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HOME > 教え > 暁の大地・もくじ > 第66回・『身魂の夫婦』

「さっきも言ったように、母自身も家内の存在については、はっきりとした理由を知らなかったんだと思うんだよ」

「それが驚きですよね。あの~、本宮さんのお母さんは、もともと不思議な力を持った方だったんですか?」

 大地が申し訳なさそうに尋ねた。

「いやぁ、そんなことはなかったんだけどね。私の母は、幼い時からとても親孝行な娘だったようなんだ。母の娘時代はまだ、親孝行な子どもを県などが公に表彰するという制度があったらしいんだよ」

「え~、そんな制度があったんですか」

 初めて聞く話に大地は驚いた。

「開祖さまが娘時代に、地元福知山藩の藩主から、時の親孝行な娘三人の〝三孝女〟の一人として表彰されたというエピソードが残っているけど、本宮さんのお母さんの時代にもまだあったんだね」

 松太郎が感心したような表情で言った。


「そうなんですよ。母は福井県の漁村で生まれ、実家は漁師だったんです。やはり小さい時から奉公に出ていて、一生懸命働いて、蓄えた給金で両親のために漁船を買ったんです。それほど親孝行だったらしいんです。それで、県から当時の親孝行な三人の娘の一人に選ばれて、表彰されたということでした」

「漁船をプレゼントですか! すごいですね」

 大地が驚いたように言った。

「母は小菊という名前だったので、その船には小菊丸という名前がついていました。私も子どものころ、一度だけその小菊丸に乗せてもらったことがありました」

 本宮が、懐かしそうに言った。

「とってもステキなお話ですね」

「でもいろいろ苦労したようで、私たちも子どものころは、つましい生活でした」

「そんなお母さんだからこそ、本宮さんの結婚に関しては、不思議な橋渡しをされたんだろうね」

 松太郎が言った。

「どうなんでしょうかね」

 本宮が答えた。

「あの…、さっき本宮さんの奥さまとの不思議な出会いには、後日談があるとおっしゃっていましたが…」

「そうだったね」

「つまり、奥さまとの出会いの理由がわかったとか?」

「まあ、そういうことだね」

「どんなことだったんですか?」

 大地は、さらに身を乗り出した。


「実は、結婚後、三人の子どもたちも大きくなってからだけど、ある日、私一人で亀岡の梅松館に参拝に行ったことがあったんだよ。そしたら、ご神前でお参りした後に、思いもよらず三代さまがお出ましになって、ご面会いただいたんだ」

 本宮は言葉をかみしめるように話を続けた。

「三代さまは、『あんたが来るのを待っとったんやで』とおっしゃって、私と家内の身魂の因縁を教えていただいたことがあったんです。実は、その日の朝は、家内とちょっとしたケンカをしていたんだけど、驚いたことに三代さまはそのことをご存じだったんですよ。あれには驚いたなあ」

「奥さまが、三代さまに告げ口されていた、ってことはないですよね」

「とんでもない、そんなことを言えるはずがないよ。私たち二人のことだから、知っておられるわけがないんだけど、三代さまはお見通しだったんだね」

「へぇ~、すごいですね」

「そのあとに三代さまは、二人の身魂の因縁について、お話になったんだ。一言で言うと、家内の精霊は私の精霊と同じ身魂で、霊界では一柱(はしら)でいたんだとおっしゃったんです」

「え?」

 大地はすぐに話が理解できず首をかしげた。

「大地、聖師さまは、天国の夫婦というのは、同じ霊性を持っているから、天国では二人で一人、二柱で一柱と数えられるとお示しになっているんだよ」

 松太郎が補足した。

「だから、本宮さんと奥さんで一柱の身魂ということなんですね」

 大地が確認した。

「そう、二人でようやく一人前なんだね」

 本宮が笑いながら言った。

「それで三代さまは詳しく説明してくださったんです。私も家内も、現界でのご用のために生まれさせられて、その時に、同じ母親から生まれると、現界で一緒になれないから、別のところでほかの母親のお腹(なか)を借りて生んでもらって、時が来て私のところに帰ってきて夫婦として一緒になったんだ、と教えてくださいました」


 大地は頷(うなず)きながらも、少し間をおいて質問した。

「それは、本宮さんが奥さまとの出会いのことを三代さまにお話になったから、そのことを詳しく説明されるために、そうおっしゃったということですか?」

 大地が首をかしげながら言った。

「いやいや、そうじゃないんだよ、大地君。私は、母が病床で言ったことや家内との出会いのことは一切、三代さまに申し上げたことはなかったんだよ」

「えっ、そうなんですか」

 大地はさらに驚いた。

「そうなんだよ。だから三代さまはすごい方なんだよ。そして諭されるように、こうもおっしゃったんだ。

『あなたと奥さんの身魂は、霊界では同じ身魂で、あなたのお母さんと本当の親子なんや。だから、お母さんにとっては、同じ子どもなんや。あなたは兄弟四人いるけど、霊界での本当の親子はあなただけなんやで』

