切り、奥都城前の所定の位置に着いた。四人はつくばい前まで来て、手と口を清めた。

「祭典が始まるまで、まだ時間がありそうだから、先にお墓にお参りしようかね」

「そうしましょうか」

松太郎の誘いに、ともが答えた。

(続く)

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この連載は、大本の教えをドラマ風に書き下ろしたもので、
登場人物は実在の人物ではありません。













































































▼次回更新予定

脚本担当:成尾 陽のプロフィールはこちら

成尾 陽(大本メディア愛善宣教課長)

なるお あきら:昭和34年熊本県生まれ成尾総務2.jpg
昭和55年、大本梅松塾を経て大本本部に奉職
特派宣伝使、大本青年部長などを歴任
ITVA-日本(国際企業映像協会)関西支部長
亀岡市立つつじヶ丘小学校PTA会長など(平成16年度)もつとめる。
現在、大本愛善宣教部メディア愛善宣教課長