 だから、私たちは現界でのご用を全うするために、一つの身魂になってご奉仕しないといけないから、霊界と同じように二人で一つ、夫婦になって神さまのご用にお仕えしないといけない、ということなんだね」

「何だか、びっくりするようなお話ですね」

「そうなんだよね。私も本当にびっくりしたんだよ。でも、三代さまは、さらに続けてお話されたんだ」

「何をですか?」

「それは、人は誰もが勝手に生まれてきたんじゃないってことだよ。神さまは、一人の精霊を立派に育てられるためには、とても長い時間をかけて、お世話をしてくださっているということ。人はこの世に生まれ替わり、死に替わりして、ようやく一人前の精霊に育つんだね。そして、現界では精霊が一つではちゃんとしたご用ができないから、もう一つの精霊を生まれ替わり死に替わりさせて育て上げ、そして同じ身魂につくりあげて、現界で夫婦一体となって神さまのご用にお仕えするということなんだよ」



「つまり、霊界で一柱の身魂といわれる夫婦の精霊が、現界で一組の夫婦となってこそ、神さまのご用を全うすることができるということなんだろうかなあ」

 松太郎が何度も頷くように言った。

「三代さまは、同じ身魂が夫婦としてこの世で暮らすことが、みろくの世の夫婦の姿だともおっしゃっていたね」

「みろくの世の夫婦……?」

「だから、自分が勝手に生まれてきたように考えたり、亭主は男だから偉い、…なんていうことはたいへんな思い上がりだと、三代さまから教えていただいたんだ。三代さまは、私の因縁生来(いんねんしょうらい)をすべてお見通しだったんです。まさに神さまでしたね」

 本宮は、まるで三代さまが目の前にいらっしゃるような雰囲気で語り、三代さまをお慕いする思いが、大地にもひしひしと伝わってきた。大地は、その本宮のおだやかな表情を見て、なぜか自分の心がすがすがしくなっていくような気持ちになっていた。そして、思い出したように言った。

「あっ、そうか。本宮さんのお母さんは最後まで、本宮さんと奥さんとの〝出会いの謎〟をおっしゃらなかったけど、その答えを三代さまが教えてくださった、ということですね」

「そうなんだよ、大地君。三代さまからのお話をうかがって、死期が近づいていた母は、本人もわからないうちに神さまからのご内流をいただいて、直感的に神さまから言わされていたんじゃないかと、私は思っているんだよ」

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画•にしじま さとし


「なあ、大地、すごい話だろ」

 松太郎が、自分のことでもないのに、ちょっと自慢げに言った。

「じゃあ、今のお話からすると、本宮さんは、あの世に帰られたら、今の奥さまと夫婦になられるんでしょうかね?」

「たぶん…ね。だから今、家内のことは人生の恩人と思っているんだよ」

 本宮が真顔で言った。

「なんと、すごいなあ」

「まあ、家内がどう思っているかは知らないけどね」

 今度は、笑顔で言った。

「立派な心掛けだなあ」

 そう感心する松太郎に、大地が質問した。

「おじいちゃん夫婦はどうなんだろうね?」

「えっ、わしらか?」

 松太郎は面食らったように答えた。

「さあなあ、本宮さん夫婦のように、すべての夫婦が、みろくの世の夫婦の姿になっているわけじゃないと思うしなあ。なかには、お互い前世の因縁を背負ってスゴイ修行をしている仮の夫婦もあるらしいから、うちの場合はどうなんだろうなあ?」

「梅木さんご夫妻も、きっとみろくの世の夫婦じゃないですか」

「いやいや、どうだろう? 大地、またおばあちゃんに訊(き)いといてくれ」

「あ、おじいちゃん、うまくごまかしたね」

 三人は顔を見合わせて笑った。


「おやおや、楽しそうですね」

 ともが、おかずを持って入ってきた。

「おばあちゃん、おじいちゃんとは、みろくの世の夫婦になっていますか?」

「えっ、何のことだい? 大地」

「あ、いや、またゆっくり訊くね」

 ともは、怪訝(けげん)な顔をした。


(続く)

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この連載は、大本の教えをドラマ風に書き下ろしたもので、
登場人物は実在の人物ではありません。













































































▼次回更新予定

脚本担当:成尾 陽のプロフィールはこちら

成尾 陽(大本メディア愛善宣教課長)

なるお あきら:昭和34年熊本県生まれ成尾総務2.jpg
昭和55年、大本梅松塾を経て大本本部に奉職
特派宣伝使、大本青年部長などを歴任
ITVA-日本(国際企業映像協会)関西支部長
亀岡市立つつじヶ丘小学校PTA会長など(平成16年度)もつとめる。
現在、大本愛善宣教部メディア愛善宣教課長